臨床成績 国際共同第Ⅲ相試験(検証試験):INPULSIS試験

INPULSIS試験は、特発性肺線維症(IPF)患者さんを対象とし、オフェブの有効性および安全性を検討した国際共同第Ⅲ相試験です。

 

 

「警告・禁忌を含む使用上の注意」等につきましてはオフェブの添付文書をご参照ください。海外及び国内の臨床成績が臨床データパッケージとして審査・評価されました。

 

(INPULSIS-1試験、INPULSIS-2試験及び両試験の併合解析)

 

 

試験デザイン

INPULSIS試験は、特発性肺線維症(IPF)患者に対するオフェブ150mg 1日2回、52週間投与の有効性・安全性を検証した国際共同第Ⅲ相試験です。
INPULSIS試験では、同一デザインである2つの試験(INPULSIS-1試験、INPULSIS-2試験)が実施されました1-5)

 

 

試験方法

試験方法

 

【試験デザイン】
ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較試験


【実施地域】
日本を含む24ヵ国、205施設
 

【目的】
特発性肺線維症患者におけるオフェブ150mg 1日2回、52週間投与時の有効性と安全性をプラセボを対照として検討する。


【対象】
ランダム化までの過去5年以内に特発性肺線維症と診断された40歳以上の患者1,066例(日本人126例含む)


【方法】
対象患者をオフェブ群あるいはプラセボ群に3:2の比率でランダムに割り付け、試験薬を52週間投与し、有効性と安全性を検討した(INPULSIS-1試験:515例、INPULSIS-2試験:551例)。用法・用量として150mgを1日2回服用した。なお、有害事象への対応として試験参加医師の判断で中断及び/又は100mg1日2回への減量を一時的又は継続的に許容した。有害事象回復後は、150mg 1日2回への増量が推奨され、減量後4週間以内であれば増量が可能であった。

【選択基準】

1.    文書による同意が得られている
2.    40歳以上である
3.    ATS/ERS/JRS/ALATガイドライン(2011年)6)に基づき、ランダム化の5年以内に特発性肺線維症と診断されている
4.    スクリーニング前12ヵ月以内にHRCTが実施されている
5.    HRCT及び外科的肺生検(入手可能な場合)の診断基準に則り、放射線科専門医1名、病理専門医1名による中央判定により特発性肺線維症と確定診断されている
6.    ランダム化前の%FVCが50%以上である
7.    ランダム化前の%DLco※1(ヘモグロビンで補正)が30~79%である

 

【主要評価項目】
FVCの年間減少率(mL/年)


【重要な副次評価項目】
初回急性増悪までの期間(試験参加医師の報告)※2
SGRQ総スコアの変化量
 


【副次評価項目】
ベースラインから投与52週時までのFVCの変化量
急性増悪例の割合
死亡率
死亡までの期間など

 

【解析計画】
主要評価項目には、性別、年齢、身長を共変量としたランダム係数回帰モデル(ランダム切片・傾き)を用いた。重要な副次評価項目について、52週時におけるSGRQ総スコアの変化量には、ベースラインのSGRQ 総スコアを共変量とした混合効果モデルによる反復測定法(MMRM)を用い、初回急性増悪までの期間では、log-rank 検定を用いて解析し、ハザード比は性別、年齢、身長を共変量としたCox回帰モデルを用いて算出した。プラセボ投与に対するオフェブ150mg 1日2回投与の優越性の検証では、検定の多重性を調整するため、主要評価項目及び2つの重要な副次評価項目において有意水準2.5%(片側検定)として階層手順を用いた。階層仮説検定の順位は、①FVCの年間減少率 ②SGRQ総スコアの変化量 ③急性増悪とした。有効性評価項目は試験毎の解析に加え、併合解析を行うことが事前に規定された。主要評価項目及び重要な副次評価項目における部分集団(サブグループ)※3解析は併合解析を行うことが事前に規定された。部分集団解析は、部分集団における治療効果の一貫性を検討するために実施された。

 

※1 DLco:一酸化炭素肺拡散能
※2 すべての急性増悪は、事前に規定された感度解析として、盲検下で独立判定委員会により中央判定された
※3 部分集団[ベースライン時の%FVC(70%超、70%以下)、SGRQ総スコア(40超、40以下)、低用量全身ステロイド療法の有無、気管支拡張剤の使用の有無、及び性別(男性、女性)、年齢(65歳以上、65歳未満)、人種(白人、アジア人)、喫煙歴の有無]

 

文献

1) Richeldi L. et al.: N Engl J Med 2014; 370(22): 2071-2082.
本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。
2) 社内資料: 国際共同第Ⅲ相試験(1199.32試験)[承認時評価資料]
3) 社内資料: 国際共同第Ⅲ相試験(1199.34試験)[承認時評価資料]
4) 社内資料: 国際共同第Ⅲ相試験(有効性の併合解析)[承認時評価資料]
5) 社内資料: 国際共同第Ⅲ相試験(安全性の併合解析)[承認時評価資料]
6) Raghu G. et al.: Am J Respir Crit Care Med 2011; 183(6): 788-824.

