びまん性肺疾患、特発性間質性肺炎の分類

サイトへ公開: 2020年05月06日 (水)
胸部X線写真や胸部CT画像上で両側の肺に病変が広範に散布したびまん性陰影を認める、びまん性肺疾患(DPLD)の国際分類と、特発性間質性肺炎(IIPs)の分類を紹介します。

胸部X線写真や胸部CT画像上において両側の肺に病変が広範に散布したびまん性陰影を認める「びまん性肺疾患(DPLD)」のアメリカ胸部医学会(ATS)/ヨーロッパ呼吸器学会(ERS)国際分類、ならびに特発性間質性肺炎(IIPs)の分類をご紹介します。

DPLDおよびIIPsの分類

胸部X線写真や胸部CT画像上において、病変が両側の肺に広範に散布したびまん性陰影を認める疾患を「びまん性肺疾患(DPLD)」と言います。また、主に肺の間質(狭義では肺胞隔壁、広義では小葉間隔壁、胸膜直下および気管支や肺血管の壁)を炎症や線維化病変の場とする疾患を「間質性肺炎(IP)」と言います。IPの病理像は多彩であり、膠原病や無機・有機粉塵の曝露(職業的要因)、薬剤によるものなど原因が明らかな場合のほかに、原因が特定できない場合があります。この原因不明のIPを「特発性間質性肺炎(IIPs)」と言います。

2013年に報告されたアメリカ胸部医学会(ATS)/ヨーロッパ呼吸器学会(ERS)国際分類では、IIPsは病理組織パターンに基づいて、「主要なIIPs」、「分類不能のIIPs」、「頻度の低いIIPs」の3つの臨床病理学的疾患単位に分類されます。「主要なIIPs」には、特発性肺線維症(IPF)、特発性非特異性間質性肺炎(特発性NSIP)、剥離性間質性肺炎(DIP)、呼吸器細気管支炎関連性間質性肺疾患(RB-ILD)、特発性器質化肺炎(COP)、急性間質性肺炎(AIP)があります1)

図1 びまん性肺疾患の分類(ATS/ERS国際分類)1)

図1 びまん性肺疾患の分類(ATS/ERS国際分類)1)

文献1)より作成

IIPsの分類

特発性間質性肺炎(IIPs)は、外科的肺生検における病理組織パターン(UIP、NSIP、OP、DIP、RB、DAD)により、IPFなどの疾患に分類されます。IPFは、IIPsの約半数を占めており、予後が悪い疾患です。また、IPFはステロイド治療に反応性が乏しいなど、他の疾患と異なる特徴があることから、各疾患を正しく鑑別し、それぞれの疾患に適した治療を行う必要があります。

表1 IIPsの分類2)

疾患名病理組織パターン頻度発症経過
特発性肺線維症(IPF)UIP

52.6%

慢性
特発性非特異性間質性肺炎(特発性NSIP)NSIP

17.2%

亜急性~慢性
特発性器質化肺炎(COP)OP

9.4%

急性~亜急性
剥離性間質性肺炎(DIP)DIP
4.8%
慢性
呼吸器細気管支炎関連性間質性肺疾患(RB-ILD)RB慢性
急性間質性肺炎(AIP)DAD1.5%急性

OP:器質化肺炎、DAD:びまん性肺胞傷害
文献2)より改変

文献
1) Travis WD, et al. Am J Respir Crit Care Med 2013; 188: 733-748.
2) 千田金吾, ほか. 厚生科学研究特定疾患対策研究事業びまん性肺疾患研究班平成13年度研究報告書 2002; 106-108.

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