リーダーシップ・レジリエンスを高めるための8つの習慣　③マインドフルネス

By: Katya Fernandez, Ph.D., Cathleen Clerkin, Ph.D., and 
Marian N. Ruderman, Ph.D.

Center for Creative Leadership（以下、CCL）は、リーダーシップに関する理解と実践、発展を促進するために1970年に設立された、米国に拠点を置く非営利組織です。CCLはリーダーシップ開発に必要なサポートをさまざまな業界に提供しており、リーダーシップ研究の世界的なパイオニアとして知られています。このシリーズでは、CCLの研究活動を通じて得られたインサイトから、不確実さや複雑さを増している中でリーダーがレジリエンスを構築すべき重要性と、レジリエンスを構築するうえで有用な「COREフレームワーク」のコンテンツを翻訳してご紹介します。

マインドフルネス

世界的に有名なマインドフルネスの専門家であるJon Kabat-Zinnは、マインドフルネスを「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」だと定義しています（Mindful Staff, 2017）。私たちはこの定義に基づき、マインドフルネスには主に次の3つの要素があると考えます：（a）意識的であること、（b）「今」に集中していること、（c）とらわれのない状態であること。理解の簡略化のため、私たちはマインドフルネスを、精神的レジリエンスを培うための実践方法とみなしていますが、マインドフルネスはレジリエンスの4つの領域すべてに対して大きな影響を与える可能性が研究により示されています。

研究では、マインドフルネスと、学習や記憶、感情制御、視点のもち方、自己認識、注意力、自己制御などの認知プロセスとの関係が報告されています（Fox et al., 2014；Hölzel et al., 2011）。また、マインドフルネスは、心理的苦痛（Virgili, 2015）、ストレス（Chiesa & Serretti, 2009）、うつと不安（Brown & Ryan, 2003; Sedlmeier et al., 2012）、睡眠障害（Rash et al., 2019）の軽減にも関係するとされています。

職場におけるマインドフルネス実践の利点も報告されています。ある研究では、瞑想アプリの使用を指示された従業員は、ウェルビーイング、苦痛、仕事の負担、職場におけるソーシャルサポートの認識が、対照群と比較して有意に改善したと報告されました（Bostock et al., 2019）。最近のあるメタ解析からは、マインドフルネスの向上が仕事満足度とパフォーマンスの向上、そして、燃え尽き症候群（バーンアウト）と仕事からの離脱の減少に関係していることが報告されました（Mesmer-Magnus et al., 2017）。私たちの研究では、リーダーのベースラインのマインドフルネスレベルは、創造性、職場での活躍、自己効力感、そして特にレジリエンスを含む、リーダーシップに望ましい多くの特性を予測していたことを発見しました（Clerkin, Ruderman, & Fernandez, 2021）。

マインドフルネスを取り入れるためのヒント

日常生活の中でさらにマインドフルネスを取り入れる方法を知りたい方は、以下を参考にしてください：

• 短時間から始める。まずは、30秒か60秒のマインドフルネス休憩を取ることから始めましょう。立ち止まって、この瞬間に自分の身体がどう感じているのか、どこにいるかを把握し、とらわれのない状態で自分の考えや感覚に耳を傾けてみましょう。
• 選んだ感覚に集中する。集中する感覚を1つ決めて、その感覚にどっぷりと浸かることのできることを行ってみてください。例えば、好きな曲を聴いたり、自分の好きな香り（キャンドルなど）を嗅いでみたりすることに集中してみてください。
• 呼吸をきっかけとする。簡単な呼吸法を試してみましょう。例えば、4つ数えながら息を吸い、6つ数えながら息を吐いてみましょう。