「次世代型退院支援」最前線織田病院流 超高齢時代への対応策とは

サイトへ公開: 2020年10月13日 (火)
多職種の病棟への専従配置や、訪問看護における在宅見守りシステムやオンライン診療を組み合わせたメディカル・ベースキャンプなど、佐賀県の織田病院の挑戦について紹介します。
「次世代型退院支援」最前線 織田病院流 超高齢時代への対応策とは |

社会医療法人祐愛会

織田 正道 理事長

佐賀県鹿島市にある織田病院(111床)の挑戦が、全国の医療関係者の注目を集めています。それは、多職種の病棟への専従配置や、訪問看護に「在宅見守りシステム」やオンライン診療を組み合わせたメディカル・ベースキャンプ(MBC)の取り組み。

この背景にあるのは、地域住民の急激な高齢化です。この10年間で急増している85歳以上の患者さんは通院すら困難なケースが多く見られます。このように様変わりしている医療ニーズに対応しようと、同院ではMBCを立ち上げて、退院直後のケアを充実させる取り組みを続けています。

織田病院を運営する社会医療法人祐愛会の織田正道理事長が掲げるキーワードは、“「治す医療」から、「治し支える医療」への転換”です。

織田理事長は、これが急性期病院の新たな役割であるとみています。

この記事のキーワード

地域住民の高齢化/入退院支援/在宅医療/多職種の病棟専従配置/「フラット型」組織/メディカル・ベースキャンプ(MBC)/在宅見守りシステム/DCU(Dementia Care Unit: 認知症ケアユニット)

目次
1.「治し支える医療」への転換の背景
2. 地域でのポジションの明確化
3.「治し支える医療」の3つの柱
4.「フラット型」組織
5. メディカル・ベースキャンプの概要と効果
6. DCU(Dementia Care Unit: 認知症ケアユニット)の効果
取材の裏話…
【解説】オンライン診療料

1.「治し支える医療」への転換の背景

1. 「治し支える医療」への転換の背景01

──地域住民の高齢化が急速に進むなか、織田病院では、“「治す医療」から、「治し支える医療」への転換”を掲げ、さまざまな取り組みに挑戦しているとお聞きしています。その背景にはどのようなことがあるのでしょうか。

特に大きいのが患者さんの高齢化です。ここ「佐賀県南部医療圏」では85歳以上の人口が2005年以降に急増し、2012年に75~79歳の人口を逆転しました。患者さんの構成が、この10年間でガラッと変化したのです。

例えば85歳以上の救急搬送件数は、2004年には当医療圏全体で626件でした。これが10年後の2014年には約2.3倍の1,412件、さらにそれから3年後の2017年には1,558件にまで増えました。当院での85歳以上の新規入院は、2004年には278件で全体の1割にも届いていませんでした。しかし2015年には800件を超え、いまや全体の2割強を占めています。わずか10年余で、とても大きな変化です(図1)。

図1

1. 「治し支える医療」への転換の背景02

(資料:織田 正道 理事長 ご提供)

高齢化は今後も続きます。国の推計によると、当医療圏の85歳以上の人口は2020年から2030年にかけていったん頭打ちとなりますが、その後は2035年まで再び増加する見通しです。本来は退院直後のケアが非常に重要ですが、85歳以上の高齢者は通院することが困難なケースが多く、非常に難しい。そのため、基本的にはこちらから訪問してフォローするしかありません。つまり、病院で治すだけの医療の時代はもう終わったということです。

──85歳以上の患者さんとそれ以外の患者さんとでは、必要な対応がそれほど異なるのでしょうか。

全く違います。85歳以上の患者さんには呼吸器や循環器の疾患をお持ちの方が多く、認知症や運動器の障害を併せ持っています。さらに、要介護状態になる人の割合は5割を超えます。75歳前後の患者さんが多かった10年ほど前にはこうしたケースはそれほど多くなく、スムーズに自宅へ退院できていましたが、今では状況が様変わりしました。