 

 

患者背景

患者背景


 

有効性

INPULSIS試験により、オフェブは特発性肺線維症(IPF)患者における呼吸機能低下(FVCの年間減少率の低下)をプラセボに対して有意に抑制することが示されました。

INPULSIS-1試験;p<0.0001、INPULSIS-2試験;p=0.0002、併合解析;p<0.0001(ランダム係数回帰モデル)

 

FVCの年間減少率:主要評価項目


FVCの年間減少率※1は、オフェブ群−113.6mL/年、プラセボ群−223.5mL/年であり、オフェブ群は、プラセボ群に対してFVCの年間減少率の低下を統計学的に有意に抑制しました(群間差:109.9mL/年、95%CI:75.9–144.0、p<0.0001)。(検証的な解析結果)

※1 ランダム係数回帰モデルにより推定

 

【FVCの年間減少率:併合解析】

【FVCの年間減少率:併合解析】

 

【FVCの年間減少率(mL/年)】

【FVCの年間減少率(mL/年)】

 

【統計解析手法】
FVCの年間減少率
•    ランダム係数回帰モデルにより推定:投与群、性別、年齢、身長を固定効果(併合解析では試験を追加)、患者効果(切片と傾き)を変量効果としてランダム係数回帰モデルに含めた。

 

ベースラインから投与52週時までのFVCの変化量:副次評価項目


ベースラインから投与52週時までのFVCの平均変化量は、オフェブ群-94.5mL、プラセボ群-205.0mLであり、統計学的有意差が認められました(群間差:110.6mL、95%CI:83.2-137.9、p<0.0001)。
    MMRMにより推定

 

【ベースラインから投与52週時までのFVCの変化量の推移:併合解析】

【ベースラインから投与52週時までのFVCの変化量の推移:併合解析】

 

【統計解析手法】
ベースラインから投与52週時までのFVCの変化量
•    MMRMにより推定:試験、投与群、Visit、性別、年齢、身長、投与群×Visitの交互作用項、ベースライン時のFVC、ベースライン時のFVC×Visitの交互作用項を固定効果、患者効果を変量効果としてMMRMに含めた。

 

部分集団におけるFVCの年間減少率:部分集団解析


●画像・病理診断を因子とする部分集団解析
FVCの年間減少率※1を蜂巣肺の有無別※2にみた部分集団解析において、オフェブ群のプラセボ群に対するFVC低下抑制効果は以下のとおりでした。
1 ランダム係数回帰モデルにより推定
2 [蜂巣肺なし]とは、HRCTで蜂巣肺所見がなく、外科的肺生検が得られていない集団
[蜂巣肺あり]とは、HRCTで蜂巣肺所見がある、又は外科的肺生検により特発性肺線維症が確定診断された集団

 

【FVCの年間減少率(蜂巣肺の有無別):併合解析】

【FVCの年間減少率(蜂巣肺の有無別):併合解析】

 

●ベースライン時の%FVC別の部分集団解析
FVCの年間減少率※1を呼吸機能障害の程度別(ベースライン時の%FVCが70%超、70%以下※2)にみた部分集団解析において、オフェブ群のプラセボ群に対するFVC低下抑制効果は以下のとおりでした。
※1 ランダム係数回帰モデルにより推定
※2 いずれもランダム化前の%FVCが50%以上の患者


【FVCの年間減少率(ベースライン時の%FVC別):併合解析】

【FVCの年間減少率(ベースライン時の%FVC別):併合解析】

 

●各部分集団におけるFVCの年間減少率
FVCの年間減少率※1を、各部分集団において解析した結果、性別、年齢、人種、SGRQ総スコア※2、喫煙歴、低用量全身ステロイド療法※2、気管支拡張剤の使用※2において、オフェブ群のプラセボ群に対するFVC低下抑制効果は以下のとおりでした。

※1 ランダム係数回帰モデルにより推定
※2 ベースライン時

 

各部分集団におけるFVCの年間減少率

 

【統計解析手法】
部分集団におけるFVCの年間減少率
•    ランダム係数回帰モデルにより推定:試験、投与群、性別、年齢、身長を固定効果、患者効果(切片と傾き)を変量効果としてランダム係数回帰モデルに含めた。
•    交互作用:試験、投与群、性別、年齢、身長、部分集団因子、投与群×時間×部分集団因子の交互作用項を固定効果、患者効果(切片と傾き)を変量効果としてランダム係数回帰モデルに含めた。


初回急性増悪発現関連事象(試験参加医師の報告)



【初回急性増悪までの期間(試験参加医師の報告):併合解析】(重要な副次評価項目)

【初回急性増悪までの期間(試験参加医師の報告):併合解析】(重要な副次評価項目)


 

【急性増悪例の割合(試験参加医師の報告):併合解析】(副次評価項目)

【急性増悪例の割合(試験参加医師の報告):併合解析】(副次評価項目)

