特発性レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)
本剤は特発性レストレスレッグス症候群に対し使用される、レストレッグス症候群治療剤です。
重要なお知らせ
このページは医療関係者の方向けに使いやすさを配慮した処方に関連する資料です。公式の電子添文が必要な場合には、ページ下部のボタンよりPDF形式でダウンロードしてください。
警告
禁忌(次の患者には投与しないこと)
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[特定の背景を有する患者に関する注意の項参照]
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
製品名 | ビ・シフロール®錠0.125mg/ビ・シフロール®錠0.5mg |
区分 | 劇薬、処方箋医薬品注) |
適応症 | 特発性レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群) |
有効成分 | プラミペキソール塩酸塩水和物 |
注)注意-医師等の処方箋により使用すること
製品の基本情報
組成
販売名 | ビ・シフロール錠0.125mg | ビ・シフロール錠0.5mg |
有効成分 | 1錠中 プラミペキソール塩酸塩 水和物 0.125mg |
1錠中 プラミペキソール塩酸塩 水和物 0.5mg |
添加剤 | トウモロコシデンプン、軽質無水ケイ酸、ポビドンK25、ステアリン酸マグネシウム、D-マンニトール | |
製剤の性状
販売名 | ビ・シフロール錠0.125mg | ビ・シフロール錠0.5mg |
剤形 | 白色の素錠 | 白色の素錠(割線) |
外形 |
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長径 | 6mm | 10. 6mm |
短径 | 6mm | 7. 6mm |
厚さ | 2.3~2.5mm | 2.7~2.9mm |
重さ | 0.085g | 0.21g |
識別コード | ![]() |
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○パーキンソン病
○中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)
レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)の診断は、国際レストレスレッグス症候群研究グループの診断基準及び重症度スケールに基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ投与すること。
〈パーキンソン病〉
通常、成人にはプラミペキソール塩酸塩水和物として1日量0.25mgからはじめ、2週目に1日量を0.5mgとし、以後経過を観察しながら、1週間毎に1日量として0.5mgずつ増量し、維持量(標準1日量1.5~4.5mg)を定める。1日量がプラミペキソール塩酸塩水和物として1.5mg未満の場合は2回に分割して朝夕食後に、1.5mg以上の場合は3回に分割して毎食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減ができるが、1日量は4.5mgを超えないこと。
〈中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)〉
通常、成人にはプラミペキソール塩酸塩水和物として0.25mgを1日1回就寝2~3時間前に経口投与する。投与は1日0.125mgより開始し、症状に応じて1日0.75mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこと。
〈パーキンソン病〉
- 本剤の投与は、少量から開始し、幻覚等の精神症状、消化器症状、血圧等の観察を十分に行い、慎重に維持量(標準 1日量1.5~4.5mg)まで増量すること。[「重要な基本的注意」、「特定の背景を有する患者に関する注意」、「副作用」の項参照]
- 腎機能障害患者に対する投与法
次のような投与法を目安に投与回数を調節し腎機能に注意しながら慎重に漸増すること。なお、腎機能障害患者に対する最大1日量及び最大1回量は下表のとおりとする。[「特定の背景を有する患者に関する注意」、「高齢者」、「薬物動態」の項参照]
クレアチニンクリアランス (mL/min) |
投与法 | 初回1 日投与量 | 最大 1 日量 |
クレアチニンクリアランス≧50 | 1 日量として1.5mg未満: 1 日2 回投与 |
0.125mg× 2 回 | 4.5mg (1.5mg× 3 回) |
1 日量として1.5mg以上: 1 日3 回投与 |
