リーダーシップ・レジリエンスを高めるための8つの習慣 ④認知的再評価

サイトへ公開: 2023年12月20日 (水)
CCLの研究から、リーダーシップ・レジリエンスを高めるための8つの習慣より、認知的再評価について紹介します。

By: Katya Fernandez, Ph.D., Cathleen Clerkin, Ph.D., and 
Marian N. Ruderman, Ph.D.

Center for Creative Leadership(以下、CCL)は、リーダーシップに関する理解と実践、発展を促進するために1970年に設立された、米国に拠点を置く非営利組織です。CCLはリーダーシップ開発に必要なサポートをさまざまな業界に提供しており、リーダーシップ研究の世界的なパイオニアとして知られています。このシリーズでは、CCLの研究活動を通じて得られたインサイトから、不確実さや複雑さを増している中でリーダーがレジリエンスを構築すべき重要性と、レジリエンスを構築するうえで有用な「COREフレームワーク」のコンテンツを翻訳してご紹介します。

認知的再評価

私たちの思考は、感情、行動、および身体感覚に大きく影響します(そして、逆もまた然りです)。時に私たちの思考は、取り巻く世界についての解釈(すなわち、評価)を反映することがありますが、そのすべてが正しいわけではありません。例えば、会議中に同僚がいらだった態度をとった場合、私たちは彼らが腹を立てていると思い込むでしょう。経験に裏付けられた、思考を管理する効果的な方法の一つに、認知的再評価と呼ばれる感情制御戦略があります。認知的再評価の核心は、不足していた情報、仮定、そして新しい視点を取り入れることで、感情がかき乱されるような状況を、違った(理想的にはよりバランスのとれた)方法で解釈し直す行為にあります。

認知的再評価の本質は、間違っているかもしれない認識や仮定に対してきちんと向き合うことであり、そうすることで、状況についてより腑に落ちた解釈をすることができるようになります。私たちの研究では、認知的再評価ができていると報告したリーダーは、仕事満足度が高く、感情的な燃え尽き症候群(バーンアウト)になる可能性も低いことがわかりました。さらに認知的再評価は、仕事において、考え方がバーンアウトになる程度に影響しているのと同じくらい影響をもっているかもしれないということが、予備的なエビデンスとして示されました(Fernandez, Clerkin, & Ruderman, 2021)。

日常生活に認知的再評価を取り入れるためのヒント

認知的再評価をより高頻度、かつ効果的に行いたい場合は、以下を参考にしてください:

  • 自分の思考に注意を払う。ある状況やある特定の人について振り返った時の自分の思考に注意してください。仕事で悩んでいる自分に気づいたら、少し立ち止まり、"私は今、どんな思い込みをしているのだろう?"と自問してみましょう。
  • 敢えて難しい質問をしてみる。ある状況について、敢えて難しい質問を自分にしてみましょう。例えば、この状況についての代替案はあるか?この状況に影響を及ぼすかもしれない外的要因はなにか?この状況を第三者に説明したら、どのように解釈するだろうか?などです。
  • 毎日「思考のタイムアウト」を取る。一日の仕事の終わりなどに、その日の自分の思考プロセスの性質とその影響を、意識的に振り返る時間を設けましょう。疑いもなく思い込んでいるような自分の歪んだ思考はないでしょうか。その日の自分の考え方について、なにか気づくことがあるか確認してみてください。

Originally published by the Center for Creative Leadership in “Building Leadership Resilience: The CORE Framework” 
http://cclinnovation.org/wp-content/uploads/2020/12/researchinsights_1220_rev1.pdf

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