LUX-Lung 7試験(海外データ)

サイトへ公開: 2020年11月01日 (日)

国際共同第Ⅱb相試験LUX-Lung 7試験は、治療歴のないEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象に第二世代EGFR阻害薬のアファチニブと第一世代EGFR阻害薬のゲフィニチブを直接比較した初めての海外試験です。

LUX-Lung 7試験の試験概要と結果について紹介いたします。

1.LUX-Lung 7試験の試験デザイン

LUX-Lung 7試験では、発現頻度が高いEGFR遺伝子変異(エクソン19欠失[del19]またはL858R)を有する進行NSCLC患者319例を対象としました。主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、治療成功期間(TTF)、全生存期間(OS)でした。

目的: 1st line治療としてアファチニブとゲフィチニブの有効性および安全性を⽐較する。
対象: EGFR-TKIを含む化学療法未治療でEGFR遺伝⼦変異陽性のNSCLC患者319例
方法: 対象をアファチニブ群(40mg/⽇を連⽇経⼝投与)あるいはゲフィチニブ群(250mg/⽇を連⽇経⼝投与)にランダムに割付けた。
評価項目:

[主要評価項目]
PFS(独立判定委員会による評価に基づく)、TTF、OS

[副次評価項目]
奏効率、奏効までの期間、奏効期間、病勢コントロール率、病勢コントロール期間、腫瘍縮⼩、健康関連QOLの変化

解析計画: 主解析として、Cox回帰分析で信頼区間を、Log-rank検定でp値を算出した。事前に計画されたサブグループ解析として、EGFR遺伝⼦変異タイプ、脳転移、ECOG PS、性別、年齢、⼈種、喫煙歴による層別解析を実施した。

Park K. et al.:Lancet Oncol 17(5), 577, 2016 本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

Paz-Ares L. et al.:Ann Oncol 28(2), 270, 2017 本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

2.LUX-Lung 7試験における無増悪生存期間(PFS)

アファチニブ群においてPFS中央値は11.0ヵ月でした。

【主要評価項目】PFS(独立判定委員会判定)

【主要評価項目】PFS(独立判定委員会判定) 

Paz-Ares L. et al.:Ann Oncol 28(2), 270, 2017
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

主要評価項目のサブグループ解析では、Del 19とL858RにおけるPFS延長は同程度でした。

【主要評価項目のサブグループ解析】患者背景別PFS

【主要評価項目のサブグループ解析】患者背景別PFS

Park K. et al.:Lancet Oncol 17(5), 577, 2016
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

3. LUX-Lung 7試験における治療成功期間(TTF)

アファチニブ群においてTTF中央値は13.7ヵ月でした。

【主要評価項目】TTF

【主要評価項目】TTF 

Paz-Ares L. et al.:Ann Oncol 28(2), 270, 2017
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

【主要評価項目のサブグループ解析】患者背景別TTF

【主要評価項目のサブグループ解析】患者背景別TTF 

Park K. et al.:Lancet Oncol 17(5), 577, 2016
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

4. LUX-Lung 7試験における全生存期間(OS)

主要評価項目であるOS中央値は、アファチニブ群27.9ヵ月、ゲフィチニブ群24.5ヵ月でした(ハザード比0.86)。

【主要評価項目】OS

【主要評価項目】OS 

Paz-Ares L. et al.:Ann Oncol 28(2), 270, 2017
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

【主要評価項目のサブグループ解析】患者背景別OS

【主要評価項目のサブグループ解析】患者背景別OS

Park K. et al.:Lancet Oncol 17(5), 577, 2016
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

5.LUX-Lung 7試験における奏効率

奏効率はアファチニブ群72.5%、ゲフィチニブ群56.0%と、アファチニブ群において高値でした。

【副次評価項目】奏効率(独立判定委員会判定)

【副次評価項目】奏効率(独立判定委員会判定)

Paz-Ares L. et al.:Ann Oncol 28(2), 270, 2017
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

6.LUX-Lung 7試験における最大腫瘍縮小率

L858R症例の奏効率はアファチニブ群65.7%(44/67例)、ゲフィチニブ群42.4%(28/66例)でした。

【サブグループ解析】L858R症例における最大腫瘍縮小率(独立判定委員会判定)

【サブグループ解析】L858R症例における最大腫瘍縮小率(独立判定委員会判定)

Park K. et al.:Lancet Oncol 17(5), 577, 2016
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

Del 19症例の奏効率はアファチニブ群73.1%(68/93例)、ゲフィチニブ群65.6%(61/93例)でした。

【サブグループ解析】Del 19症例における最大腫瘍縮小率(独立判定委員会判定)

【サブグループ解析】Del 19症例における最大腫瘍縮小率(独立判定委員会判定)

Park K. et al.:Lancet Oncol 17(5), 577, 2016
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

7. LUX-Lung 7試験の安全性

有害事象はアファチニブ群の160例中158例(99%)、ゲフィチニブ群の159例中159例(100%)、Grade 3以上の有害事象はそれぞれ91例(57%)、83例(52%)に認められました。 

Grade 3以上の主な副作用は、アファチニブ群で下痢20例(13%)、発疹/ざ瘡15例(9%)、疲労9例(6%)、ゲフィチニブ群でALT/AST増加14例(9%)、発疹/ざ瘡5例(3%)でした。重篤な副作用はアファチニブ群の17例(11%)、ゲフィチニブ群の7例(4%)で確認され、主な副作用はアファチニブ群で下痢10例(6%)、ゲフィチニブ群で間質性肺炎4例(3%)でした。 

投与中止に至った副作用はアファチニブ群の10例(6%)、ゲフィチニブ群の10例(6%)に認められ、主な副作用はアファチニブ群で下痢5例(3%)、ゲフィチニブ群でALT/AST増加5例(3%)、間質性肺炎4例(3%)でした。 

死亡はアファチニブ群で15例(9%)、ゲフィチニブ群で10例(6%)確認され、内訳はアファチニブ群で悪性新生物進行が4例、肺炎、髄膜転移、虚血性脳卒中、急性呼吸不全、間質性肺炎または呼吸困難、誤嚥性肺炎、呼吸不全、肝出血、多臓器不全、外傷、不明が各1例、ゲフィチニブ群で髄膜転移が2例、肺感染、悪性新生物進行、脳出血、誤嚥性肺炎、呼吸不全、腎または肝不全、多臓器不全、全身健康状態低下が各1例でした。 

Park K. et al.:Lancet Oncol 17(5), 577, 2016
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

8. LUX-Lung 7試験の健康関連QOL

【参考情報】【副次評価項目】EQ-5DおよびEQ-VASスコアの変化

【参考情報】【副次評価項目】EQ-5DおよびEQ-VASスコアの変化

Park K. et al.:Lancet Oncol 17(5), 577, 2016
本研究はベーリンガーインゲルハイム社の支援により実施された

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