INPULSIS-ON試験(長期的な安全性、忍容性を検討)

試験デザイン

 INPULSIS-ON試験は、INPULSIS試験(INPULSIS-1、INPULSIS-2)を完遂した特発性肺線維症(IPF)患者を対象に、オフェブの長期的な安全性及び忍容性を検討した国際共同第Ⅲ相試験です。

試験デザイン

 

Crestani B. et al. : Lancet Respir Med 2019; 7(1): 60–68.本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。


国際共同第Ⅲ相試験:INPULSIS-ON試験

【試験デザイン】
INPULSIS試験のオープンラベル延長試験

【目的】
オフェブ長期投与の安全性及び忍容性を検討する。

【対象】
INPULSIS試験を完遂したIPF患者734例

【方法】
INPULSIS試験完遂後、4週間の追跡期間を完了した患者をINPULSIS-ON試験に登録し、オープンラベルでオフェブを投与した。INPULSIS試験終了時にオフェブ150mg 1日2回投与又はプラセボ投与であった患者は、オフェブ150mg 1日2回投与とした。オフェブ100mg 1日2回投与又はプラセボ投与であった患者は、試験参加医師との話し合いに基づき、オフェブ100mg 1日2回又は150mg 1日2回の投与とした。試験期間中の100mg 1日2回から150mg 1日2回投与の増量、有害事象による減量や休薬を許容した。

【主要評価項目】
オフェブ長期投与の安全性・忍容性

【探索的有効性評価項目】
192週におけるFVCの年間減少率、ベースラインから192週時までのFVCの変化量、初回急性増悪までの期間、死亡までの期間

【解析計画】
主要評価項目であるオフェブ長期投与の安全性・忍容性については、臨床検査値及び投与中止28日後までに報告された有害事象をMedDRA ver. 20.1に基づいて評価した。
192週におけるFVCの年間減少率については、ランダム係数回帰モデルにより推定し、患者背景別(性別、年齢、人種、FVC、INPULSIS-ON試験開始時の併用薬)に部分集団(サブグループ)解析を実施した。また、併用療法の有無別、INPULSIS-ON試験におけるオフェブの用量別(150mg 1日2回投与、100mg 1日2回投与、両用量の投与)、用量調節別(減量及び休薬あり、減量のみあり、休薬のみあり、減量及び休薬なし)、用量強度別にも部分集団解析を実施した。ランダム係数回帰モデルには、性別、年齢、身長を固定効果、患者効果(切片と傾き)を変量効果として含めた。死亡までの期間及び初回急性増悪までの期間については、カプランマイヤー法による推定値と信頼区間を算出した(Greenwood variance formula)。

Crestani B. et al. : Lancet Respir Med 2019; 7(1): 60–68. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

 

国際共同第Ⅲ相試験(検証試験):INPULSIS試験
(INPULSIS-1試験、INPULSIS-2試験及び両試験の併合解析)1-5)

【試験デザイン】
ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較試験

【対象】
ランダム化までの過去5年以内に特発性肺線維症と診断された40歳以上の患者1,066例(日本人126例含む)

【方法】
対象患者をオフェブ群あるいはプラセボ群に3:2の比率でランダムに割り付け、試験薬を52週間投与し、有効性と安全性を検討した(INPULSIS-1試験:515例、INPULSIS-2試験:551例)。用法・用量として150mgを1日2回投与した。なお、有害事象への対応として試験参加医師の判断で中断及び/又は100mg 1日2回への減量を一時的または永続的に許容した。有害事象回復後は、150mg 1日2回への増量が推奨され、減量後4週間以内であれば増量が可能であった。

【解析計画】
主要評価項目には、性別、年齢、身長を共変量としたランダム係数回帰モデル(ランダム切片・傾き)を用いた。重要な副次評価項目について、52週時におけるSGRQ総スコアの変化量には、ベースラインのSGRQ総スコアを共変量とした混合効果モデルによる反復測定法(MMRM)を用い、初回急性増悪までの期間では、log-rank検定を用いて解析し、ハザード比は性別、年齢、身長を共変量としたCox回帰モデルを用いて算出した。プラセボ投与に対するオフェブ150mg 1日2回投与の優越性の検証では、検定の多重性を調整するため、主要評価項目及び2つの重要な副次評価項目において有意水準2.5%(片側検定)として階層手順を用いた。階層仮説検定の順位は、①FVCの年間減少率 ②SGRQ総スコアの変化量 ③急性増悪とした。有効性評価項目は試験毎の解析に加え、併合解析を行うことが事前に規定された。主要評価項目及び重要な副次評価項目における部分集団(サブグループ)※1 解析は併合解析を行うことが事前に規定された。部分集団解析は、部分集団における治療効果の一貫性を検討するために実施された。

