患者さんと医療者がお互いの情報を共有しながら一緒に治療方針を決めるSDM

サイトへ公開: 2020年05月10日 (日)
近年、患者さんと医療者がお互いの情報を共有しながら一緒に治療方針を決定するSDMが注目されています。エビデンスだけでなく、患者さんの価値観なども含む総合的な判断が必要です。

ご監修:
京都大学大学院 医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学分野 教授 中山 健夫先生

近年、治療方針決定のためのアプローチであるSDM(Shared Decision Making)が注目を集めています。 このシリーズでは、患者さんと医師の対話型コミュニケーションであるSDMの概念から具体的な実践方法までを、京都大学大学院 医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学分野 教授 中山 健夫先生にご解説いただきます。

第1回 EBMとSDM(再生時間 04:03)

SDMとは、患者さんと医療者がお互いの情報を共有しながら一緒に治療方針を決定していくアプローチのことです。治療や患者ケアのための意思決定には、 EBMの要素を考慮すると共に、一般的なエビデンスだけでなく、患者さんの価値観や環境なども含む総合的な判断が求められます。この意思決定の過程において医師と患者さんが行うコミュニケーションがSDMです。

【動画】

第1回のポイント

・SDMは、患者さんと医療者がお互いの情報を共有しながら、一緒に治療方針を決定していくアプローチ
・EBMは、「臨床研究によるエビデンス」、「医療者の専門性・熟練」、「患者の価値観」、「患者の臨床的状況・環境」の4つの要素を統合し、より良い患者ケアのための意思決定を行うもの
・EBMの要素を含む総合的な判断が求められる意思決定において、SDMが行われる

第2回 SDMの概論(再生時間 04:07)

ある治療法が他の治療法よりも良い結果を期待できるかどうかが不確かである、すなわち不確実性が高い領域ではSDMが適切です。 SDMでは、コミュニケーションを通じて、患者さんと医療者がお互いの「情報」、「目標」、「責任」を共有し、選択を行います。医療は日々進歩していますが、その信頼性には限界があり、特に不確実な医療を行わざるを得ない場合には、患者さんとのより良い信頼関係の構築が重要と考えます。

【動画】

第2回のポイント

・不確実性が高い領域では、患者さんと医療者がお互いの「情報」、「目標」、「責任」を共有し、選択を行うSDMが適切
・患者さんの見解が医学的に最適な治療とは異なる場合、対話を通じて、それぞれが別の見解を理解する
・SDMを通じて、患者さんが医療者に意思決定をゆだねる場合もある

第3回 SDMの9つのステップ(再生時間 05:13)

SDMを実践するための具体的な方法として、3カテゴリ・9ステップによる方法が提案されています。これらを通じて、患者さんと医療者が協力して選択を行う状況を共有し、続いて選択肢と価値観の共有を図り、そして意思決定と合意の共有を図っていくことが重要です。
さらに、他の医療スタッフなどの協力を得て、チームや組織として実践していくことで、患者さんのより高い満足感、安心感が得られるでしょう。

【動画】

第3回のポイント

・SDMを実践するための具体的な方法として、3カテゴリ・9ステップが提案されている
・チョイストークで、患者さんと医療者が協力して選択を行う状況を共有する
・オプショントークで、選択肢と価値観の共有を図る
・ディシジョントークで、意思決定と合意の共有を図る

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