|||
50>クレアチニンクリアランス≧20 | 1 日2 回投与 | 0.125mg× 2 回 | 2.25mg (1.125mg× 2 回) |
20>クレアチニンクリアランス | 1 日1 回投与 | 0.125mg× 1 回 | 1.5mg (1.5mg× 1 回) |
〈中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)〉
特発性レストレスレッグス症候群における1日最大投与量(0.75mg)は、パーキンソン病患者よりも低いため、クレアチニンクリアランスが20mL/min以上の腎機能障害患者では減量の必要はないが、透析中あるいはクレアチニンクリアランスが20mL/min未満の高度な腎機能障害患者における本剤の有効性及び安全性は確立していないため、これらの患者に対する本剤の投与については、治療上の有益性と危険性を考慮して慎重に判断すること。[「特定の背景を有する患者に関する注意」、「高齢者」、「薬物動態」の項参照]
〈効能共通〉
- 突発的睡眠等により自動車事故を起こした例が報告されている。突発的睡眠を起こした症例の中には、傾眠や過度の眠気のような前兆を認めなかった例あるいは投与開始後1年以上経過した後に初めて発現した例も報告されている。患者には本剤の突発的睡眠及び傾眠等についてよく説明し、自動車の運転、機械の操作、高所作業等危険を伴う作業に従事させないよう注意すること。[「警告」、「重大な副作用」の項参照]
- 特に投与初期には、めまい、立ちくらみ、ふらつき等の起立性低血圧に基づく症状が見られることがある。また、これらの症状が発現した場合には、症状の程度に応じて、減量又は投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。[「用法及び用量に関連する注意」、「特定の背景を有する患者に関する注意」の項参照]
- レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているので、このような症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、患者及び家族等にこのような衝動制御障害の症状について説明すること。
- パーキンソン病患者において、本剤の減量、中止が必要な場合は、漸減すること。急激な減量又は中止により、悪性症候群を誘発することがある。また、ドパミン受容体作動薬の急激な減量又は中止により、薬剤離脱症候群(無感情、不安、うつ、疲労感、発汗、疼痛等の症状を特徴とする)があらわれることがある。なお、特発性レストレスレッグス症候群患者においては、パーキンソン病患者よりも用量が低いため、漸減しなくてもよい。[「重大な副作用」の項参照]
〈中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)〉
- 本剤を含めたドパミン受容体作動薬の投与によりAugmentation(夜間の症状発現が2時間以上早まる、症状の増悪、他の四肢への症状拡大)が認められることがあるため、このような症状が認められた場合には、減量又は投与を中止するなどの適切な措置を講じること。
合併症・既往歴等のある患者
- 幻覚、妄想等の精神症状又はそれらの既往歴のある患者
症状が増悪又は発現しやすくなることがある。[「用法及び用量に関連する注意」、「重大な副作用」の項参照] - 重篤な心疾患又はそれらの既往歴のある患者
起立性低血圧等の副作用が発現しやすくなるおそれがある。[「重要な基本的注意」の項参照] - 低血圧症の患者
症状が悪化することがある。[「用法及び用量に関連する注意」、「重要な基本的注意」の項参照]
腎機能障害患者
- 腎機能障害のある患者
副作用が発現しやすくなるおそれがある。[「用法及び用量に関連する注意」の項参照] - 腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが50mL/min未満)
腎クリアランスの低下により本剤の消失半減期が延長するため、投与回数を調節し腎機能に注意しながら慎重に漸増すること。本剤は主に尿中に未変化体のまま排泄される。また、透析患者あるいは非常に高度な腎機能障害患者での十分な使用経験はないので、このような患者に対しては状態を観察しながら慎重に投与すること。[「用法及び用量に関連する注意」の項参照]
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物(ラット)を用いた生殖発生毒性試験で、以下のことが認められている。
- 受胎能及び一般生殖能試験(Seg.Ⅰ)(2.5mg/kg/日投与群)で、血清プロラクチン濃度の低下に基づく妊娠率の低下
- 器官形成期投与試験(Seg.Ⅱ)(1.5mg/kg/日投与群)で、血清プロラクチン濃度の低下に基づく生存胎児数の減少
