コロナ禍のリーダーシップ-8 Key Finding 2

サイトへ公開: 2023年08月01日 (火)
CCLの研究から、COVID-19パンデミック・ストレスがリーダーや組織に及ぼす影響をまとめたシリーズとして、ここでは研究結果(2)を翻訳してご紹介します。

本シリーズでは、米国の非営利組織であるCenter for Creative Leadership (CCL)が、COVID-19パンデミックとそれに関連する深刻な混乱やストレス要因がリーダーと組織にどのような影響を与えたかを、様々なマネージャーレベルに属するリーダー約300人を対象に実施した調査結果に基づいて作成した、リサーチペーパーを翻訳してご紹介します。 https://doi.org/10.35613/ccl.2021.2044
調査の方法は同シリーズ「コロナ禍のリーダーシップ-4 研究方法」をご参照ください。

COVID-19の大流行により、私たちの仕事のやり方、時間、場所が変わった
研究結果(1)でご紹介した内容に加えて、多くのリーダーが、パンデミックの間に仕事が変わったり職場が変化したりしたと話しています。私たちは特に、リモートワーク、会社の一時帰休、労働時間といった3つの職場環境の変化について調査しました。

図2 パンデミック下での仕事の実態

図2 パンデミック下での仕事の実態

ここでは仕事がどのように変化したのか、そしてそれがリーダーにどのような影響を与えたのかについて、いくつかの重要な知見を紹介します。

  • 現在在宅勤務をしていない人に比べ、在宅勤務をしていると答えたリーダーは、より高いレベルの感謝の気持ちを感じていました(t=2.27, p=0.024)。
  • 帰属する組織が一時帰休を実施したと回答したリーダーは、組織が一時帰休を実施しなかったと回答した人に比べて、仕事のやりがいが低くなっていました(t= -2.73, p=0.007)。
  • COVID-19パンデミックが始まって以降、労働時間が長くなったと答えたリーダーは、ほぼ同じか少なくなったと回答した人と比べて、バーンアウト状態に陥る割合が高くなっていましたF(2,280)= 16.16, p<0.001.


図3 働き方の変化

図3 働き方の変化

この調査結果がリーダーや組織にもたらす意味
これらの調査結果は、パンデミック発生以降、仕事の性質がさまざまな点で変化したことを明らかにすると同時に、一部の変化がその他の変化と比べて、より大きな弊害をもたらしたことを実証しています。特にリモートワークへの移行は、感謝の気持ちをより感じるようになったという意味で正の効果をもたらしたと言えますが、一方で、労働時間の増加や一時帰休といったその他の動向は、潜在的により有害だと言えるでしょう。私たちは、組織やリーダーがCOVID-19パンデミック後の職場の未来について考える際に、これらの知見を考慮に入れるよう推奨します。例えばリーダーや組織は、従業員が再び直接集まることができるようになった後も、リモートワークなどのフレキシブルな働き方の選択肢を広げることを検討するとよいかもしれません。

Originally published by the Center for Creative Leadership in “Leading Through COVID-19: The Impact of Pandemic Stress and What Leaders Can Do About It”
https://cclinnovation.org/wp-content/uploads/2021/03/leading-through-covid19.pdf

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