ベロテック®エロゾル100

エロゾル製剤は気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、じん肺症に対し使用される、気管支拡張剤です。

重要なお知らせ

このページは医療関係者の方向けに使いやすさを配慮した処方に関連する資料です。公式の電子添文が必要な場合には、ページ下部のボタンよりPDF形式でダウンロードしてください。

警告

  • 本剤の使用は、患者が適正な使用方法について十分に理解しており、過量投与になるおそれのないことが確認されている場合に限ること。(「重要な基本的注意」の項参照)
  • 本剤の投与は、他のβ2刺激薬吸入剤が無効な場合に限ること。(「効能又は効果に関連する注意」の項参照)
  • 小児に対しては、他のβ2刺激薬吸入剤が無効な場合で、入院中など、医師の厳重な管理・監督下で本剤を投与する場合を除き、投与しないこと。(「小児等」の項参照)

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  • カテコールアミン(エピネフリン、イソプロテレノール等) を投与中の患者(「併用禁忌」の項参照)
  • 本剤に対して過敏症の既往歴のある患者
製品の主な特徴
製品名 ベロテックエロゾル100
区分 気管支拡張剤
適応症 気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、じん肺症
有効成分 フェノテロール臭化水素酸塩

製品の基本情報

組成

販売名 ベロテックエロゾル100
有効成分 1g中フェノテロール臭化水素酸塩1.923mg
(1回噴霧中0.1mg)
添加剤 無水エタノール、無水クエン酸、1,1,1,2-テトラフルオロエタン

製剤の性状

販売名 ベロテックエロゾル100
剤形 定量噴霧式エアゾール剤
内容物 無色~微黄褐色澄明の液
におい 特異なにおい

下記疾患の気道閉塞性障害に基づく呼吸困難など諸症状の緩解
○気管支喘息
○慢性気管支炎
○肺気腫
○じん肺症

  • 本剤は喘息発作に対する対症療法剤であるので、本剤の使用は発作発現時に限ること。
  • 本剤の投与は、他のβ2刺激薬吸入剤が無効な場合に限ること。(「警告」の項参照)

通常1回2吸入(フェノテロール臭化水素酸塩として0.2mg)する。成人には2~5分間たって効果が不十分な場合はさらに1~2吸入する。

1回2吸入を原則とするが、1回1吸入からはじめ、効果を確認しながら使用すること。なお、吸入後2~5分を待っても十分な効果がみられない場合には、2吸入を限度として追加吸入できるが、それ以上の追加吸入を行うときは、少なくとも6時間の間隔をおき、1日4回までとすること。(「重要な基本的注意」の項参照)

  • 過度に使用を続けた場合、不整脈、場合により心停止を起こすおそれがあり、特に発作発現時の吸入投与の場合には、使用が過度になりやすいので十分に注意すること。また、患者に対し、本剤の過度の使用による危険性があることを理解させ、「用法及び用量に関連する注意」の注意及びその他必要と考えられる注意を与えること。(「用法及び用量に関連する注意」の項参照)
  • 投与にあたっては、過度の使用を防止するために、用法用量を正しく指導し、経過観察を十分に行うこと。用法用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合には、気道炎症の増悪が疑われ、本剤の効果が認められないままに過度の使用になる可能性があるので、本剤の投与を中止し、他の適切な治療法に切り替えること。(「警告」の項参照)
  • 発作が重篤で吸入投与の効果が不十分な場合には、可及的速やかに医療機関を受診し治療を受けるよう注意を与えること。

合併症・既往歴等のある患者

  • 甲状腺機能亢進症の患者
    症状を悪化させるおそれがある。
  • 高血圧症の患者
    血圧が上昇することがある。
  • 心疾患のある患者
    動悸、不整脈等があらわれることがある。
  • 糖尿病の患者
    症状を悪化させるおそれがある。
  • 低酸素血症の患者
    血清カリウム値をモニターすることが望ましい。低酸素血症は血清カリウム値の低下が心リズムに及ぼす作用を増強することがある。(「重大な副作用」の項参照)

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること。動物実験(ラット)で胎児骨格異常の出現頻度の増加が認められている1)

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ウサギ)で母乳中へ移行することが報告されている2)

小児等

  • 他のβ2刺激薬吸入剤が無効な場合で、入院中など、医師の厳重な管理・監督下で本剤を投与する場合を除き、投与しないこと。(「警告」の項参照)
  • 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

