循環器病対策推進基本計画の施策-1

サイトへ公開: 2023年02月28日 (火)
循環器病対策推進基本計画の施策の概要についてご紹介いたします。

循環器病対策推進基本計画の施策1)

「循環器病対策推進基本計画とは」では、基本計画の全体目標をご紹介しました(基本計画の概要は下を参照ください)。この全体目標を達成するため、3つの個別施策(①循環器病の予防や正しい知識の普及啓発、②保健、医療及び福祉に係るサービスの提供体制の充実、③循環器病の研究推進)が実施されますが、今回は個別施策の基盤となる「循環器病の診療情報の収集・提供体制の整備」と、個別施策「①循環器病の予防や正しい知識の普及啓発」についてご紹介します。

個別施策の基盤:循環器病の診療情報の収集・提供体制の整備1)

循環器病は、患者さんの数が膨大、かつ発症後の病状が多様に変化することから、実態の正確な把握が難しく、また、予防のための対策や様々な治療法の有効性を評価するために十分なデータを収集することも難しい疾患です。したがって、循環器病に対する科学的根拠に基づいた政策の立案を効果的に推進するためには、患者さんの罹患状況や診療内容のデータ収集、および評価の実施は重要です。現在、循環器病の診療実態を把握する調査などの情報収集は、主に厚生労働省や研究者・学会によって行われています。
循環器病の診療情報の収集・提供体制の整備の今後の課題としては下記があげられています。

  • 急性期医療の現場における診療情報の活用や診療提供体制の構築
  • 予防などの公衆衛生政策への診療情報の活用を目的とした、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などに係る診療情報を収集・活用する枠組みの構築
  • 収集された診療情報の二次利用の運用方法、費用負担を含む提供の在り方の検討(将来的には他の循環器病にも広げる)

個別施策:①循環器病の予防や正しい知識の普及啓発1)

循環器病の多くは、生活習慣に端を発して発症します。循環器病の経過は、患者さん自身が気付かないうちに病気が進行することも多くありますが、同時に、どの段階においても生活習慣を改善することで進行を抑えられる可能性もあります。そのため、循環器病の発症予防だけでなく、再発予防や重症化予防としての生活習慣の改善が重要です。国民が実施できることとして、特に、運動はロコモティブシンドローム(運動器症候群)やフレイルの予防となるだけでなく、心不全などの治療にもつながります。また、ウェアラブルデバイスなどのIT機器を活用することで生活習慣を自己管理し、必要に応じて早期の医療機関の受診につなげたり、主要な危険因子となる生活習慣病に対する様々な介入を受けたりすることによって、包括的なリスク管理が可能になります。
国民が適切に循環器病の予防・重症化予防や疾患リスクの管理を行うことができるようにするためには、まずは、循環器病に関する正しい知識の普及啓発が必要です。また、患者さんやその家族などが、循環器病の発症を認識し、救急要請を行うことにより、速やかに適切な治療を提供する医療機関を受診することも重要です。

循環器病の予防や正しい知識の普及啓発の今後の課題としては下記があげられます。

  • 生活習慣(栄養・食生活、身体活動・運動、喫煙、歯・口腔の健康等)の改善の推進
  • 社会環境の改善を通じた生活習慣病の予防の推進
  • 食育や学校も含めた子どもの頃からの循環器病に関する知識の普及啓発
  • スマート・ライフ・プロジェクトの取組を進め、企業・団体・自治体と協力・連携しながら、健康に関する知識の普及啓発を推進
  • SNSなどを活用した循環器病に関する正しい知識の情報発信、マスメディアとの連携、関係団体による啓発の推進

図 循環器病対策推進基本計画 概要2)

図 循環器病対策推進基本計画 概要

  1. 厚生労働省. 循環器病対策推進基本計画(令和2年10月). https://www.mhlw.go.jp/content/000688359.pdf
  2. 厚生労働省. 循環器病対策推進基本計画 概要. https://www.mhlw.go.jp/content/000765294.pdf
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