循環器病対策推進基本計画とは

サイトへ公開: 2022年11月25日 (金)
循環器病対策推進基本計画の概要についてご紹介いたします。

循環器病対策推進基本計画1)

「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法(以下、基本法)」は、誰もがより長く元気に活躍できるよう、健康寿命の延伸等を図り、あわせて医療および介護に係る負担の軽減に資するため、予防や医療および福祉に係るサービスの在り方を含めた幅広い循環器病対策を、総合的かつ計画的に推進することを目的として、平成30(2018)年12月に成立し、令和元(2019)年12月に施行されました2)

基本法には主な目標が2つあり、1つは2040年までに2016年比で3年健康寿命を延長させること、もう1つは、年齢で調整された脳血管疾患および心血管疾患の死亡率を減少させることです。これまでも、国は健康寿命の延伸に取り組んできており、2016年の調査における健康寿命は、男性72.14年、女性74.79年で、2010年の調査と比較して、男性1.72年、女性1.17年増加しています。これは、同期間の平均寿命の延び分を上回る健康寿命の延伸を達成しているほか、健康寿命の地域間格差も縮小しています。しかし、2016年の平均寿命と健康寿命の差は、男性8.84年、女性12.35年と依然乖離があり、この差の縮小に向けたさらなる取り組みが望まれています。
このような取り組みは日本だけに見られるものではありません。米国心臓協会(AHA)においても2030 Impact Goalとして、「2030年までに、米国の健康寿命を66歳から最低68歳に、世界の健康寿命を64歳から最低67歳に」引き上げるという目標を掲げています3)

基本法ではこの2つの主な目標を達成するために「循環器病対策推進基本計画(以下、基本計画)」を策定し、循環器病対策を総合的かつ計画的に推進することとなっています。基本計画は国が総合的な対策を立案し、各地方公共団体がその地域の特性に応じた施策を策定するものです。
その基本計画には全体目標として、基本法第二条にある基本理念に則った以下の3つの目標があります()。
1. 循環器病の予防や正しい知識の普及啓発
2. 保健、医療及び福祉に係るサービスの提供体制の充実
3. 循環器病の研究推進

基本法にはまた、国、地方公共団体、医療保険者、国民、保健・医療または福祉の業務に従事する者、それぞれが果たすことを期待されている責務も記載されています。各責務の詳細はを参照ください。

 

図 循環器病対策推進基本計画 概要(抜粋)

図 循環器病対策推進基本計画 概要(抜粋)

表 基本法が定めるそれぞれの責務

表 基本法が定めるそれぞれの責務

  1. 厚生労働省. 循環器病対策推進基本計画(令和2年10月). https://www.mhlw.go.jp/content/000688359.pdf
  2. 健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80ab6708&dataType=0&pageNo=1
  3. Angell, SY et al: The American Heart Association 2030 Impact Goal: A Presidential Advisory From the American Heart Association. Circulation 141:e120–e138, 2020 
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