ILD臨床診断グループ別にみたオフェブの有効性及び安全性~INBUILD試験におけるILD臨床診断グループ別の部分集団解析~

INBUILD試験は、進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)におけるオフェブの有効性と安全性を検討した国際共同第Ⅲ相試験です。ここでは、PF-ILDに含まれる各疾患を、過敏性肺炎、自己免疫性間質性肺疾患、特発性非特異性間質性肺炎、分類不能型特発性間質性肺炎、他の間質性肺疾患の5つのグループに分けて検討した、ILD臨床診断グループ別の部分集団解析の結果をご紹介します。 

国際共同第Ⅲ相試験(検証試験):INBUILD試験の試験概要

INBUILD試験は、IPF以外のILDと診断され、胸部HRCTでの線維化の広がりが肺全野の10%超で確認され、かつ医師により適切と考えられた疾患管理を行ったにもかかわらずスクリーニング前の24ヵ月以内においてILDの進行性の基準を満たす患者663例を対象として行われました。

 

■ 試験概要

 

INBUILD試験の試験概要

 

試験デザイン:ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較試験
実施地域:日本を含む15ヵ国、153施設
目的:進行性線維化を伴う間質性肺疾患患者におけるオフェブ150mg 1日2回投与の有効性と安全性を検討する。
対象:特発性肺線維症を除く進行性線維化を伴う間質性肺疾患の患者663例(日本人108例含む)
方法:対象患者をオフェブ群あるいはプラセボ群に1:1の比率でランダムに割り付け、試験薬を52週間投与し、有効性と安全性を検討した。中央判定したHRCTパターンに基づき、通常型間質性肺炎(UIP)様線維化パターン、又は他の線維化パターンにより層別化してランダム化を行った。用法・用量として150mgを1日2回投与した。投与期間は52週以降、本試験終了(最後の患者の最終観察終了時と定義)、又は投与中止の理由に該当するまでとし、割り付けられた試験薬を盲検下で継続投与した。有害事象への対応として、中断又は100mg 1日2回への減量を可能とした。
主要評価項目:投与52週までのFVCの年間減少率(mL/年)
解析計画:解析対象として、全患者(全体集団)及びHRCTでUIP様線維化パターンがみられる患者(HRCTでUIP様線維化パターンがみられる集団)の2つをco-primary評価集団と定義し、主要評価項目の解析はco-primary評価集団で実施した。主要評価項目の解析にはランダム係数回帰モデル(ランダム切片・傾き)を用いた。
プラセボ投与に対するオフェブ150mg 1日2回投与の優越性の検証は、2つのco-primary評価集団で主要評価項目について検定を実施した。検定の多重性の調整にはHochberg法を用い、2つのco-primary評価集団でともに両側有意水準5%で有意であった場合、又はいずれかの集団で両側有意水準2.5%で有意であった場合に統計学的に有意とした。
主要評価項目について、次の部分集団解析を行うことが事前に規定された。性別(男性、女性)、年齢(65歳未満、65歳以上)、人種(白人、アジア人、黒人又はアフリカ系アメリカ人)、ベースライン時の%FVC(70%以下、70%超)、ILD臨床診断グループ[過敏性肺炎(過敏性肺臓炎)、特発性非特異性間質性肺炎、分類不能型特発性間質性肺炎、自己免疫性間質性肺疾患、他の間質性肺疾患]。

 

■ INBUILD試験におけるILDの進行性の基準

線維化を伴うILDが進行性であるかどうかの決定は、現在までに適切なガイドラインはなく、臨床診療において、呼吸器症状の悪化が、呼吸機能の低下及び/又は胸部画像上での線維化の広がりを伴う場合に病態の進行と判断されています。INBUILD試験では、IPF以外のILDと診断され、胸部HRCTでの線維化の広がりが肺全野の10%超で確認され、かつ医師により適切と考えられた疾患管理を行ったにもかかわらずスクリーニング前の24ヵ月以内において表1のⅰ)~ⅳ)のいずれかのILDの進行性の基準を満たす患者を対象としました。

 

表1 ILDの進行性の基準

 