- 周産期及び授乳期投与試験(Seg.Ⅲ)(0.5mg/kg以上/日投与群)で、血清プロラクチン濃度の低下に基づく出生児体重の低下[「禁忌」の項参照]
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトにおいてプロラクチン分泌を抑制することが報告されており、乳汁分泌を抑制する可能性がある。なお、動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが認められている。
小児等
小児等を対象とした国内臨床試験は実施していない。
高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。幻覚等の精神症状があらわれた場合には、減量又は投与を中止するとともに、必要に応じて抗精神病薬を使用するなどの適切な処置を行うこと。パーキンソン病患者を対象とした臨床試験において65歳以上の高齢者で非高齢者に比し、幻覚等の精神症状の発現率が高い傾向が認められている。
- 少量(1日1回0.125mg)から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は主に尿中に未変化体のまま排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多い。[「用法及び用量に関連する注意」、「薬物動態」の項参照]
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
カチオン輸送系を介して腎排泄される薬剤 シメチジン、アマンタジン塩酸塩 |
ジスキネジア、幻覚等の副作用が増強することがある。このような場合には、本剤を減量すること。 | カチオン輸送系を介して腎排泄される薬剤との併用により、双方あるいはいずれかの薬剤の腎尿細管分泌が減少し、腎クリアランスが低下することがある。 |
鎮静剤 アルコール |
作用が増強するおそれがある。 | 機序は明らかではないが、本剤との併用により作用増強の可能性が考えられる。 |
ドパミン拮抗剤 フェノチアジン系薬剤、ブチロフェノン系薬剤、メトクロプラミド、ドンペリドン |
本剤の作用が減弱するおそれがある。 | 本剤はドパミン作動薬であり、併用により両薬剤の作用が拮抗するおそれがある。 |
抗パーキンソン剤 レボドパ、抗コリン剤、アマンタジン塩酸塩、ドロキシドパ |
ジスキネジア、幻覚、錯乱等の副作用が増強することがある。 | 相互に作用が増強することがある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
- 突発的睡眠(0.1~5%未満)前兆のない突発的睡眠があらわれることがある。[「警告」、「重要な基本的注意」の項参照]
- 幻覚(15.4%)、妄想(0.1~5%未満)、せん妄(0.1~5%未満)、激越(0.1~5%未満)、錯乱(頻度不明)
幻覚(主に幻視)、妄想、せん妄、激越、錯乱があらわれることがあるので、このような場合には、減量又は投与を中止するとともに、必要に応じて抗精神病薬を使用するなどの適切な処置を行うこと。[「用法及び用量に関連する注意」、「合併症・既往歴等のある患者」の項参照] - 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。 - 悪性症候群(頻度不明)
パーキンソン病患者において、本剤の急激な減量又は中止により、悪性症候群があらわれることがある。観察を十分に行い、発熱、意識障害、無動無言、高度の筋硬直、不随意運動、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗、血清CKの上昇等があらわれた場合には悪性症候群の症状である可能性があるため、再投与後、漸減し、体冷却、水分補給等の適切な処置を行うこと。[「重要な基本的注意」の項参照] - 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。 - 肝機能障害(頻度不明)
AST、ALT、LDH、γ-GTP、総ビリルビン上昇等の肝機能障害があらわれることがある。
その他の副作用
5 %以上 | 0.1~ 5 %未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 | |
過敏症 | 過敏症状 | |||
皮膚 | 多汗、蕁麻疹、網状皮斑 | 発疹、そう痒症 | ||
筋・骨格系 | CK上昇(7.5%) | 背部痛、腰痛 | ||
中枢・末梢神経系 | ジスキネジア(17.5%)、傾眠(16.8%)、めまい(12.5%)、頭痛(5.5%) | ジストニア、緊張亢進、舌麻痺、運動過多、ミオクローヌス、声が出にくい、異常感覚、知覚減退、パーキンソニズムの増悪 | 失神 | |
