進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)におけるオフェブの有効性と安全性

2020年5月、オフェブの効能・効果に「進行性線維化を伴う間質性肺疾患」(PF-ILD)が追加されました。PF-ILDとは、さまざまな間質性肺疾患(ILD)のうち、臨床経過のある時点において進行性の線維化が見られるものを指します1)。IPFは進行性の線維化を特徴とする代表的な疾患ですが、IPF以外の特発性間質性肺炎(IIPs)や自己免疫性ILD、曝露に関連したILDなども進行性の線維化を伴う場合があります(図1)1)
本コンテンツではオフェブの作用機序と、PF-ILDにおけるオフェブの国際共同第III相試験の結果をご紹介します。
 

図1

図1

 

 

 

オフェブの作用機序

オフェブは、肺の線維化に関与する血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、および線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)を標的とした低分子チロシンキナーゼ阻害剤です2)。各受容体においてATP結合ポケットを占拠することによりシグナル伝達を阻害し2)、線維芽細胞の増殖、遊走、生存及び血管新生の抑制にはたらくと考えられます(図2)。

 

図2

図2

 

 

 

PF-ILDにおけるオフェブの国際共同第III相試験(INBUILD試験)

INBUILD試験は、PF-ILDを対象とした国際共同第III相試験です。対象患者663例がオフェブ群またはプラセボ群にランダムに割り付けられ、52週間以上継続して投与されました(図3)。本試験では、IPF以外のILDと診断され、胸部HRCTでの線維化の広がりが肺全野の10%超で確認され、かつ医師により適切と考えられた疾患管理を行ったにもかかわらずスクリーニング前の24ヵ月以内において i)~ iv)のいずれかのILDの進行性の基準を満たす患者を対象としました。(図4、5)

 

図3

図3

 

図4

図4

 

図5

図5

 

全体集団において、過敏性肺炎および自己免疫性ILDの患者はそれぞれ約4分の1、特発性非特異性間質性肺炎(iNSIP)および分類不能型IIPsの患者はそれぞれ約5分の1でした(図6)。

 

図6

図6

 

 

 

投与52週までのFVC年間減少率への影響

本試験の主要評価項目である投与52週までのFVCの年間減少率の補正平均値は、全体集団において、オフェブ群-80.8 mL/年、プラセボ群-187.8 mL/年であり、オフェブ群のプラセボ群に対する相対減少率は57%でした。また、HRCTでUIP様線維化パターンのみがみられる集団では、オフェブ群-82.9 mL/年、プラセボ群-211.1 mL/年であり、オフェブ群のプラセボ群に対する相対減少率は61%でした。全体集団とHRCTでUIP様線維化パターンがみられる集団のいずれにおいてもオフェブ群とプラセボ群のFVCの年間減少率に有意な差が認められ、オフェブによる有意な呼吸機能低下の抑制が検証されました(図7)。

 

図7

図7

 

 

 

<参考情報>L-PF symptomsドメインスコアへの影響

肺線維症患者に対して開発されたL-PF(Living with Pulmonary Fibrosis)symptomsスコアは、①呼吸困難、②咳嗽、③疲労の3つの領域における質問に基づいて算出されるスコアであり、高値ほど症状が重いことを表します。
投与52週時における全体集団でのL-PF symptoms呼吸困難ドメインスコアについて、ベースラインからの変化量の補正平均値は、オフェブ群で4.3、プラセボ群で7.8でした。また、L-PF symptoms咳嗽ドメインスコアの変化量の補正平均値は、オフェブ群-1.8、プラセボ群4.3でした(図8)。
 

 

図8

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図9

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安全性

全期間における主な有害事象は、オフェブ群で下痢240例(72.3%)、悪心100例(30.1%)、嘔吐64例(19.3%)など、プラセボ群で下痢85例(25.7%)、気管支炎64例(19.3%)、呼吸困難57例(17.2%)などでした。オフェブ群において、重篤な有害事象として主なものは、肺炎24例、間質性肺疾患19例、急性呼吸不全16例などでした。また、投与中止に至った有害事象は、下痢21例、ALT増加6例、薬物性肝障害5例などであり、死亡例は急性呼吸不全4例、呼吸不全3例、肺炎2例などでした(図10)。

 

図10

図10

 

投与52週までの間に有害事象として認められた下痢、悪心、嘔吐についての重症度は次の結果となりました(図11)。
オフェブ群の有害事象のうち、下痢221例の重症度は、Grade 1が66.5%、Grade 2が23.1%、Grade 3が10.4%、Grade4・5は認められませんでした。悪心96例は軽度が80.2%、中等度が19.8%であり、高度の悪心は認められませんでした。嘔吐61例は、軽度が78.7%、中等度が21.3%であり、高度の嘔吐は認められませんでした。
 

 

図11

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文献

1) Cottin V. et al.: Eur Respir Rev 2019; 28(151): 180100.
2) Hilberg F. et al.: Cancer Res 2008; 68(12): 4774-4782.
 

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