2. 地域でのポジションの明確化

──人口構成が変わると、地域での病院の役割も変化しそうです。

はい。南部医療圏全体では医療機関は充足していますが、鹿島市内にはいわゆる公的病院がありません。こうしたなかで、国立病院機構嬉野医療センター(嬉野市)や、中部医療圏の佐賀大医学部附属病院(佐賀市)といった高機能の医療を提供する拠点病院と、患者さんに身近な開業医の橋渡し役がわれわれのポジションだと考えています(図2)。

図2 地域における織田病院の役割・機能 

2. 地域でのポジションの明確化01

(資料:織田 正道 理事長 ご提供)

──環境の変化にどう対応してきたのでしょうか。

織田病院は111床の中小病院で、2016年度の新規入院は約3,200人。病床稼働率は99.6%(2017年4~12月)、平均在院日数は11.9日(同)とフル回転です。医療計画では、当医療圏は基準病床数を既存の病床数が上回る“病床過剰地域”なので新規の増床は困難です。こうしたなかで、救急医療のニーズ増にどう対応すべきか、模索してきました。

まず、開業医との連携を強めて在宅の患者さんを適切にフォローできるようにと、2004年には111床の一部を開放型病床にしました。現在、登録医は60人。CTやMRIの共同利用は年に1,000件を超えます。

外来患者さんは当初、600人/日程度でしたが、高齢化が進むなかで自宅に近い医療機関を受診できるよう逆紹介を進め、今では300人/日ほどになりました。その代わり開業医の皆さんには、「何かあったらいつでも当院を紹介してください」と呼びかけ、月に300~330人ほどを紹介していただいている状況です。救急搬送にも24時間365日対応し、私たちでは対応し切れない症例は嬉野医療センターなどにつなぎます。

──逆紹介によって外来患者さんを減らしたり、開放型病床をつくって開業医と医療機器の共同利用を進めたり、まるで地域医療支援病院のようですが、外来患者さんを減らすことは中小病院にとっては経営的に厳しいのではないでしょうか。

それが意外と厳しくありません。それは、逆紹介を進めた結果、紹介が増えたからです。当院は111床の規模であり、いかに効率よく運用するかを重視して取り組んできました。退院が滞れば救急の受け入れが困難になり、地域の先生から頼られなくなってしまうでしょう。入退院のスムーズな流れを作ることが地域の先生方との良好な関係構築にも繋がり、良い循環を生んでいます。

3. 「治し支える医療」の3つの柱

3. 「治し支える医療」の3つの柱01

──人口構造の急激な変化に、どのように対応してきたのでしょうか。

まずは院内の意識改革です。急性期病院ではかつて、治療後にご自宅に帰るのが難しい患者さんには転院していただけばよかった。しかし、高齢の患者さんが増えるなか、急性期後の受け皿の数は限られているので、治療を終えたら直接、生活の場にお帰りいただかざるを得ないケースが増えています。

しかし、急性期病院でどんなに良い治療が提供できたとしても、退院後のフォローがおろそかでは意味がありません。そのため私は、患者さんが安心して生活の場に帰っていけることは、病気の治療と同じぐらいに重要だと職員に繰り返し呼びかけてきました。それによって意識改革が少しずつ進んだと感じています。

──それが、「治す医療」から「治し支える医療」への転換のベースになったのですね。

そうです。「治し支える医療」への転換は、▼安心して自宅へお返しするための院内での仕組みづくり、▼退院後もケアを継続できる仕組みづくり、▼IoT(いろいろな「モノ」がインターネットを介してつながる仕組み)やAI(人工知能)を使った「在宅見守りシステム」の構築―の3つを柱に進めました。

──患者さんを安心して地域にお返しする仕組みを詳しくお聞かせください。

まず、退院支援を行う「リエゾンナース」を配置しました。リエゾンナースは、病院や診療所、介護施設など患者さんが入院前に関与していた施設とも連携して、在宅復帰に支援が必要な患者さんのスクリーニングを早くから始めます。入院後は、医師や病棟看護師、ケアマネージャー、メディカルソーシャルワーカー(MSW)といった院内のスタッフや退院先と連携しながら2次、3次とスクリーニングを繰り返し、退院支援の対象を最終決定します。

