循環器病対策推進基本計画の施策-4 包括的な支援体制の構築:受診後のケア

サイトへ公開: 2023年03月06日 (月)
循環器病対策推進基本計画の施策の1つである、包括的な支援体制の構築のうち、特に受診後のケアについてご紹介いたします。

包括的な支援体制の構築

ここでは、循環器病対策推進基本計画(以下、基本計画)の2つ目の個別施策にあたる「保健、医療及び福祉に係るサービスの提供体制の充実」を達成するための10の項目のうち、4) 社会連携に基づく循環器病対策・循環器病患者支援と、6) 循環器病に関する適切な情報提供・相談支援について、現状および課題と取り組むべき施策をご紹介します。

社会連携に基づく循環器病対策・循環器病患者支援1)

循環器病患者さんは慢性期に、生活の支援や介護が必要な状態に至ることがあります。循環器病は再発や増悪を繰り返す特徴があることから、その予防のための生活習慣の改善や服薬の徹底など、適切な管理とケアが必要です。また、必要に応じて介護保険制度や障害者総合支援法(平成17年法律第123号)を組み合わせて活用することも重要になります。
基本計画は、慢性期の再発予防や重症化予防のために関係機関が連携し、継続して必要な医療、介護、および福祉サービスを提供することが必要だとしています。そして国が取り組むべき施策として、患者さんが可能な限り住み慣れた地域で自立した日常生活を営むことができるよう、地域包括ケアシステムの構築を推進し、地域共生社会の実現を進めることをあげています。
この中では、

  • かかりつけ医機能の充実や病診連携の推進
  • かかりつけ薬剤師・薬局による服薬アドヒアランスの向上に資する服薬情報の一元的・継続的把握と、それに基づく薬学的管理・指導
  • 看護師による予防から治療、再発予防、重症化予防までの切れ目のない看護の提供
  • 理学療法士の理学療法、作業療法士の作業療法
  • 言語聴覚士の言語聴覚療法
  • 管理栄養士や栄養士による栄養管理
  • 社会福祉士、介護支援専門員及び相談支援専門員による相談・生活支援に取り組むことをあげています。

循環器病に関する適切な情報提供・相談支援1)

医療技術や情報通信技術が進歩し、患者さんの療養生活が多様化する中で、患者さんとその家族が抱く、診療と生活に関する疑問や、心理社会的・経済的な悩みに対応することが求められています。相談支援の範囲は、急性期の医療機関受診から、慢性期の医療、介護、および福祉サービスに至るまで多岐にわたります。患者さんと家族が、お住いの地域で、必要な情報にアクセスでき、循環器病のどのステージにおいても課題解決につなげられるような取り組みが求められています。現在、一部の医療機関で相談支援が実施されていますが、十分に普及しているとはいえません。
今後、国が取り組むべき施策として、基本計画では、国と国立循環器病研究センター、そして関係団体が協力して、循環器病の様々な情報を収集し、正しいエビデンスに基づく情報を国民に提供することをあげています。また、情報を発信するだけにとどまらず、患者さんやその家族が、疾患の特性に応じ、個別のニーズに対応した必要な情報に急性期から確実にアクセスし、活用しながら問題を解決できるようになることが大切です。地方公共団体に対しては、前述の相談支援を踏まえつつ、医療機関や地域の高齢者の生活を支える地域包括支援センターなどの既存の取り組みと連携・協力しながら、個別支援も含めて適切な相談支援の内容や体制、必要な情報を検討する重要性をあげています。

  1. 厚生労働省. 循環器病対策推進基本計画(令和2年10月). https://www.mhlw.go.jp/content/000688359.pdf
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