令和4年度版 厚生労働白書が発表されました

サイトへ公開: 2023年06月13日 (火)
令和4年版 厚生労働白書から第1部「社会保障を支える人材の確保」の概要をご紹介します。

令和4(2022)年9月に公表された令和4年版 厚生労働白書1)から、第1部「社会保障を支える人材の確保」の概要をご紹介します。「厚生労働白書」は、厚生労働行政の現状や今後の見通しなどについて、広く国民に伝えることを目的にとりまとめており、令和4年版は、平成13(2001)年の「厚生労働白書」発刊から数えて21冊目となります。第1部はそのテーマが年ごとに設定されますが、令和4年版では現役世代が急減していく人口構造を踏まえて、医療・福祉サービスの提供の在り方、人材確保に関する今後の対応の方向性について検討がなされました。
第1部は2章からなり、「第1章 社会保障を支える人材を取り巻く状況」では、現役世代の急減による担い手不足の加速化と今後必要になる医療・福祉分野の就業者数の見通しが整理されていることに加えて、医療・福祉分野の人材について、これまでの取組みの成果が個別具体的に報告されています。続いて「第2章 担い手不足の克服に向けて」では、医療・福祉サービスの提供の在り方と人材確保に関する今後の方向性等が論じられています。
社会保障を支える人材を取り巻く状況のうち、医療・福祉分野の就業者数については、経済成長と労働参加が進むと仮定するケースでも、令和22(2040)年には医療・福祉分野の就業者数が96万人不足する見込みであることが大きな関心を集めました。一方で医師と薬剤師に関する取組みの成果と残る課題として、以下のポイントがまとめられています。

医師

  • 医学部臨時定員の増加により、全国レベルでは医師数は過去最大規模に増加
  • 地域枠等の臨時定員の増加により、35歳未満の若手医師が医師少数都道府県で増加
  • 臨床研修医の採用数は、大都市部以外の41道県で増加傾向
  • 医師の全体数の増加により全診療科の医師数は増加傾向にあるものの、産婦人科・外科の医師数は横ばいの状況
  • 医師の全体数は増加しているが、医師の地域偏在が残る
  • 女性医師の割合は年齢階級が高くなるほど低くなり、就業率は30歳代後半で最低値となるM字カーブを描く

薬剤師

  • 薬局数と薬局に従事する薬剤師が増加
  • 薬剤師数は都道府県によって差があり、無薬局町村も存在

残る課題への対策として、医療・福祉分野の担い手不足の克服に向けては以下の4つの取り組みが掲げられています。
1. 医療・福祉サービスを必要とする方の増加の抑制
2. 特に医療・福祉人材を必要とする分野への対応
3. ケアの質の確保や職員の負担軽減を実現する取組みの推進
4. 人口減少等の地域の実情に応じた提供の在り方及び人材確保に関する方向性

  1. 厚生労働省. 令和4年版 厚生労働白書.
    https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf
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