リーダーシップ・レジリエンスを高めるための8つの習慣 ⑤セイバリング

サイトへ公開: 2023年12月20日 (水)
CCLの研究から、リーダーシップ・レジリエンスを高めるための8つの習慣より、セイバリングについて紹介します。

By: Katya Fernandez, Ph.D., Cathleen Clerkin, Ph.D., and 
Marian N. Ruderman, Ph.D.

Center for Creative Leadership(以下、CCL)は、リーダーシップに関する理解と実践、発展を促進するために1970年に設立された、米国に拠点を置く非営利組織です。CCLはリーダーシップ開発に必要なサポートをさまざまな業界に提供しており、リーダーシップ研究の世界的なパイオニアとして知られています。このシリーズでは、CCLの研究活動を通じて得られたインサイトから、不確実さや複雑さを増している中でリーダーがレジリエンスを構築すべき重要性と、レジリエンスを構築するうえで有用な「COREフレームワーク」のコンテンツを翻訳してご紹介します。

セイバリング

セイバリングとは、ある出来事を経験したり考えたりするときに生じる正の感情について、意識的に注意を向けることと定義されます(Bryant, Chadwick, & Kluwe, 2011)。セイバリングの目的は、意識的に正の感情に浸ることによって、その正の感情を感じ、高め、育てることにあります(Lenger & Gordon, 2019)。負の感情には必要以上に感情が引きずられる傾向(負の傾向)があるため、セイバリングを実践することはレジリエンスの実践に役立つ可能性があります。

複数の研究では、セイバリングで、大きな社会的支援、心理的ウェルビーイング、主観的幸福度、正の感情をより感じることができ、同時にうつやストレスを低下させるとの報告があります(Chen & Zhou, 2017; Hurley & Kwon, 2012; Jose et al., 2012; Kiken et al., 2017; Quoidbach et al., 2010; Wilson et al., 2020)。また、職場環境での、セイバリングに関する研究結果もあります。例えばある研究では、リーダーが戦略的にセイバリングを採用していると、業績に基づいた人事制度の理解と仕事のつながりが強くなることを報告しています。

セイバリングのヒント

日常生活にセイバリングを取り入れるためのヒントを示します:

  • 心の風景写真を撮る。立ち止まり、周囲の状況に浸ります。自分の目をカメラに見立てて写真を撮り、いつでもその瞬間や記憶を思い出すことができるようにします。
  • 自分の良い感情を他の人と共有する。仕事が特に生産的であった、ひらめきがあった、あるいは重大な問題に関する糸口を見つけたのなら、それを同僚や友人と分かち合いましょう。ただ「こんなことがあった」と伝えるのではなく、なにがあったのか、そのことで自分がどんな気持ちになったのかといった詳細まで(つまり、セイバリング)伝えましょう。
  • 自分を祝福する。他の人と良いニュースを分かち合う時間を取るのと同じように、自分自身の良いニュースに浸る時間を取りましょう。その日一日を振り返り、(大小にかかわらず)達成できたことはなんでしょう?その達成があなたになにを感じさせ、どんなひらめきを与えてくれるかを振り返ってみてください。

Originally published by the Center for Creative Leadership in “Building Leadership Resilience: The CORE Framework” 
http://cclinnovation.org/wp-content/uploads/2020/12/researchinsights_1220_rev1.pdf

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