IPF早期治療介入の重要性

IPF(特発性肺線維症)は、軽症でも予後不良な疾患であり、治療介入の遅れは予後に影響する可能性があります。そのため、早期から治療を開始することが大切であると考えられています。

IPFの臨床経過の多様性と早期診断・治療介入の意義


IPFの臨床経過には個人差があります(図1 A〜D)。治療開始時期は、患者個々の病態を考慮して検討されます。無治療で慢性的に徐々に進行する例(図中C)で、早期診断・治療介入した場合(青線)と治療開始が遅れた場合(緑線)を想定すると、診断・治療介入の時期により予後に差が出る可能性があります。IPF治療においては、すみやかに有効な治療を開始することが大切であると考えられています。

図1 IPFの臨床経過の多様性
 

図1 IPFの臨床経過の多様性

 

軽症IPFの予後


IPFは軽症でも予後不良の疾患であることが報告されています。北海道Studyでは、ベースライン時の重症度Ⅰの軽症のIPF患者でも、生存期間中央値は約5年(62ヵ月)であることが示されています。

図2 ベースライン時の重症度別にみたIPF患者の生存期間(北海道Study)

図2 ベースライン時の重症度別にみたIPF患者の生存期間(北海道Study)

 

ベースライン時の呼吸機能(%VC)別の生存率


北海道Studyでベースライン時の呼吸機能(%VC)別の生存率を検討した結果では、呼吸機能が比較的保たれている%VC>80%のIPF患者であっても、生存期間中央値は約5年(62ヵ月)であることが示されました。

図3 ベースライン時の%VC別IPF患者の生存期間(北海道Study)

図3 ベースライン時の%VC別IPF患者の生存期間(北海道Study)

 

早期治療介入の評価


6分間歩行試験(6MWT)は、軽症のIPF患者に対する早期治療介入の評価として、有用な検査であると考えられます。

図4 重症度ⅠのIPF患者における6MWT終了時のSpO2および生存期間
 

図4 重症度ⅠのIPF患者における6MWT終了時のSpO2および生存期間

その他の指標(GAP Stage、mMRC、DLco)


日本の重症度分類(JSC分類)で重症度Ⅰに分類される日本人IPF患者を、米国の重症度分類であるGAPモデルに基づき分類したところ、45%がStageⅡまたはⅢに分類されました。

図5 JSC分類で重症度ⅠのIPF患者のうちGAPモデルStageⅡ/Ⅲが占める割合
 

 図5 JSC分類で重症度ⅠのIPF患者のうちGAPモデルStageⅡ/Ⅲが占める割合

GAPモデルStage分類別予後


GAPモデルによるStage分類別に予後を検討した結果、StageⅠに比べて、StageⅡ/ⅢのIPF患者の予後は、有意に不良であることが示されました。

図6 GAPモデルStage分類別にみた生存率(北海道Study)
 

図6 GAPモデルStage分類別にみた生存率(北海道Study)

mMRCスコア別の予後


ベースライン時の労作時呼吸困難感(mMRCスコア)別に生存率を検討した国内の報告では、mMRCスコア2以上のIPF患者の予後は不良であることが示されました。

図7 mMRCスコア別にみたIPF患者の生存期間
 

 図6 mMRCスコア別にみたIPF患者の生存期間

IPF患者の予後予測因子


IPF患者の予後予測因子を検討したところ、ベースライン時の%DLcoが低値であることがIPFによる死亡の重要な予測因子であることが示されました。

表1 予後予測因子としてのベースライン時の%DLco低値(北海道Study)
 

表1 予後予測因子としてのベースライン時の%DLco低値(北海道Study)

IPFに対する早期治療介入の指標(結論)


上記のデータから、GAP StageⅡ/Ⅲ、mMRC 2以上、%DLco低値は軽症IPF患者の予後予測因子として有用であり、早期治療介入を評価する指標になり得ると考えられます。
 

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