呼吸機能の低下
(%FVCの相対変化量)

HRCT

症状

ⅰ)

10%以上

ⅱ)

5%以上、10%未満

呼吸器症状の悪化

ⅲ)

5%以上、10%未満

胸部画像上での線維化変化の増加

ⅳ)

胸部画像上での線維化変化の増加

呼吸器症状の悪化

社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(1199.247試験)[承認時評価資料]

患者背景

■ 各ILD臨床診断グループの割合


INBUILD試験における各ILD臨床診断グループの患者は、過敏性肺炎 173例(26.1%)、自己免疫性間質性肺疾患 170例(25.6%)、特発性非特異性間質性肺炎 125例(18.9%)、分類不能型特発性間質性肺炎 114例(17.2%)、他の間質性肺疾患 81例(12.2%)でした(図1)。

 

図1 各ILD臨床診断グループの割合

 

図1 各ILD臨床診断グループの割合

 

Wells AU. et al.: Lancet Respir Med 2020; 8(5): 453-460. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

 

 

■ ILD臨床診断グループ別の患者背景


各ILD臨床診断グループにおけるベースライン時の患者背景は表2のとおりでした。

 

表2 ILD臨床診断グループ別のベースライン時の患者背景

 

表2 ILD臨床診断グループ別のベースライン時の患者背景

 

Wells AU. et al.: Lancet Respir Med 2020; 8(5): 453-460. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

 

有効性

■ 各ILD臨床診断グループにおける投与52週までのFVCの年間減少率:主要評価項目 (部分集団解析)


全体集団における投与52週までのFVCの年間減少率(主要評価項目)は、オフェブ群-80.8mL/年、プラセボ群-187.8mL/年(群間差:107.0mL/年、95%CI:65.4–148.5、p<0.0001)(検証的な解析結果)でした。また、各ILD臨床診断グループにおけるFVCの年間減少率(部分集団解析)は図2のとおりでした。
投与52週までのFVCの年間減少率をILD臨床診断グループ別に解析した結果、オフェブのFVC低下抑制効果は図3のとおりでした。
※ ランダム係数回帰モデルにより推定

図2 投与52週までのFVCの年間減少率

 

図2 投与52週までのFVCの年間減少率

 

社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(1199.247試験)[承認時評価資料]

 

図3 投与52週までのFVCの年間減少率のforest plot

 

図3 投与52週までのFVCの年間減少率のforest plot

 

Wells AU. et al.: Lancet Respir Med 2020; 8(5): 453-460. より改変 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

安全性

全体集団における投与52週間の有害事象は、オフェブ群332例中317例(95.5%)、プラセボ群331例中296例(89.4%)に認められました。オフェブ群における重篤な有害事象は107例に認められ、主なものは肺炎12例、間質性肺疾患11例、急性呼吸不全10例でした。オフェブ群における投与中止に至った有害事象は65例に認められ、主なものは下痢19例、ALT増加6例、薬物性肝障害、AST増加が各4例でした。オフェブ群における死亡に至った有害事象は11例に認められ、内訳は急性呼吸不全3例、肺炎2例、間質性肺疾患、呼吸不全、間質性肺疾患・呼吸不全、冠動脈硬化症、敗血症性ショック、死亡が各1例でした。
各ILD臨床診断グループにおける投与52週間の有害事象は表3のとおりであり、全体集団で報告されている有害事象と同様でした。
※ 患者1名を複数の重篤度分類基準でカウントしている場合がある

 

表3 投与52週間における有害事象

 

表3 投与52週間における有害事象

 

Wells AU. et al.: Lancet Respir Med 2020; 8(5): 453-460. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

まとめ

INBUILD試験は各部分集団におけるオフェブの有効性を検証するための検出力がないことに注意が必要ですが、事前規定された本検討において、オフェブのFVC年間減少率の低下抑制効果は一貫していました。また、各ILD臨床診断グループにおける有害事象は全体集団と同様でした。

文献

1)Wells AU. et al.: Lancet Respir Med 2020; 8(5): 453-460. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。


2)社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(1199.247試験)[承認時評価資料]
 

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