自律神経系 | 口内乾燥(8.3%) | 起立性低血圧、高血圧、唾液増加 | ||
感覚器 | 苦味、眼のちらつき、複視、羞明 | 霧視、視力低下 | ||
精神神経系 | 食欲不振(12.2%)、不眠(6.5%) | 不安、神経過敏、気分高揚感、悪夢、早朝覚醒、ねぼけ様症状、異夢、徘徊 | 薬剤離脱症候群注)(無感情、不安、うつ、疲労感、発汗、疼痛等)、病的性欲亢進、性欲減退、暴食、病的賭博、不穏、過食(体重増加)、健忘、強迫性購買 | |
消化管 | 悪心(29.9%)、消化不良(11.9%)、便秘(9.0%)、胃不快感(6.9%)、嘔吐(5.9%) | 腹痛、胃潰瘍、胃炎、上腹部痛、口内炎、鼓腸放屁、イレウス | 体重減少 | |
肝臓 | 肝機能異常(AST上昇、ALT上昇、LDH上昇等) | γ-GTP上昇 | ||
内分泌 | プロラクチン低下、成長ホルモン上昇 | |||
代謝 | 血糖値上昇 | |||
循環器 | 低血圧、動悸 | |||
泌尿器系 | 排尿頻回、尿蛋白陽性 | 尿閉 | ||
一般的全身障害 | 末梢性浮腫、胸痛、倦怠感、疲労感、脱力感、手がピリピリする、転倒、口渇 | |||
呼吸器 | 呼吸困難 | 肺炎、しゃっくり | ||
生殖系 | 自発陰茎勃起 |
注) 異常が認められた場合には、投与再開又は減量前の投与量に戻すなど、適切な処置を行うこと。
5%未満 | |
中枢・末梢神経系 | レストレスレッグス症候群の augmentation(2.3%) |
症状
悪心、嘔吐、過度の鎮静、運動過多、幻覚、激越、低血圧等の症状を発現する可能性がある。
処置
精神症状が見られた場合には、抗精神病薬の投与を考慮する。なお、血液透析による除去は期待できない。
薬剤交付時の注意
- PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
- 本剤は光に対して不安定なため、服用直前にPTPシートから取り出すよう指導すること。
臨床使用に基づく情報
ヒトにおいて本剤を含む抗パーキンソン剤と網膜変性との関連性は認められなかったとの報告がある。
非臨床試験に基づく情報
ラットのがん原性試験(24ヶ月間混餌投与)において、2mg/kg/日以上の投与量で網膜変性の増加が報告されている。
血中濃度
単回投与
健康成人に本剤0.1、0.2、0.3mgを空腹時に単回経口投与したときの、血漿中未変化体の薬物動態パラメータを次表に、また、血漿中未変化体濃度推移を次図で示す。Cmax及びAUCは用量直線性を示した1)。
プラミペキソール塩酸塩水和物
単回投与時の薬物動態パラメータ値(空腹時投与)
薬物動態パラメータ | 0.1mg | 0.2mg | 0.3mg |
Cmax(pg/mL) | 294.6±46.3 | 583.2±69.9 | 766.3±88.8 |
tmax(h) | 1.5±0.5 | 1.4±0.5 | 2.3±1.2 |
t1/2(h) | 7.71±1.90 | 6.36±1.46 | 6.94±1.09 |
AUC0-∞(pg・h/mL) | 3139.2±548.5 | 5642.5±681.6 | 9135.8±1422.2 |
(平均値±S.D.,n=8)
プラミペキソール塩酸塩水和物 単回投与時の血漿中濃度推移
![単回投与時の血漿中濃度推移](/jp/sites/default/files/2020-11/bif_t0_125_pi_1.png)
(空腹時投与、平均値±S.D.,n=8)
反復投与
<血漿中未変化体濃度推移>
健康成人に本剤0.1mgを第1日目は1日1回、2日目は1日2回、3~6日目は1日3回、7日目は1回食後反復経口投与したときの、血漿中未変化体濃度推移を次図で示す。血漿中未変化体濃度は1日3回投与開始後3日で定常状態に達した。また、単回投与後の薬物動態パラメータから予測される以上の反復投与による蓄積性はなかった2)。
プラミペキソール塩酸塩水和物0.1mg 反復投与時の血漿中濃度推移
![反復投与時の血漿中濃度推移](/jp/sites/default/files/2020-11/bif_t0_125_pi_2.png)
(食後投与、平均値±S. D., n=8)
<維持量に対する血漿中濃度>
パーキンソン病患者に、本剤1.0~4.5mgを反復経口投与後の定常状態(維持量投与開始後 4日目以降)において、次図に示すとおり血漿中濃度のトラフ値は投与量に対して直線的に増加することが示唆された。同一被験者における定常状態のトラフ値に大きな変化は認められず、本剤反復投与後の定常状態における蓄積は認められなかった3)。
プラミペキソール塩酸塩水和物 反復投与時の維持量に対する血漿中濃度
