リーダーシップ・レジリエンスを高めるための8つの習慣 ⑥感謝

サイトへ公開: 2024年01月30日 (火)
CCLの研究から、リーダーシップ・レジリエンスを高めるための8つの習慣より、感謝について紹介します。

By: Katya Fernandez, Ph.D., Cathleen Clerkin, Ph.D., and
Marian N. Ruderman, Ph.D.

Center for Creative Leadership(以下、CCL)は、リーダーシップに関する理解と実践、発展を促進するために1970年に設立された、米国に拠点を置く非営利組織です。CCLはリーダーシップ開発に必要なサポートをさまざまな業界に提供しており、リーダーシップ研究の世界的なパイオニアとして知られています。このシリーズでは、CCLの研究活動を通じて得られたインサイトから、不確実さや複雑さを増している中でリーダーがレジリエンスを構築すべき重要性と、レジリエンスを構築するうえで有用な「COREフレームワーク」のコンテンツを翻訳してご紹介します。

感謝

感謝とは「恩恵を受けたときに、その恩恵に対して自分以外の他者に称賛を示す具体的な考え方」だとされます(Emmons, 2013, Myth 2 section)。さまざまな調査や研究から、感謝が職場で重要な役割を果たすことがわかっています。

例えば、Glassdoor社が2013年に行った調査では、従業員の約80%が「上司が感謝の気持ちを示してくれれば、もっと頑張ろうという意欲がわく」と回答しています(Glassdoor, 2013)。また、別の研究では、組織の重役が従業員の仕事に対して心からの感謝を示した場合、従業員は投資勧誘のための電話を1.5倍多くかけたことが明らかになっています(Grant & Gino, 2010)。

組織に対する感謝が、仕事の満足度の向上(Waters, 2012)、組織の一員としての行動(従業員が自分の職務以外のことも率先して行うこと)の増加や、上司との関係改善につながっていることも示されています(Ford, Wang, Jin, & Eisenberger, 2018)。

さらに、感謝は、困難やストレスに直面したときの対処にも役立ちます。複数の研究から、感謝の気持ちは、自尊心の向上や肉体的な健康の増進、睡眠の質の改善、人生の満足度の向上と関連していることがわかっています(Jackowska, Brown, Ronaldson, & Steptoe, 2016; Wood, Joseph, & Maltby, 2009)。

また、われわれCCLが行った調査では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの真っただ中でも、リーダーたちは感謝の気持ちを持ち続けており、感謝の気持ちがより強いリーダーほど、仕事の満足度もレジリエンスも高かったことが示されました。

感謝の気持ちを抱くためのヒント

日常生活に感謝を取り込むヒント:

  • 感謝の気持ちを伝える。あなたの人生にプラスの影響を与えてくれた人に感謝の気持ちを伝える手紙を書いてみましょう。手紙は、感謝の気持ちを高める良い方法です。手紙だと堅苦しいと感じる方は、電子メールやスマートフォンのメッセージ、ちょっとしたはがきなど、別の方法で感謝を伝えると良いでしょう。
  • 感謝を日記に書いたり、リストにする。感謝の気持ちを記録し、振り返るために日記をつけるのもよい方法です。日記を書くのが苦手な人は、簡単なリストを作成してもかまいません。感謝していることを3~5つ書き留めるだけでもよいでしょう。
  • 物事がうまくいかないときでも、自分の恵まれている部分に感謝する。物事が順調に進んでいるときに感謝するのは簡単です。しかし、困難な状況に直面しているときに感謝の気持ちを抱くことができれば、その効果はより大きくなると考えられます。もし次に、仕事やキャリアでうまくいかないことがあったら、その中でも明るい兆しが見つけられるかどうか試してみてください。その経験からあなたは何を学んだのでしょうか?その困難はあなたにどんな機会を与えてくれたでしょうか?

Originally published by the Center for Creative Leadership in “Building Leadership Resilience: The CORE Framework” 
http://cclinnovation.org/wp-content/uploads/2020/12/researchinsights_1220_rev1.pdf

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