以前は、入院前から入院後を見据えて調整を進める仕組みが院内になく、退院支援には苦労していました。そこで10年前にこの仕組みを取り入れたところ、当初は非常にうまく機能しました。ところが、地域の高齢化がさらに進んで退院支援が必要な入院患者が増えてくるに従い、また行き詰まりました。医療ニーズの急増に対応するには入院期間をその分、縮小しなくてはなりませんが、あまりに入退院の回転が早過ぎて、チームアプローチも退院調整も十分にできない状況に陥ってしまったのです。

──どのような改善を図ったのか気になります。

そこで今度は、MSWをはじめ薬剤師、理学療法士、管理栄養士らを病棟に専従配置しました。互いに離れた場所からいちいち電話で連絡を取ったり、ミーティングを重ねたりしながら調整を進めていたのでは退院までにとても間に合わない、という発想がベースです。多職種の病棟配置はいわば適材適所であり、これからの退院調整には不可欠でしょう。

毎朝7時半からの申し送りでは、前日に入院した患者さんについて多職種が顔を合わせて情報交換します。入院翌日には多職種が医師の治療方針をここで共有できますし、お互いに直接アドバイスを受けることができ、その後の連携もスムーズです。

4. 「フラット型」組織

こうした仕組みをうまく機能させるため、多職種が対等の「フラット型」組織の支援チームづくりも進めました(図3)。かつての「治す医療」の時代には、医師を頂点とする「ピラミッド型」の組織でもうまく機能しましたが、これでは医師の業務は増え続けてしまうでしょう。

医師は多忙な業務の合間を縫って自身の技術を磨いたり、抗がん剤や後発医薬品など、日々アップデートされていく医薬品情報をキャッチアップしています。高齢化により患者さんはさまざまなリスクを抱えており、医師は多方面に気を配る必要が出てきました。このような状況で「退院支援や退院後のケアの方針を決めろ」と言っても無理でしょう。つまり、ピラミッド型の組織で退院後のケアを円滑に進めるのはもはや難しいということです。「治し支える医療」の時代に必要なのは、「フラット型」組織です。

図3 フラット型組織

4. 「フラット型」組織01

(資料:織田 正道 理事長 ご提供)

──患者さんを生活の場にきちんとお返しするためのフラットな連携ということですね。

はい。病院にはこれだけの専門職がそろっているのだから、皆の力を存分に活用するということです。

5. メディカル・ベースキャンプの概要と効果

5. メディカル・ベースキャンプの概要と効果01

──退院支援の取り組みとして医療関係者から注目されているメディカル・ベースキャンプ(MBC)について教えてください。

MBCとは、退院直後の患者さんの在宅での生活を支援するための取り組みです。「治し支える医療」の3つの柱のうち、「退院後もケアを継続できる仕組みづくり」の一環として立ち上げたもので、85歳以上の患者さんを、退院後2週間をめどに支援しています。医師、訪問看護師を中心にリハビリスタッフやケアマネ、MSW、ヘルパーと、多職種が参加しています(写真)。業務は訪問看護が中心で、IoTやAIを使った「在宅見守りシステム」と遠隔診療をこれに組み合わせます。

高齢の患者さんを退院後1週間、何のケアもせずにしておくとADL(日常生活動作)はあっという間に低下しますし、発熱などで再入院するケースも退院直後が中心です。逆に、退院後2週間を乗り切ると、大抵は元の生活に戻れます。MBCが2週間を一区切りにしているのはそのためで、このタイミングで開業医にバトンタッチし、手を引くというのが基本的なスタンスです。

5. メディカル・ベースキャンプの概要と効果02

訪問看護を行うスタッフの動きは、院内の大型モニターでコントロールしています。このモニターにはMBCでフォローしている患者さんの自宅がマッピングされており、異常があれば知らせてくれます。どのスタッフがどこにいるのかも表示されるので、患者さんの異常時にもすぐに指示を出せます。ただ、MBCの対象は病院から半径2km以内の患者さんに限定しています。この範囲だけでも約5,500世帯があり、そのうち独居や老老世帯は計1,200世帯。これ以上対象範囲を広げてしまうと、私たちだけではとてもカバーし切れません。