![反復投与時の維持量に対する血漿中濃度](/jp/sites/default/files/2020-11/bif_t0_125_pi_3.png)
(定常状態におけるトラフ値(142試料)、パワーモデルy=axb)
生物学的利用率
健康成人における本剤の生物学的利用率は90~93%であった4),5)(外国人のデータ)。
吸収
健康成人に本剤0.25mgを空腹時又は食後に単回経口投与したときの血漿中未変化体の薬物動態パラメータを比較した。その結果、薬物動態パラメータに有意な差は認められず、本剤の吸収に対する食事の影響は少ないものと考えられた6)(外国人のデータ)。なお、国内で実施された健康成人に対する単回投与(空腹時投与)及び反復投与の第1日目(食後投与)の薬物動態パラメータを比較した。その結果、tmaxは食後投与で3.1時間と空腹時投与(1.5時間)に比し延長する傾向が認められたが、Cmax、AUC及びt1/2はいずれも類似しており、本剤の吸収に対する食事の影響は少ないものと考えられた1),2)。
分布
ヒト血清蛋白結合率は17~26%であった7)(in vitro)。
排泄
健康成人に14C-プラミペキソール塩酸塩水和物0.3mgを経口投与したとき、血漿中及び尿中には大部分が未変化体として存在する。また、投与後96時間までに87.6%が尿中に、1.6%が糞中に排泄された。本剤は尿中排泄が主排泄経路と考えられた4)(外国人のデータ)。
特定の背景を有する患者
腎機能障害患者
健康成人、軽度(50≦クレアチニンクリアランス<80mL/min)、中等度(30≦クレアチニンクリアランス<50mL/min)及び高度(5≦クレアチニンクリアランス<30mL/min)の腎機能障害患者並びに透析患者計26例を対象に本剤0.25mgを投与し、薬物動態を検討した。その結果、Cmax、tmax及びVd/Fに有意な差は認められなかったが、次表に示すとおりt1/2は中等度及び高度の腎機能障害患者において、健康成人の約3倍に延長した。なお、透析されたプラミペキソール塩酸塩水和物は投与量の約9%であった8)(外国人のデータ)。
プラミペキソール塩酸塩水和物0.25mg 単回投与時の薬物動態パラメータ値(健康成人、腎機能障害患者)
投与対象 | クレアチニンクリアランス (mL/min) |
例数 | AUC0-∞ (ng・h/mL) |
t1/2 (h) |
CLtot/F (mL/min) |
CLr (mL/min) |
健康成人 | >80 | 6 | 7.33±1.49 | 11.3±2.72 | 411±85.9 | 277±59.0 |
軽度腎機能障害患者 | 50~79 | 6 | 10.2±2.29 | 15.3±3.82 | 297±57.2 | 206±79.0注1) |
中等度腎機能障害患者 | 30~49 | 5 | 16.4±5.45 | 36.3±18.8 | 192±52.5 | 105±43.9注2) |
高度腎機能障害患者 | 5~29 | 3 | 22.6±3.48 | 38.4±12.7 | 131±22.2 | 32.8±15.6 |
(注1)n=5、注2)n=4、平均値±S.D.)
また、日本人を含む早期パーキンソン病患者に本剤及びプラミペキソール塩酸塩水和物の徐放錠を投与して得られた血漿中濃度データを用いた母集団薬物動態解析の結果、クレアチニンクリアランスが80mL/minから30mL/minに低下すると経口クリアランスは約53%低下した9)。[「用法及び用量に関連する注意」、「薬物動態」の項参照]
薬物相互作用
シメチジン、アマンタジン塩酸塩
健康成人12例を対象に本剤0.25mg及びシメチジン300mgを併用経口投与し、本剤の薬物動態に及ぼすシメチジンの影響を検討した。その結果、本剤単独投与に比し併用投与では本剤の尿中未変化体総排泄量に有意な変化は認めなかったが、腎クリアランス(CLr)は30~39%有意に低下し、t1/2は延長した10)。このことから、本剤も腎臓の有機カチオン輸送系を介して尿細管分泌されることが示唆された(外国人のデータ)。
また、パーキンソン病患者に本剤1.0~4.5mgを反復経口投与し、定常状態(維持量投与開始後4日目以降)における血漿中濃度(52例)から、探索的にポピュレーションファーマコキネティクス解析によりアマンタジン塩酸塩との併用(28例)による影響を検討した結果、本剤のクリアランスが低下することが確認された11)。[「相互作用」の項参照]
有効性及び安全性に関する試験
〈パーキンソン病〉
国内第Ⅲ相試験
パーキンソン病患者315例を対象とした国内二重盲検比較試験において、本剤(0.125mg×2回/日より漸増)、ブロモクリプチンメシル酸塩(1.25mg×1回/日より漸増)又はプラセボを12週間経口投与した時、本剤はプラセボと比較しUPDRS(Unified Parkinson's Disease Rating Scale)PartⅡ(日常生活動作)及びPartⅢ(運動能力検査)の各合計スコアを有意に改善した。また、本剤のスコアの改善はブロモクリプチンメシル酸塩に比較し劣らないことが示された12)。
