分食の一手:食事療法の新しい工夫
監修:大阪市立大学大学院 医学研究科 代謝内分泌病態内科学・腎臓病態内科学 教授 繪本 正憲 先生
何かと忙しい現代人。規則正しい時間に夕食を摂ることが良いことはわかっていてもなかなかできないもの。「夜はどうしても遅い時間の食事になっちゃうんです……」、先生も患者さんからこういった言葉を聞いたこと、あるのではないでしょうか?朝食を抜く、夜遅い時間の食事。不健康な食生活の代表格ですね。これらが肥満に関連していることは周知の事実ですが、遅い時間の夕食が食後高血糖に関連していることが2型糖尿病のある方を対象にしたクロスオーバー試験から示されました1)。食後高血糖は合併症発症の主要な要因です。食後の血糖値をいかに抑えるかが、糖尿病治療上の大きな目標ともいえますが、同試験からは夕食を分割することで(試験では18時・21時に摂取の設定)、食後の血糖変動を改善できることも示されています。食事に十分な時間を割くことができずに、遅い時間にしか夕食を摂れないという患者さんにとって、夕食の分食は合併症抑制の観点からも、食事療法における新しい工夫の一手になるかも知れません。
![監修:大阪市立大学大学院 医学研究科 代謝内分泌病態内科学・腎臓病態内科学 教授 繪本 正憲 先生](/jp/sites/default/files/inline-images/M_TRZ_085_1.png)
対象: | 2型糖尿病患者16例。 |
方法: |
試験期間中に持続血糖モニター(CGM)を5日間装着し,2~4日目に3日間連続して同じ献立を摂食した。2日目(18時・21時に分割した夕食または21時に夕食),3日目(18時に夕食),4日目(2日目と逆のパターン)のCGMが計測したグルコース変動を比較し検討を行った。 |
1)Imai S, Diabetes Res Clin Pract. 2017;129:206-212.