──「在宅見守りシステム」はどのようなものですか。

「在宅見守りシステム」は、「お声がけ機能」や「室温管理機能」「転倒検知」などがメインで、必要に応じてオンライン診療を提供しています(図4)。

なかでも役立っているのが「お声掛け機能」で、必要に応じて患者さんのタブレット等を通じて様子をうかがうものです。お声がけ機能にはタブレット端末やスマートウォッチ、転倒検知にはAIカメラを使うのが基本ですが、実際にやってみて分かったのは、お年寄りはタッチパネルをうまく使えないということでした。そこで、ルーターを取り付けたテレビをモニターとして使ったところ大成功。お年寄りのご自宅には必ずといっていいほどテレビがあり、リモコンスイッチは使い慣れているんです。セキュリティー面をクリアするのが大変でしたが、試行錯誤しこのような形にたどり着きました。

図4 IoT・AIを使い情報インフラを構築

5. メディカル・ベースキャンプの概要と効果03

(資料:織田 正道 理事長 ご提供)

──オンライン診療はどのようにおこなっているのでしょうか。

こちらも液晶テレビを使って提供します。先ほども触れましたが、85歳以上になると通院することすら難しい方が増えます。そのうえ、独居世帯の場合、医療機関まで付き添ってくれる方もいません。こうした方が増えてくると在宅医療が地域に不可欠になりますが、医師一人でカバーできる患者さんの数は限られます。私は、そこをフォローできるのはオンライン診療しかないと考えています(図5)。

図5 オンライン診療の有効活用

5. メディカル・ベースキャンプの概要と効果04

(資料:織田 正道 理事長 ご提供)

──MBCには、多職種のスタッフ30人ほどが参加しているとお聞きしていますが、コストはどの程度かかっているのでしょうか。

MBCでは訪問看護ステーションやヘルパーステーションから、スタッフの何人かが一時的にチームに加わる仕組みです。私たち祐愛会には訪問看護ステーションやヘルパーステーションなどがあり、介護保険サービスも提供しています。チームに加わった訪問看護師はステーションの訪問看護業務と、ヘルパーは24時間定期巡回との掛け持ちで、しかも退院後2週間に特化しているためMBCでの人件費はそれほど多くはありません。

──費用対効果を勘案すると、MBCの経営面への貢献度はどう受け止めていらっしゃいますか。

MBCは当院の付加価値だと考えています。ここで採算を取ろうという考えではなく、効率的に退院を進めることによって病棟を円滑に運営できるようになる。実際、85歳以上も含め、新規入院の全体での件数はここ3年間、順調に増えています。

6.DCU(Dementia Care Unit: 認知症ケアユニット)の効果

──認知症ケアユニットをつくられたそうですね。

2013年に8床をDCUに転換しました。救急病院の80%近くが認知症の患者さんを身体拘束しているといいます。なぜそうせざるを得ないかというと、転倒・転落や点滴・経管の自己抜去の危険性があるうえ意思の疎通が困難で、検査や処置への協力が得られにくいからです。恐らく、認知症の患者さんを抱える多くの救急病院がそうした対応に苦慮しています。つまり、患者さんと医療者の双方が困っているということですね。そこで私たちは、認知症のなかでも症状が強い方に家庭的な雰囲気の居住空間を提供しようと考えました。

──どのような効果が見られていますか。

利用している患者さんは精神的に落ち着き、非常に穏やかになりました。睡眠・覚醒のリズムが整いやすくなったんです。看護師からしても、これまで目を離せなかった患者さんをDCUに集めることで、非常に効率よくケアできるようになりました。患者さんを拘束することもなく、安全で快適に医療を提供できるようになりました。情緒が安定して生活を送れているケースも多いようです。環境改善は、認知症の治療に非常に重要だということですね。

──最後に一言、お願いします。

85歳以上人口の急増という時代のなかで、患者さんの「住み慣れた地域で自分らしく最後まで」を地域と共に支えるしくみづくりへの積極的取り組みが私たちにとっての責務です。医療と介護の垣根を越えて手を取り合い、地域という大きな受け皿で患者さんを治し支えていきたいと思っています。

