IPF抗線維化療法の重要性

IPF(特発性肺線維症)は、原因を特定しえない間質性肺炎(特発性間質性肺炎,IIPs)の1つで、IIPsの中では最も頻度が高いとされています。治癒が期待できない慢性進行性疾患であり、予後も不良です。

IPFの臨床経過と治療の意義

IPFは、高度の線維化が進行し、不可逆性の蜂巣肺形成をきたす、治癒が期待できない予後不良な疾患です。IPFの治療では進行抑制が現実的な目的となり、疾患早期における治療導入が望まれます。疾患が進行した場合は、急性増悪のリスクが高くなるため、その予防も重要となります。

図1 IPFの臨床経過(概念図)

図1 IPFの臨床経過(概念図)

IPFの予後


IPF患者の生存期間中央値は、診断されてから約3年と報告されています。

図2 IPF患者の生存曲線(北海道Studyより)

図2 IPF患者の生存曲線(北海道Studyより)

各種がんとIPFの予後の比較


海外の報告では、IPF患者の5年生存率は20~40%と示されており1)、各種がんと比べても予後不良の疾患といえます2)

図3 IPF患者とがん患者の5年生存率(海外データ)

 IPF患者とがん患者の5年生存率(海外データ)

対象:米国がん協会により発表されたがん患者*1[前立腺がん192,280例、皮膚がん74,610例、甲状腺がん 37,200例、乳がん194,280例、子宮がん(子宮頸がん11,270例、子宮体 がん42,160例) 53,430例、膀胱がん 70,980例、腎臓がん 57,760例、リンパ腫 74,490例、大腸がん 106,100例、白血病 44,790例、肺がん 219,440例、膵臓がん 42,470例]およびBjoraker JAにより報告されたIPF患者*2 104例
*1 American Cancer Society. Cancer Facts and Figures 2009. Atlanta, American Cancer Society, 2010.
*2 Bjoraker JA, et al. Am J Respir Crit Care Med 1998; 157: 199‒203.
方法:各対象患者の5年生存率について検討した

1) Kim DS. et al.: Proc Am Thorac Soc 2006; 3(4): 285-292.
2) du Bois RM.: Eur Respir Rev 2012; 21(124): 141-146.より改変
本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。 

IPFにおける抗線維化療法の位置づけ

国内外の手引き、治療ガイドラインにおいて、IPFに対する薬物療法について記載されている中で、日本の「特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き(改訂第3版)」では、IPFに対する第一選択薬として抗線維化薬が推奨されています。

表1 日本の「特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き」における抗線維化薬の記載

IPFの中心的な主要病態として、気道上皮細胞に対する慢性的な障害から、慢性の線維化が生じてくる過程が考えられている。このため、IPFに対しての第一選択薬として、抗線維化薬が用いられる。
IPFにおいては、上皮障害とそれに引き続く持続的な線維芽細胞巣(fibroblastic foci)の増生・進行性の線維化が基本的な病態と理解されるに至り、抗線維化薬が薬物治療の中心的な役割を果たすものと考えられている。

日本呼吸器学会 びまん性肺疾患 診断・治療ガイドライン作成委員会 編:
特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き(改訂第3版) 南江堂, 2016, p.54, 116より作成

 

抗線維化薬であるオフェブの位置づけ


日本における「特発性肺線維症の治療ガイドライン」では、IPFに対するオフェブの投与について「慢性安定期のIPF患者に投与することを提案する」と明記されています。

表2 日本のIPFの治療ガイドラインにおけるオフェブの位置づけ
 

ステートメント 推奨の強さ エビデンスの質
慢性安定期のIPF患者にニンテダニブを投与することを提案する 2 B

参考:本ガイドラインにおける推奨の強さの用語およびエビデンスの質について
    推奨の強さ:1=強い推奨(~する/しないことを推奨する)、2=弱い推奨(~する/しないことを提案する)
    エビデンスの質:A=高、B=中、C=低。D=非常に低

「日本呼吸器学会監修、厚生労働省科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業
「びまん性肺疾患に関する調査研究」班特発性肺線維症の治療ガイドライン作成委員会監修:
特発性肺線維症の治療ガイドライン 南江堂, 2017, p.14」より許諾を得て転載
 

IPFの国際治療ガイドライン(ATS/ERS/JRS/ALATガイドライン2015)におけるIPFに対する治療薬の位置づけは表3のとおりです。

表3 国際治療ガイドラインにおける治療薬の位置づけ

治療薬 2015年ガイドライン
ステロイド単剤療法 使用しないことを強く推奨
シクロスポリンA 使用しないことを強く推奨
ステロイド+免疫抑制剤併用療法 使用しないことを強く推奨
抗凝固療法(ワルファリン) 使用しないことを強く推奨*
プレドニゾン+アザチオプリン+N-アセチルシステイン(経口)併用療法 使用しないことを強く推奨
選択的エンドセリン受容体拮抗薬(アンブリセンタン) 使用しないことを強く推奨
イマチニブ 使用しないことを強く推奨*
ニンテダニブ 使用を条件付き推奨*
ピルフェニドン 使用を条件付き推奨*
非選択的エンドセリン受容体拮抗薬(マシテンタン、ボセンタン) 使用しないことを条件付き推奨
ホスホジエステラーゼ5阻害薬(シルデナフィル) 使用しないことを条件付き推奨*
N-アセチルシステイン(経口)単剤療法 使用しないことを条件付き推奨

*:⊕⊕⊕⊖,推定効果の確信度が中等度、†:⊕⊕⊖⊖,推定効果の確信度が低い
「日本呼吸器学会 びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会編:特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き,
改訂第3版, 南江堂, 2016, p.54」より許諾を得て改変し転載

文献
1) Kim DS, et al. Proc Am Thorac Soc 2006; 3: 285-292.
2) du Bois RM. Eur Respir Rev 2012; 21: 141-146.
 

 

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