【主要評価項目】
FVCの年間減少率(mL/年)

【重要な副次評価項目】
初回急性増悪までの期間(試験参加医師の報告)※2、SGRQ総スコアの変化量

【副次評価項目】
ベースラインから投与52週時までのFVCの変化量、急性増悪例の割合、死亡率、死亡までの期間など

【主要評価項目結果】
オフェブ群はプラセボ群に対してFVCの年間減少率の低下を統計学的に有意に抑制した(群間差:109.9mL/年、95%CI:75.9-144.0、p<0.0001、ランダム係数回帰モデル)。

【安全性】
INPULSIS-1試験における有害事象は、オフェブ群309例中298例(96.4%)、プラセボ群204例中181例(88.7%)に認められました。オフェブ群における重篤な有害事象は96例に認められ、主なもの(発現率2%以上)は特発性肺線維症20例(6.5%)でした。オフェブ群における投与中止に至った有害事象は 65例に認められ、主なもの(発現率2%以上)は下痢14例(4.5%)、特発性肺線維症、悪心が各7例(2.3%)でした。オフェブ群における死亡は12例に認められ、2例以上に認められた死因は特発性肺線維症7例、肺の悪性新生物2例でした。

INPULSIS-2試験における有害事象は、オフェブ群329例中311例(94.5%)、プラセボ群219例中198例(90.4%)に認められました。オフェブ群における重篤な有害事象は98例に認められ、主なもの(発現率2%以上)は特発性肺線維症22例(6.7%)、肺炎18例(5.5%)でした。オフェブ群における投与中止に至った有害事象は58例に認められ、主なもの(発現率1%以上)は下痢14例(4.3%)、悪心、特発性肺線維症が各6例(1.8%)、肺炎5例(1.5%)、食欲減退4例(1.2%)でした。オフェブ群における死亡は25例に認められ、2例以上に認められた死因は特発性肺線維症11例、肺炎5例、心筋梗塞、呼吸不全が各2例でしたが、いずれも試験薬との因果関係は否定されました。

※1 部分集団[ベースライン時の%FVC(70%超、70%以下)、SGRQ総スコア(40 超、40 以下)、低用量全身ステロイド療法の有無、気管支拡張剤の使用の有無、及び性別(男性、女性)、年齢(65 歳以上、65 歳未満)、人種(白人、アジア人)、喫煙歴の有無]
※2 すべての急性増悪は、事前に規定された感度解析として、盲検下で独立判定委員会により中央判定された。

1) Richeldi L. et al.: N Engl J Med 2014; 370(22): 2071-2082.
本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。
2)社内資料 国際共同第Ⅲ相試験(試験1199.32)[承認時評価資料]
3)社内資料 国際共同第Ⅲ相試験(試験1199.34)[承認時評価資料]
4)社内資料 国際共同第Ⅲ相試験(有効性の併合解析)[承認時評価資料]
5)社内資料 国際共同第Ⅲ相試験(安全性の併合解析)[承認時評価資料]

 

 

患者背景

INPULSIS 試験完遂例807例のうち、734例(オフェブ継続投与群430例、プラセボからオフェブへ切り替えた新規投与群304 例)がINPULSIS-ON試験に登録され、患者背景は下表のとおりでした。

患者背景

 

Crestani B. et al. : Lancet Respir Med 2019; 7(1): 60–68. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

 

 

オフェブの曝露期間

INPULSIS-ON試験におけるオフェブの曝露期間の中央値は、31.5ヵ月(範囲: 0.0–56.3ヵ月)でした。
曝露期間の中央値は、オフェブ継続投与群32.8ヵ月(0.1–56.3ヵ月)、オフェブ新規投与群29.4ヵ月(0.0–55.0ヵ月)でした。
INPULSIS試験とINPULSIS-ON試験を合わせたオフェブの曝露期間の中央値は、44.7ヵ月(11.9–68.3ヵ月)でした。

