認知機能を守る鍵、それは食後高血糖にあった

サイトへ公開: 2020年11月23日 (月)
【コラム)本コンテンツでは、認知症の発症リスクの抑制のために、食後高血糖と重症低血糖に着目した血糖マネジメントの重要性を解説します。

監修:愛媛大学総合健康センター 教授 古川 慎哉 先生

「人生100年時代」という言葉をよく耳にするようになりました。超高齢化社会である日本を象徴する言葉ですよね。2型糖尿病のある方の平均年齢は65.57歳(2016年時)──。ちなみに2006年は62.23歳。何と、10年間で約3歳も平均年齢があがっているのです1)。”高齢”という言葉から連想するものの1つに“認知症”が挙げられますが、糖尿病は認知症のリスクファクターであることが知られています2)。重症低血糖が認知症のリスクを高めることはよく知られているかと思いますが、アメリカの研究から、高齢の2型糖尿病のある方の認知機能を守るためには、“食後高血糖”の管理も重要であることが報告されています。ARIC研究の参加者から12,996名を対象に、20年間の認知機能の低下と食後高血糖との関連を調査した結果、2型糖尿病のある方では食後高血糖と認知症リスクの相関が認められたのです2)。人生を全うするその日まで、糖尿病とのお付き合いは続きます。加齢による認知機能の低下は食い止められない部分もありますが、低血糖、そして食後高血糖に着目した血糖管理が、「人生100年時代」の糖尿病診療に求められているのではないでしょうか。

監修:愛媛大学総合健康センター 教授 古川 慎哉 先生
対象: ARIC研究に登録されていた12,996人(含:非糖尿病患者11,284人)を対象に20年間の認知機能と血糖コントロール、食後高血糖の関連について検討した。
方法:

糖尿病の有無、糖尿病の場合はHbA1c「7%」を基準に2群に分けた。さらに、神経心理学的検査にて対象の認知機能低下をzスコアとして算出。
食後高血糖の指標として1,5-Anhydroglucitolを用い、「10μg/mL」を基準として2群にわけその関連を検討した。

(文献2より引用)

1)糖尿病データマネジメント研究会.基礎集計資料(2016年度)
2)Rawlings AM, et al. Diabetes Care. 2017; 40: 879-86.

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