国内二重盲検比較試験成績
(UPDRSの各合計スコアの変化量(維持期最終値-投与前値))
投与対象 (試験番号) |
UPDRS | 投与群a) | 症例数 | 変化量b) (維持期最終時-投与前) |
PPX vs PLAC優越性c) | PPX vs BROM非劣性d)変化量差 (90%CI) |
パーキンソン病患者/レボドパ併用 (248.505) |
PartⅡ | PPX | 102 | -2.50 (-3.98) |
<0.001 | 0.74 (-0.16~1.63) |
PLAC | 107 | -1.00 | ||||
BROM | 104 | (-3.25) | ||||
PartⅢ | PPX | 102 | -10.00 (-11.75) |
<0.001 | 1.76 (-0.65~4.09) |
|
PLAC | 107 | -5.00 | ||||
BROM | 104 | (-9.98) |
a)投与群PPX:プラミペキソール塩酸塩水和物、PLAC:プラセボ、BROM:ブロモクリプチンメシル酸塩
b)変化量は中央値と(平均値)を示した。
c)Wilcoxon二標本検定のp値を示した。
d)同等限界ΔはUPDRS PartⅡ1.0、UPDRS PartⅢ2.0
また、UPDRS PartⅡ又はPartⅢの合計スコアが30%以上の減少率を示した症例の割合を次表に示す。
プラミペキソール塩酸塩水和物 | ブロモクリプチンメシル酸塩 | プラセボ | |
UPDRS PartⅡ | 56.9%(58/102例) | 49.0%(51/104例) | 29.9%(32/107例) |
UPDRS PartⅢ | 63.7%(65/102例) | 60.6%(63/104例) | 36.4%(39/107例) |
本剤での副作用発現割合は69.6%(71/102例)で、主な副作用は消化不良23.5%(24/102例)、嘔気18.6%(19/102例)、食欲不振16.7%(17/102例)、ジスキネジア15.7%(16/102例)、便秘12.7%(13/102例)、幻覚12.7%(13/102例)、傾眠11.8%(12/102例)、めまい10.8%(11/102例)であった。
海外第Ⅲ相試験
パーキンソン病患者333例を対象とした海外二重盲検比較試験において、本剤(0.125mg×3回/日より漸増)又はプラセボを最長32週間経口投与した時、本剤はプラセボと比較しUPDRS PartⅡ及びPartⅢの各合計スコアを有意に改善した13)。
海外主要臨床試験成績
(UPDRSの各合計スコアの変化量(維持期最終値-投与前値))
投与対象 (試験番号) |
UPDRS | 投与群a) | 症例数 | 変化量b) (維持期最終時-投与前) |
PPX vs PLAC優越性c) | |
パーキンソン病患者 | レボドパ 非併用 (248.323) |
PartⅡ | PPX | 163 | -1.9 | <0.001 |
PLAC | 170 | 0.4 | ||||
PartⅢ | PPX | 162 | -5.0 | <0.001 | ||
PLAC | 168 | 0.8 |
a)投与群PPX:プラミペキソール塩酸塩水和物、PLAC:プラセボ
b)248.326試験の変化量は中央値、その他は平均値で示した。
c)248.326試験はWilcoxon二標本検定、その他はANOVAのp値を示した。
本剤での副作用発現割合は81.1%(133/164例)で、主な副作用は嘔気32.9%(54/164例)、浮動性めまい27.4%(45/164例)、不眠症19.5%(32/164例)、傾眠17.7%(29/164例)、無力症14.0%(23/164例)、便秘12.8%(21/164例)、頭痛12.2%(20/164例)であった。
海外第Ⅲ相試験
パーキンソン病患者287例を対象とした海外二重盲検比較試験において、本剤(0.125mg×3回/日より漸増)又はプラセボを最長32週間経口投与した時、本剤はプラセボと比較しUPDRS PartⅡ及びPartⅢの各合計スコアを有意に改善した14)。
海外主要臨床試験成績
(UPDRSの各合計スコアの変化量(維持期最終値-投与前値))
投与対象 (試験番号) |
UPDRS | 投与群a) | 症例数 | 変化量b) (維持期最終時-投与前) |
PPX vs PLAC優越性c) | |
パーキンソン病患者 | レボドパ 非併用 (248.324) |
PartⅡ | PPX | 144 | -2.7 | 0.002 |
PLAC | 143 | -1.3 | ||||
