タバコと歩む糖尿病。その先に待つものとは?

サイトへ公開: 2020年11月23日 (月)
【コラム】本コンテンツでは、糖尿病のある方における喫煙/非喫煙の違いが総死亡に及ぼす影響と、禁煙を継続することの重要性を紹介します。

監修:愛媛大学 総合健康センター 教授 古川 慎哉 先生

「どうしても、なかなか止められなくて……」。禁煙できない患者さんからよく耳にするセリフだと思います。しかし、ずるずるとタバコを吸い続けた場合、その先に待つものはあまりにも恐ろしいものです。ニコチンはインスリン感受性を低下させ、インスリン抵抗性の増悪を招くといわれています1)。アメリカの前向きコホート研究の結果から、糖尿病がある場合、喫煙者では非喫煙者と比較して総死亡の相対リスクが「1~14本/日」で「1.43」、「15~34本/日」で「1.64」と喫煙本数によって増加し、「35本以上/日」では何と2倍以上の「2.19」であることが報告されています2)。ですが、この研究からは禁煙がもたらす具体的なデータも示されています。「10年以上の禁煙」によって、総死亡リスクは非喫煙者と同程度まで低下することが示されたのです。なかなか禁煙できないと言う患者さん、「今さら止めても……」と諦めかけている患者さんには、タバコを吸い続けることの恐ろしさとともに、「今すぐ止める」ことの大切さを併せてお伝えしてみるのはいかがでしょうか。

監修:愛媛大学大学院医学系研究科 疫学・予防医学講座 准教授 古川 慎哉 先生
対象: アメリカの女性看護師で構成されるThe Nursesʻ Health研究のコホートに含まれる7,401例の2型糖尿病患者。
方法:

上記のうち、20年の追跡期間中に死亡した2型糖尿病患者724例について、喫煙歴と総死亡リスクの関係ならびに禁煙後年数が総死亡リスクに与える影響について検討した。

(文献2より引用)

1)Eliasson B, et al. Circulation. 1996; 94: 878-81.
2)Al-Delaimy WK, et al. Diabetes Care. 2001; 24: 2043-8.

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