6.DCU(Dementia Care Unit: 認知症ケアユニット)の効果01

取材の裏話・・・

取材の裏話・・・01

インタビュアー:いわゆる遠隔診療をめぐっては、厚生労働省医政局が2017年7月、対面診療と適切に組み合わせるつもりなら初診を遠隔で行っても問題ないと通知しましたが、2018年度診療報酬改定で新設された「オンライン診療料」(「解説」で詳述)では、初診患者は対象外とされました。ハードルの高さを感じます。

取材の裏話・・・02

織田理事長:2018年度診療報酬改定でオンライン診療料の算定要件は、「地域包括診療料などを算定し始めてから6ヵ月間は対面診療を毎月行うこと」とされました。遠隔診療では結局のところ、医師と患者さんとの信頼関係が何よりも重要です。国は、オンライン診療に点数が付いたことで、“偽医者”が関与するような不適切な事例が出てくることを懸念しているのでしょう。
ただ、われわれの対象は退院直後の患者さんなので、同じオンライン診療でも意味合いが少し違います。これに関しては今後、実績を積んで学会などで発表していこうと思います。

取材の裏話・・・03

インタビュアー:今後、どうなっていくのでしょうか。

取材の裏話・・・04

織田理事長:いずれにせよ、在宅の患者さんが全国で急増すれば、オンライン診療を推進せざるを得ません。こうしたなか、ICT(情報通信技術)やAIへの対応が診療報酬改定で取り上げられたのは今回が初めてです。オンライン診療料のハードルは確かに高過ぎる印象ですが、今回は評価されたことに意味があると思います。エビデンスをもう少し積み上げないと本格的な評価はできないということでしょう。

取材の裏話・・・05

インタビュアー:今回は「第一歩」ということですね。

取材の裏話・・・06

織田理事長:そうです。不適切な事例が万が一にも出ると、「オンライン診療はやはり危険」と見なされかねません。オンライン診療の性急な拡大は避けていますが、時代のニーズに合わせ、着実に進めているようですね。
  (平成30年4月3日のインタビューより)

【解説】オンライン診療料

―厚生労働省 中医協の議論などをもとに㈱医薬情報ネットが作成―

対面診療と遠隔診療の適切な組み合わせを評価 

2018年度の診療報酬改定をめぐる議論では、いわゆる「遠隔診療」の評価が焦点の一つになり、厚生労働省は、「オンライン診療料」や「オンライン医学管理料」などを新設しました。厚労省は、遠隔診療の原則は対面診療を適切に組み合わせることとし、これらの報酬を算定するためには、予め6ヵ月以上は同じ医師が対面診療を毎月行うよう求めました。

オンライン診療料の対象は、特定疾患療養管理料や地域包括診療料、在宅時医学総合管理料(在総管)などを合わせた計10種類の報酬を算定する患者さん(初診以外)で、月70点を算定できます。これに対し、オンライン医学管理料(月100点)の対象は在総管などを除く8種類の報酬を算定する患者さんです。オンライン診療料やオンライン医学管理料を算定する医療機関は、3ヵ月以内の間隔で行う対面診療と遠隔診療とを組み合わせた内容の療養計画を、患者さんの同意を得たうえで作り、これに沿って診察する必要があります。

これらの報酬は、情報通信機器を用いた診療への評価という位置付けで、オンラインでの診察には、リアルタイムでコミュニケーションを取れるビデオ通話を用います。診療報酬改定に先立ち厚労省は3月5日、対面診療を行った翌月と翌々月に、オンラインでの診察と医学管理を組み合わせて行うイメージを示しました(図)。

厚労省によると、オンライン診療料は3ヵ月連続では算定できません。また、オンライン医学管理料は、対面診療を行った翌月から次の対面診療を行う前月までの期間が2ヵ月以内の場合に限り、次の対面診療の際に併せて算定します。

国の成長戦略を話し合う政府の未来投資会議が2017年4月14日に開いた会合で、安倍晋三首相は「対面診療とオンラインでの遠隔診療を組み合わせれば、患者さんはかかりつけ医による継続的な経過観察を無理なく効果的に受けられるようになる」と述べ、2018年度診療報酬改定でこうした医療を評価する方針を示していました。

【解説】オンライン診療料

(厚生労働省 「2018年度診療報酬改定の概要 医科I」より)

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