高齢者

減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
カテコールアミン(エピネフリン、イソプロテレノール等)
 エピネフリン製剤( エピネフリン、ボスミン注、ノルエピネフリン)
 イソプロテレノール製剤(アスプール液、メジヘラー・イソ)
(「禁忌」の項参照)
不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがある。 エピネフリン、イソプロテレノール等のカテコールアミン併用により、アドレナリン作動性神経刺激の増大が起きる。
そのため不整脈を起こすことが考えられる。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
キサンチン誘導体
 テオフィリン
 アミノフィリン
ステロイド剤
 ベタメタゾン
 プレドニゾロン
 コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム
利尿剤
 フロセミド
(「重大な副作用」の項参照)
血清カリウム値の低下作用を増強することがある。
血清カリウム値のモニターを行う。
キサンチン誘導体はアドレナリン作動性神経刺激を増大させるため、血清カリウム値の低下を増強することが考えられる。
ステロイド剤及び利尿剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が増強することが考えられる。

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

重篤な血清カリウム値の低下(頻度不明)

キサンチン誘導体、ステロイド剤及び利尿剤の併用により増強することがあるので、重症喘息患者では特に注意すること。 (「低酸素血症の患者」、「併用注意」の項参照)

その他の副作用

  5%以上 0.1~5%未満 頻度不明
循環器 動悸   頻脈
精神神経系   振戦、頭痛  
消化器     嘔気
呼吸器     咽喉刺激感、咳嗽
過敏症     発疹、そう痒症、蕁麻疹
その他   倦怠感  

本剤はアレルゲンによる皮膚反応に抑制的に作用する場合があるので、注意すること。

薬剤交付時の注意

  • 吸入前
    本剤の効果を十分に発揮するため、痰がからんでいるようなときは、使用前にできるだけ出しておくこと。
  • 使用方法
    本剤の効果を十分にあらわすためには正しい使い方をすることが大切である。初めてエロゾルを使用する場合には、鏡の前で試みるのが望ましい。
    この装置は指でおさえ圧を加えることにより何回も使用でき、一定量が噴霧された後、自動的にもとの状態にもどるようになっている。なお、容器の底を上にして圧を加えないと薬剤が噴霧されないので、この点注意すること。容器1ボンベ(10mL)で約200回吸入できるが、内容物が外から見えないので、時々容器を振って中に液があるか否かを確かめておく必要がある。
    次の順序で使用する。
    (1)キャップをはずす。
    なお、初めて使用する場合及び前回使用から3日間(72時間)使用していない場合には、2回噴霧し、正しく噴霧されるか確かめる。ただし、このとき顔に向け噴霧しないこと。
    (2)息をはき出す。
    (3)容器を持ち、吸入口を歯で軽くくわえる。このとき、容器の底は上を向く。
    (4)できるだけ深く息を吸い込みながら、容器の底を1回垂直に強く押す。数秒間息をとめ、その後、口からアダプターをはずしゆっくり息をはき出す。
    (5)2吸入する場合は(2)~(4)の手順を繰り返す。
    (6)使用後はキャップをつける。
    (7)吸入終了後はうがいをする。

血中濃度

健康成人5例に本剤0.2mgを単回吸入投与した場合、約3時間で最高血中濃度約0.6ng/mLに達した。血中濃度の半減期は約6時間であった3),5)(外国人データ)。

吸収

慢性閉塞性肺疾患患者に本剤0.2mg又は0.4mg注)を単回吸入投与した場合のバイオアベイラビリティは9~12%であった4)(外国人データ)。

分布

健康成人の血清蛋白に対する結合率は、本剤2.5μg/mLで約45%であった5)(外国人データ)。

代謝

健康成人に経口投与した場合、代謝は速やかで、主代謝産物は硫酸抱合体である6)(外国人データ)。

排泄

48時間で尿中に約19%、糞中に約63%が排泄される3)(外国人データ)。
注)本剤の承認用量は1回0.2mg吸入。

気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫を対象とした二重盲検比較試験の結果、本剤の有用性が認められた。これら二重盲検比較試験を含む臨床試験が国内93施設、総計1,289例について実施された。承認された効能・効果において、効果判定がなされた982例での有効率(有効以上)は51.7%であった。

