日本糖尿病学会が2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズムを発表
2022年9月5日、日本糖尿病学会コンセンサスステートメント策定に関する委員会から、2型糖尿病の薬物治療アルゴリズムが発表されました1)。
これまで欧州や米国では、米国糖尿病学会や欧州糖尿病学会によって定期的に治療アルゴリズムが更新されてきました。一方で、世界の糖尿病人口の3分の1はアジア地域に集中しており1)、かつ洋の東西で、糖尿病のある人の肥満の程度を含めた病態が大きく異なっていることを踏まえると、わが国からコンセンサスステートメントが示されたことには、極めて重要な意義があると考えられます。
本アルゴリズム作成の背景として、同委員会は以下の3つのポイントを挙げています。
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欧米人と日本人の糖尿病の病態の違い-日本人では肥満と非肥満が半々で、インスリン分泌低下と抵抗性の程度が個人毎に異なっている
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欧米と日本の2型糖尿病の治療戦略の違い-わが国では個人毎の病態を考慮してどのクラスの糖尿病治療薬を使用するかを決定することが推奨されてきた
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National Databaseの解析によって明らかになった日本の2型糖尿病の初回処方の実態-初回処方にビグアナイド薬が一切使われない日本糖尿病学会非認定教育施設の割合が依然高いこと
上記のポイントを踏まえて、2型糖尿病治療アルゴリズムは以下の4ステップを考慮して薬剤を選択する構成になっています。
Step 1 病態に応じた薬剤選択
Step 2 安全性への配慮
Step 3 Additional benefitsを考慮するべき併存疾患
Step 4 考慮すべき患者背景
- 坊内良太郎, ほか. 糖尿病. 2022;65(8):419-434.