 

【急性増悪例の割合(試験参加医師の報告)】

【急性増悪例の割合(試験参加医師の報告):併合解析】(副次評価項目)

 

 

初回急性増悪発現関連事象(独立判定委員会による判定※1


独立判定委員会により「confirmed acute exacerbation(急性増悪)」又は「suspected acute exacerbation(急性増悪疑い)」と判定された初回急性増悪までの期間は以下のとおりでした。
※1 事前に規定された感度解析として、盲検下で独立判定委員会により中央判定された


【初回急性増悪までの期間(独立判定委員会による判定):併合解析】(重要な副次評価項目 感度解析)

【初回急性増悪までの期間(独立判定委員会による判定):併合解析】(重要な副次評価項目 感度解析)


 

【急性増悪例の割合(独立判定委員会による判定):併合解析】(副次評価項目 感度解析)

【急性増悪例の割合(独立判定委員会による判定):併合解析】(副次評価項目 感度解析)

 

急性増悪は以下をすべて含む1ヵ月以内の説明のつかない臨床像と定義する※1 
•    30日以内の説明できない呼吸困難の悪化又は発現
•    前回来院以降、気胸あるいは胸水(新たなすりガラス陰影の場合)ではない、胸部X線における新たに生じたびまん性肺浸潤影、かつ/又はHRCT上の新たな実質性異常
•    通常の日常臨床診療及び微生物学的検査で以下の他の原因を除外
感染症、左心不全、肺塞栓症、原因が特定できる急性肺障害
※1 試験プロトコールで規定された定義

 

SGRQ総スコアの変化量:重要な副次評価項目


52週時におけるSGRQ総スコアのベースラインからの平均変化量※1はオフェブ群3.53、プラセボ群4.96でした。

※1 MMRMにより推定

 

【SGRQ総スコアの変化量:併合解析】

【SGRQ総スコアの変化量:併合解析】

 

【SGRQ総スコアの変化量】

【SGRQ総スコアの変化量:併合解析】

 

【統計解析手法】
SGRQ総スコアの変化量
•    MMRMにより推定:投与群、Visit、投与群×Visitの交互作用項、ベースライン時のSGRQ総スコア、ベースライン時のSGRQ総スコア×Visitの交互作用項を固定効果(併合解析では試験を追加)、患者効果を変量効果としてMMRMに含めた。

 

全死亡:副次評価項目


52週間での死亡率はオフェブ群5.5%、プラセボ群7.8%でした。死亡までの期間において、オフェブ群とプラセボ群のハザード比は0.70(95%CI:0.43-1.12、Cox回帰モデル)でした(p=0.1399、log-rank検定)。

全死亡:副次評価項目

 

【死亡までの期間※1:併合解析】

全死亡:副次評価項目

 

※1 ランダム化から372日後までを集計


【統計解析手法】
死亡までの期間に対するハザード比
•    Cox回帰モデルにより推定:試験、投与群、性別、年齢及び身長を固定効果としてCox回帰モデルに含めた。
 

安全性

INPULSIS-1試験における有害事象は、オフェブ群309例中298例(96.4%)、プラセボ群204例中181例(88.7%)に認められました。オフェブ群における重篤な有害事象は96例に認められ、主なもの(発現率2%以上)は特発性肺線維症20例(6.5%)でした。オフェブ群における投与中止に至った有害事象は65例に認められ、主なもの(発現率2%以上)は下痢14例(4.5%)、特発性肺線維症、悪心が各7例(2.3%)でした。オフェブ群における死亡は12例に認められ、2例以上に認められた死因は特発性肺線維症7例、肺の悪性新生物2例でした。
主な有害事象(いずれかの治療群で発現率5%以上の有害事象)を表に示します。

INPULSIS-2試験における有害事象は、オフェブ群329例中311例(94.5%)、プラセボ群219例中198例(90.4%)に認められました。オフェブ群における重篤な有害事象は98例に認められ、主なもの(発現率2%以上)は特発性肺線維症22例(6.7%)、肺炎18例(5.5%)でした。オフェブ群における投与中止に至った有害事象は58例に認められ、主なもの(発現率1%以上)は下痢14例(4.3%)、悪心、特発性肺線維症が各6例(1.8%)、肺炎5例(1.5%)、食欲減退4例(1.2%)でした。オフェブ群における死亡は25例に認められ、2例以上に認められた死因は特発性肺線維症11例、肺炎5例、心筋梗塞、呼吸不全が各2例でしたが、いずれも試験薬との因果関係は否定されました。
主な有害事象(いずれかの治療群で発現率5%以上の有害事象)を表に示します。
 

【いずれかの治療群で発現率5%以上の有害事象】

【いずれかの治療群で発現率5%以上の有害事象】

 

1名を複数の重篤度分類基準でカウントしている場合がある

 

 

臨床研究助成プログラム

ベーリンガーインゲルハイムは、医療関係者の皆さまからヘルスケアに関連する研究等の提案を受け付けています。

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