難病医療費助成制度の概要と難病の定義

サイトへ公開: 2022年09月29日 (木)
指定難病の患者さんの医療費負担軽減を目的とした難病医療費助成制度の概要についてご紹介いたします。

難病医療費助成制度の概要と目的

難病医療費助成制度とは、国が定める「指定難病」の患者さんで、症状が一定以上ある、または高額な医療費を支払っている場合に、ひと月の医療費の自己負担の限度額が設定され、その限度額を超えた分が公費負担(限度額を超えた分の患者さんの負担はなくなります)となる制度です1)。これは、「難病の患者に対する医療等に関する法律(以降、難病法)」(平成26年法律第50号)に基づき指定される指定難病について、治療方法の確立等に資するため、難病患者さんの診療等に関するデータの収集を効率的に行うことで治療研究を推進し、効果的な治療方法が確立されるまでの間、長期療養に伴い大きくなる医療費の経済的負担を支援することを目的としています2)

難病と指定難病3)

難病と指定難病

図 難病の定義4)

難病とは、「発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるもの」と、難病法に定められています。難病のうち、医療費助成の対象となるものが指定難病です()。
従来、医療費助成の対象疾患は56疾病でしたが、難病法が施行された平成27年1月には110疾病、その後徐々に対象疾患が追加され令和3年11月には338疾病と、施行以来大幅に増加しています2)
難病医療費助成制度の対象となる疾病の一覧は、こちら5)から確認できます。

補足:難病要件の詳細と、がん、精神疾患等について6)

図でお示しした難病の定義のうち、「発病の機構が明らかでない」疾患とは、原因が不明または病態が未解明な疾病や、原因遺伝子などが判明していても病態の解明が不十分な疾患などが該当します。また、「治療方法が確立していない」とは、①治療方法が全くない、②対症療法や症状の進行を遅らせる治療方法はあるが、根治のための治療方法がない、③一部の患者で寛解状態を得られることはあるが、継続的な治療が必要であることの、いずれかの場合に該当する疾患をいいます。
難病の要件には、他の施策体系が樹立していない疾病を広く対象とするという基本的な考えが含まれています。反対に「他の施策体系が樹立している疾病」とは、厚生労働省において難病法以外の法律等を基に調査研究等の施策が講じられている疾病で、がんや精神疾患、感染症、アレルギー疾患などがこれに当たり、これらは難病法にいう難病として想定されていません。

  1. 難病情報センターホームページ(指定難病患者への医療費助成制度のご案内) https://www.nanbyou.or.jp/
  2. 厚生労働省. 難病対策. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou/index.html
  3. 難病の患者に対する医療等に関する法律の概要. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000128881.pdf
  4. 厚生労働省健康局. 難病対策の概要. https://www.mhlw.go.jp/content/000527525.pdf
  5. 厚生労働省健康局. 資料『難病にかかる医療費の助成が受けられます』 https://www.mhlw.go.jp/content/000849341.pdf
  6. 指定難病の要件について. https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000124412.pdf
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