ジオトリフのエビデンスのポイント

第4回:EGFR遺伝子変異陽性肺癌における治療シークエンス

EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺癌の治療には、現在EGFR-TKIを含めてさまざまな選択肢があります。こうした中、これまで報告されてきたデータを踏まえながら、使用可能な薬剤を組み合わせた治療シークエンスを考慮することが重要であると考えられます。
今回は、治療シークエンスを考える上で参考となりうるデータについて、ご紹介します。

 

 

【がんの進化モデル】

EGFR遺伝子変異陽性肺癌において、EGFR-TKI治療後の耐性例の約半数1)ではT790M変異が見られます。このような耐性変異が認められる機序のひとつに、がん細胞集団では遺伝学的に様々な細胞が混在していることが考えられています。この概念は英語で何と呼ばれているでしょうか。

1) 日本肺癌学会.肺癌患者におけるEGFR遺伝子変異検査の手引き 第4.3版.2020年3月31日.

 

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Intratumor heterogeneity

がん細胞では、増殖過程において多様な遺伝子変異が生じています。その結果、最も近い共通祖先に由来するがん細胞集団であっても、集団内には細胞の多様性、すなわち腫瘍内の不均一性 Intratumor heterogeneity があると考えられています。(図1)

 

(図1)

(図1)

 

治療による選択圧のもとでは、不均一な集団のうち薬剤耐性を有するコロニーが次第に優勢となっていき
ます。そのため、治療後の腫瘍は治療前と異なる性質に変化していると考えられています。

Uncommon/Compound mutationに対する親和性が高い1次治療を行った結果、 T790M変異を有する集団が優勢に残存した場合、残存腫瘍はT790M変異に親和性の高い2次治療に対してより感受性を示す可能性が考えられます。(図2)

 

(図2)

(図2)

 

 

【LUX-Lung 3試験 日本人集団の2次治療移行率】

ジオトリフの国際共同第Ⅲ相臨床試験であるLUX-Lung 3試験の日本人サブグループ解析において、ジオトリフ投与終了後の2次治療への移行率は何%だったでしょうか。

 

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89.6%

ジオトリフでは、EGFR-TKIを含む化学療法未治療かつEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌患者345例を対象に、国際共同第Ⅲ相臨床試験LUX‐Lung 3試験が行われました。本試験の対象症例345例には、日本人83例が含まれていました。
本試験では、対象症例をジオトリフ群とPEM+CDDP(ペメトレキセド+シスプラチン)群に2:1でランダム割り付けし、両群の有効性および安全性を比較検討しました。

本試験の、ジオトリフ投与終了後の2次治療への移行率は89.6%でした。後治療内容と治療別の割合はご覧の通りです。なお、本解析のデータカットオフ時点において、オシメルチニブ投与例はありませんでした。(図3)(図4)

 

(図3)

(図3)

 

(図4)

(図4)

 

本試験における主要評価項目の結果をお示しします。全体集団の無増悪生存期間(PFS)中央値は、PEM+CDDP群で6.9ヵ月だったのに対し、ジオトリフ群では11.1ヵ月であり、ジオトリフ群におけるPFSの有意な延長が検証されました。(図5)

 

(図5)

(図5)

 

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次に、本試験における日本人83例のサブグループ解析をご紹介します。日本人集団における両群の患者背景はご覧の通りです。(図6)

 

(図6)

(図6)

 

本サブグループ解析において、日本人集団での PEM+CDDP群のPFS中央値は6.9ヵ月でした。これに対してジオトリフ群のPFS中央値は13.8ヵ月であり、PFSの延長を認めました。(図7)

 

(図7)

(図7)

 

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【ジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療観察研究であるGioTag update研究におけるTTF中央値】

EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者における、ジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療観察研究であるGioTag update研究では、2019年4月時点でのデータに基づき中間解析の結果が報告されました。本報告では、ジオトリフを40 mg/日で開始された患者群において、主要評価項目である治療成功期間(TTF)中央値は何ヵ月だったでしょうか。

 

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28.1ヵ月

EGFR遺伝子変異陽性(Del19、L858R)で、ジオトリフによる1次治療後にT790M変異を獲得し、オシメルチニブを投与した18歳以上の進行非小細胞肺癌患者204例を対象に、後ろ向き観察研究である、ジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療観察研究 GioTag研究が行われました。
本研究において、選択バイアスの制御とデータの検証はご覧のとおりでした。
本研究で対象となった204例のうち、ジオトリフを国内承認用量である40mg/日で開始されたのは169例(83.7%)でした。
GioTag update研究では、GioTag研究における全生存期間(OS)およびTTFについて、2019年4月時点までのデータに基づいて中間解析が行われました。当初の研究の対象患者204例のうち、データ不整合のある1例を除外した203例が解析対象となりました。(図8)(図9)(図10)(図11)(図12)