作用機序

本剤の主作用は、β2アドレナリン受容体刺激による気管支平滑筋弛緩作用(気管支拡張作用)である。

気管支拡張作用

モルモットの摘出気管支平滑筋標本において、本剤はイソプロテレノール、サルブタモールよりも強い弛緩作用を示した7)。成人気管支喘息患者に吸入投与した場合、本剤はイソプロテレノールよりも強い気管支拡張作用を示すことが認められた8)
また、イヌの生体位において、本剤はイソプロテレノール、サルブタモールに比べ、作用持続時間は長かった9)。成人気管支喘息患者に吸入投与した場合、本剤は吸入直後より効果が発現し、作用は8時間以上持続することが認められた8),10)

β2アドレナリン受容体への選択性

モルモットの摘出標本および生体位において、本剤の気管(気管支) 拡張作用(β2アドレナリン受容体刺激作用)は、心拍動数増加作用(β1アドレナリン受容体刺激作用)に比べ強く、β2アドレナリン受容体に対する選択性は高かった7),9)

抗アレルギー作用

抗原-抗体反応による感作ヒト肺組織からSRS-Aの遊離、および気管支喘息患児白血球からのヒスタミン遊離を抑制することが認められた。なお、気管支喘息患児に経口投与した場合、ハウスダストによる皮膚反応が抑制されることが認められた11)~13)

実験的喘息防御作用

成人気管支喘息患者におけるヒスタミン、アセチルコリン、セロトニン誘発喘息および成人気管支喘息患者のアレルゲン誘発喘息に対し、本剤を吸入投与した場合、緩解作用を示すことが認められた14),15)
また、気管支喘息患児の運動負荷喘息に対しても、本剤を吸入投与した場合、緩解作用を示すことが認められた16)

気道線毛運動亢進作用

ラットの摘出気管支標本において、線毛運動亢進作用を示した。成人閉塞性気管支疾患患者に本剤を吸入投与した場合、気道粘液クリアランス速度の増大が認められた17),18)

一般的名称:フェノテロール臭化水素酸塩(JAN)
(Fenoterol Hydrobromide)(JAN)
(Fenoterol)(INN)

化学名:(R*,R*)-1-(3,5-dihydroxyphenyl)-2-[1-(4-hydroxy-benzyl)ethylamino]ethanol hydrobromide

分子式:C17H21NO4・HBr

分子量:384.26

性状:白色の結晶性の粉末である。メタノールに溶けやすく、水又はエタノール(95)にやや溶けやすく、ギ酸にやや溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。本品の水溶液(1→25)は旋光性がない。本品1.0gを水25mLに溶かした液のpHは4.2~5.2である。

化学構造式:

化学構造式

融点:約230℃(分解)

分配係数:4.8×10-1(pH7、n-オクタノール/水)

  • まれにゴミがつまり噴射しない場合があるので、その場合は、よく消毒した針でステム孔(突起の根元)を掃除すること。また、アダプターの噴射孔にゴミがつまり噴射しない場合には、アダプターを水でよく洗い、乾燥してから用いること。
  • 使用後火中に投じないこと。
  • 地方自治体により定められたボンベの廃棄処理法にしたがうこと。

1ボンベ(10mL)×5

  1. 社内資料:生殖発生毒性試験
  2. Meissner J et al. Arzneimitelforsch; 1974. 24. 1213
  3. Seyberth H W et al. Verh Dtsch Ges Inn Med. 1973; 79. 888-891
  4. Schmidt E W et al. Respiration; 1995. 62. 190
  5. 吸収、分布、代謝、排泄に関する資料(社内資料)
  6. Buchelt L et al. Medical Proceedings Mediese Bydraes. 1972;18. 15
  7. 柳川孝生ほか. 応用薬理; 1980. 20. 415
  8. 滝島任ほか. 臨牀と研究; 1976. 53. 197
  9. Giles R E et al. J Pharmacol Exp Ther ; 1973. 186. 472
  10. Riedel-Dibbern E et al. Int J Clin Pharmacol Suppl 4; 1972. 129
  11. Hughes J M et al. Eur J Pharmacol; 1983. 95. 239
  12. 富田有祐ほか. 臨床薬理; 1981. 12. 49
  13. 西間三馨ほか. 小児科臨床; 1984. 37. 1911
  14. Benjamin C. Medical Proceedings Mediese Bydraes; 1972. 18. 35
  15. Woitowitz H J et al. Respiration; 1972. 29. 549
  16. 永倉俊和ほか. アレルギー; 1981. 30. 335
  17. Iravani J et al. Int J Clin Pharmacol Beiheft; 1972. 4. 20
  18. Felix R et al. Prax Pneumol; 1978. 32. 777
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