オフェブの曝露期間

 

Crestani B. et al. : Lancet Respir Med 2019; 7(1): 60–68. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

 

 

安全性(主要評価項目)

  • 有害事象は、オフェブ継続投与群430例中422例(98%)、オフェブ新規投与群304例中301例(99%)に認められました。最も多く認められた有害事象は、下痢でした。
  • 重篤な有害事象は、オフェブ継続投与群300例、オフェブ新規投与群206例に認められました。
  • 投与中止に至った有害事象は、オフェブ継続投与群172例、オフェブ新規投与群141例に認められ、主なものは、オフェブ継続投与群では、IPFの進行51例、下痢20例、呼吸不全8例、オフェブ新規投与群では、IPFの進行43例、下痢31例、悪心6例でした。

※ 重篤な有害事象の内訳、死亡に至った有害事象は、文献に記載がありませんでした。


■主な有害事象(いずれかの群で発現率が10/100人年超であった有害事象)

主な有害事象

 

Crestani B. et al. : Lancet Respir Med 2019; 7(1): 60–68. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

 

 

MACE、心筋梗塞、出血

INPULSIS試験、INPULSIS-ON試験において、曝露量で補正した、主要心血管イベント(MACE)、心筋梗塞、出血の発現は、下表のとおりでした。

MACE、心筋梗塞、出血

 

Crestani B. et al. : Lancet Respir Med 2019; 7(1): 60–68. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

 

 

肝酵素上昇

AST及び/又はALTが基準値上限の3倍以上に上昇した患者は、オフェブ継続投与群では3.5%、オフェブ新規投与群では6.6%でした。

肝酵素上昇

 

Crestani B. et al. : Lancet Respir Med 2019; 7(1): 60–68. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

 

 

有効性(探索的評価項目): FVCの年間減少率

192週におけるFVCの年間減少率は、オフェブ継続投与群では-145.0mL/年、オフェブ新規投与群では-119.7mL /年でした(INPULSIS試験のオフェブ群では-113.6mL/年)。

有効性(探索的評価項目): FVCの年間減少率

 

【統計解析手法】192週におけるFVCの年間減少率:ランダム係数回帰モデルにより推定:性別、年齢、身長を固定効果、患者効果(切片と傾き)と時間を変量効果としてランダム係数回帰モデルに含めた。

Crestani B. et al. : Lancet Respir Med 2019; 7(1): 60–68. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

 

 

有効性(探索的評価項目): FVCの年間減少率:部分集団解析

INPULSIS-ON試験開始時の%FVC(呼吸機能障害の程度)別の、オフェブによる呼吸機能低下抑制効果は以下のとおりでした。

 

■%FVC別

%FVC別

 

【統計解析手法】192週におけるFVCの年間減少率:ランダム係数回帰モデルにより推定:性別、年齢、身長を固定効果、患者効果(切片と傾き)と時間を変量効果としてランダム係数回帰モデルに含めた。

Crestani B. et al. : Lancet Respir Med 2019; 7(1): 60–68. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

INPULSIS-ON試験中の用量調節の有無別の、オフェブによる呼吸機能低下抑制効果は以下のとおりでした。

 

■用量調節の有無別

用量調節の有無別

 

【統計解析手法】192週におけるFVC年間減少率:ランダム係数回帰モデルにより推定:性別、年齢、身長を固定効果、患者効果(切片と傾き)と時間を変量効果としてランダム係数回帰モデルに含めた。

Crestani B. et al. : Lancet Respir Med 2019; 7(1): 60–68. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

 

 

有効性(探索的評価項目): 死亡率

INPULSIS-ON試験における約5年にわたる追跡期間中の死亡率は、オフェブ継続投与群で24%でした。

有効性(探索的評価項目): 死亡率

 

【統計解析手法】死亡までの期間については、カプランマイヤー法による推定値と信頼区間を算出した(Greenwood variance formula)。

Crestani B. et al. : Lancet Respir Med 2019; 7(1): 60–68. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

 

 

臨床研究助成プログラム

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