 

(図8)

(図8)

 

(図9)

(図9)

 

(図10)

(図10)

 

(図11)

(図11)

 

(図12)

(図12)

 

その結果、開始用量40mgにおけるジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療によるTTF中央値は28.1ヵ月でした。(図13)

 

(図13)

(図13)

 

本研究では、安全性情報を収集していません。安全性情報に関しては、製品添付文書をご参照ください(添付文書はこちら)。】

 

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【ジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療観察研究であるGioTag update研究におけるOS中央値】

ジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療観察研究であるGioTag update研究における、開始用量40mgでのジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療では、OS中央値は何ヵ月だったでしょうか。

 

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45.3ヵ月

ジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療観察研究であるGioTag update研究において、開始用量40mgでのジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療によるOS中央値は45.3ヵ月でした。また、2年生存率は82%と報告されました。(図14)

 

(図14)

(図14)

 

本研究では、安全性情報を収集していません。安全性情報に関しては、製品添付文書をご参照ください(添付文書はこちら)。】

 

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【ジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療観察研究であるGioTag update研究の遺伝子変異別の結果】

ご覧の表は、ジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療観察研究であるGioTag update研究における、Common変異陽性例とDel19陽性例の解析結果です。
Del19陽性例でのOS中央値は何ヵ月だったでしょうか。(図15)

 

(図15)

(図15)

 

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45.7ヵ月

ジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療観察研究である GioTag update研究では、Del19陽性かつ開始用量40mgにおける、ジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療によるOS中央値は45.7ヵ月でした。また、TTF中央値は30.6ヵ月でした。(図16)

 

(図16)

(図16)

 

本研究では、安全性情報を収集していません。安全性情報に関しては、製品添付文書をご参照ください(添付文書はこちら)。】

 

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国際共同第Ⅲ相臨床試験LUX-Lung 3試験において、ジオトリフ群の副作用発現率は99.6%でした。ジオトリフ群で報告された主な副作用(発現率50%以上)は、下痢95.2%、発疹/ざ瘡89.1%、口内炎72.1%、爪の異常61.1%などでした。また、Grade 3以上で発現率10%以上の副作用は、発疹/ざ瘡16.2%、下痢14.4%、爪の異常11.8%でした。
副作用による死亡例はジオトリフ群で4例[呼吸不全2例、敗血症1例、不明1例]でした。
投与中止に至った副作用は、ジオトリフ群で8%に認められ、主な事象は下痢1.3%および爪囲炎0.9%などでした。(図17)(図18)

 

(図17)

(図17)

 

(図18)

(図18)

 

日本人集団において、ジオトリフ群の副作用発現率は100%でした。ジオトリフ群で報告された主な副作用(発現率50%以上)は、下痢100.0%、発疹/ざ瘡100.0%、爪の異常92.6%などでした。また、Grade 3以上で発現率10%以上の副作用は、爪の異常25.9%、下痢22.2%、発疹/ざ瘡20.4%でした。

減量に至った有害事象はジオトリフ群で75.9%に認められ、主な事象は爪の異常31.5%、発疹/ざ瘡27.8%、下痢22.2%でした。投与中止に至った有害事象はジオトリフ群で18.5%に認められましたが、ジオトリフ群では治療関連の投与中止はみられませんでした。(図19)(図20)

 

(図19)

(図19)

 

(図20)

(図20)

 

ジオトリフとオシメルチニブのシークエンス治療観察研究であるGioTag update研究の重要な限界をお示しします。

本研究はレトロスペクティブに行われました。
本研究において、1次治療(ジオトリフ)投与後に死亡した患者や、2次治療(オシメルチニブ)が不適格または望まない患者は除外されました。そのため、本研究では選択バイアスが存在する可能性があります。
本研究では、選択バイアスの可能性を最小限とするため、すべての選択基準を満たす連続患者のみを対象とする、1施設からの登録を15例までとする、等の方法を採択しました。
また、比較群が無いことにより、結果の解釈には一定の限界が存在します。(図21)

 

(図21)

(図21)

 

今回ご紹介した内容が、先生の肺癌診療のお役にたてましたら幸いです。

 

 

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