ジオトリフのエビデンスのポイント

第1回:日本人における肺癌の疫学とLUX‐Lung 3試験の日本人データ

肺癌診療では、国ごとの薬剤の承認や保険適応の状況が治療の選択肢に影響することが考えられます。さらに、同じ薬剤であっても影響に人種差があることも考えられます。

そこで今回は、肺癌診療の国ごとの違い、および日本人におけるジオトリフの臨床成績について、ご紹介します。

 

 

【肺癌の予後】

がん生存率に関する大規模国際共同研究であるCONCORD-3研究において、2010–2014年に診断された肺癌患者のうち、日本人の5年純生存率は約何%だったでしょうか。

 

【↓解説を見る↓】

 

約33%

がん生存率に関する大規模国際共同研究であるCONCORD-3研究において、2010–2014年に診断された肺癌患者の日本における5年生存率は32.9%でした1)
同研究において、国別の5年純生存率は、ブラジル8.5%、米国21.2%、中国19.8%、英国13.3%など様々でした1)
このように、肺癌の予後には国・地域ごとにばらつきのあることが知られています。その背景には、薬剤の承認や保険適用の状況といった医療制度の違いとともに、人種差が要因にあることも考えられます。
1)    Allemani C et al. Lancet 2018; 391: 1023–1075.

 

 

【EGFR遺伝子変異の検出頻度】

地域別にEGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異の頻度を検討した研究で、EGFR活性型変異の検出率が最も高かったのは、北アジア、南アジア、北米、南米、欧州、アフリカおよび中等のうちどの地域でしょうか。

 

【↓解説を見る↓】

 

南アジア

20の国と地域の170施設を対象にEGFR遺伝子変異の検出頻度を調査した研究において、EGFR活性型変異の頻度は南アジアが最も高く46%、次いで北アジアが30%でした。一方、最も頻度が低かった地域は南米で7.9%でした2)
このような遺伝子変異の分布も、地域ごとの肺癌の予後の違いを生ずる要因となっている可能性が示唆されます。
したがって、日本の状況を踏まえて日本人肺癌患者の治療を検討する際には、日本人データも参照することが望ましいと考えられます。(図1)
2) Graham RP et al. Arch Pathol Lab Med 2018; 142: 163–167.

 

(図1)

(図1)

 

 

【ジオトリフの日本人集団に対する臨床成績】

ジオトリフの国際共同第Ⅲ相臨床試験であるLUX‐Lung 3試験において、主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)中央値は全体集団で11.1ヵ月でした。日本人集団のPFS中央値は何ヵ月だったでしょうか。

 

【↓解説を見る↓】

 

13.8ヵ月

ジオトリフでは、EGFR-TKIを含む、化学療法未治療のEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌患者345例を対象に、国際共同第Ⅲ相臨床試験LUX‐Lung 3試験が行われました。本試験の対象症例345例には、日本人83例が含まれていました。
本試験では、対象症例をジオトリフ群とPEM+CDDP(ペメトレキセド+シスプラチン)群に2:1でランダム割り付けし、両群の有効性および安全性を比較検討しました。(図2)
 

(図2)

(図2)

 

その結果、主要評価項目であるPFS中央値は、PEM+CDDP群で6.9ヵ月だったのに対し、ジオトリフ群では11.1ヵ月であり、ジオトリフ群におけるPFSの有意な延長が検証されました。(図3)

 

【本試験の安全性情報はこちら】

 

(図3)

(図3)

 

本試験では日本人83例でのサブグループ解析も行われました。日本人症例における両群の患者背景はご覧の通りです。(図4)

 

(図4)

(図4)

 

日本人サブグループ解析の結果、日本人集団での PEM+CDDP群のPFS中央値は6.9ヵ月でした。これに対し、ジオトリフ群のPFS中央値は13.8ヵ月、ハザード比は0.38であり、PFSの延長を認めました(p=0.0014, 95%HR 0.20-0.70)。(図5)

 

【本試験の安全性情報はこちら】

 

(図5)

(図5)

 

 

【ジオトリフの日本人集団でのOS】

LUX‐Lung 3試験において、日本人集団でのジオトリフ群の全生存率(OS)の中央値は約何ヵ月だったでしょうか。

 

【↓解説を見る↓】

 

46.9ヵ月

LUX‐Lung 3試験において、日本人集団におけるOS中央値は、PEM+CDDP群では35.8ヵ月、ジオトリフ群では46.9ヵ月であり、ハザード比は0.75でした。(図6)

 

【本試験の安全性情報はこちら】

 

(図6)

(図6)

 

国際共同第Ⅲ相臨床試験LUX-Lung 3試験において、ジオトリフ群の副作用発現率は99.6%でした。ジオトリフ群で報告された主な副作用(発現率50%以上)は、下痢95.2%、発疹/ざ瘡89.1%、口内炎72.1%、爪の異常61.1%などでした。また、Grade 3以上で発現率10%以上の副作用は、発疹/ざ瘡16.2%、下痢14.4%、爪の異常11.8%でした。

副作用による死亡例はジオトリフ群で4例[呼吸不全2例、敗血症1例、不明1例]でした。
投与中止に至った副作用は、ジオトリフ群で8%に認められ、主な事象は下痢1.3%および爪囲炎0.9%などでした。(図7)(図8)
 

(図7)

(図7)

 

(図8)

(図8)

 

日本人集団において、ジオトリフ群の副作用発現率は100%でした。ジオトリフ群で報告された主な副作用(発現率50%以上)は、下痢100.0%、発疹/ざ瘡100.0%、爪の異常92.6%などでした。また、Grade 3以上で発現率10%以上の副作用は、爪の異常25.9%、下痢22.2%、発疹/ざ瘡20.4%でした。
減量に至った有害事象はジオトリフ群で75.9%に認められ、主な事象は爪の異常31.5%、発疹/ざ瘡27.8%、下痢22.2%でした。

投与中止に至った副作用はジオトリフ群で18.5%に認められましたが、ジオトリフ群では治療関連の投与中止はみられませんでした。(図9)

 

(図9)

(図9)

 

(図10)

(図10)

 

今回ご紹介した内容が、先生の肺癌診療のお役にたてましたら幸いです。

 

 

助成金プログラム

ベーリンガーインゲルハイムは、医療関係者の皆さまからヘルスケアに関連する研究等の提案を受け付けています。

詳しくはこちら