PartⅢ | PPX | 144 | -6.2 | <0.001 | ||
PLAC | 142 | -2.6 |
a)投与群PPX:プラミペキソール塩酸塩水和物、PLAC:プラセボ
b)248.326試験の変化量は中央値、その他は平均値で示した。
c)248.326試験はWilcoxon二標本検定、その他はANOVAのp値を示した。
本剤での副作用発現割合は64.0%(94/147例)で、主な副作用は嘔気21.8%(32/147例)、傾眠11.6%(17/147例)、無力症10.9%(16/147例)、浮動性めまい10.2%(15/147例)、起立性低血圧6.8%(10/147例)であった。
海外第Ⅲ相試験
パーキンソン病患者246例を対象とした海外二重盲検比較試験において、本剤(0.125mg×3回/日より漸増)、ブロモクリプチンメシル酸塩(1.25mg×1回/日より漸増)又はプラセボを最長9カ月11日間経口投与した時、本剤はプラセボと比較しUPDRS PartⅡ及びPartⅢの各合計スコアを有意に改善した15)。
海外主要臨床試験成績
(UPDRSの各合計スコアの変化量(維持期最終値-投与前値))
投与対象 (試験番号) |
UPDRS | 投与群a) | 症例数 | 変化量b) (維持期最終時-投与前) |
PPX vs PLAC優越性c) | |
パーキンソン病患者 | レボドパ 併用 (248.326) |
PartⅡ | PPX | 79 | -2.50 | <0.001 |
PLAC | 83 | -0.50 | ||||
PartⅢ | PPX | 79 | -6.00 | <0.001 | ||
PLAC | 83 | -2.00 |
a)投与群PPX:プラミペキソール塩酸塩水和物、PLAC:プラセボ
b)248.326試験の変化量は中央値、その他は平均値で示した。
c)248.326試験はWilcoxon二標本検定、その他はANOVAのp値を示した。
本剤での副作用発現割合は85.0%(68/80例)で、主な副作用は起立性低血圧35.0%(28/80例)、ジスキネジア33.8%(27/80例)、嘔気27.5%(22/80例)、めまい22.5%(18/80例)、不眠15.0%(12/80例)、錯乱13.8%(11/80例)であった。
〈中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)〉
国内第Ⅱ相試験
特発性レストレスレッグス症候群患者41例を対象とした国内二重盲検比較試験において、本剤(0.125mg×1回/日より漸増)又はプラセボを6週間経口投与した時、本剤はプラセボと比較し終夜睡眠ポリグラフ上で周期性四肢運動指数(PLMI)の有意な減少を示した。また、国際レストレスレッグス症候群研究グループ重症度スケール(IRLS:International Restless Legs Syndrome Study Group Rating Scale)合計スコアのベースラインからの変化量でもプラセボと比較して有意な減少を示した16)。
PLMIの変化量
投与群a) | 症例数 | ベースライン | 投与6週 | 変化量b) | PPX vs PLAC 優越性c) |
PPX | 20 | 29.6 | 4.6 | -25.0 | 0.0019 |
PLAC | 18 | 46.0 | 39.5 | -6.5 |
IRLS合計スコアの変化量
投与群a) | 症例数 | ベースライン | 投与6週 | 変化量b) | PPX vs PLAC 優越性c) |
PPX | 20 | 23.4 | 7.3 | -16.1 | 0.0005 |
PLAC | 21 | 25.1 | 18.7 | -6.4 |
a)投与群PPX:プラミペキソール塩酸塩水和物、PLAC:プラセボ
b)PLMI、IRLS合計スコア及びベースラインからの変化量は平均値で示した。
c)ANCOVAのp値を示した。
本剤での副作用発現割合は45.0%(9/20例)で、主な副作用は悪心15.0%(3/20例)、胃不快感15.0%(3/20例)、頭痛10.0%(2/20例)、傾眠10.0%(2/20例)であった。
国内第Ⅲ相試験
特発性レストレスレッグス症候群患者154例を対象とした国内二重盲検比較試験において、本剤0.25mg、0.5mg及び0.75mg/日の固定用量を6週間投与し、引き続き本剤0.25mg~0.75mgをflexible doseで1日1回46週間投与した時、本剤0.25mg、0.5mg及び0.75mg/日のいずれの用量群においてもIRLS合計スコアのベースラインからの変化量は10以上減少した。10以上の減少は重症度分類(0-10:軽度、11-20:中等度、21-30:高度、31-40:非常に高度)において重症度が1段階改善することを意味し、臨床的に意義のある改善を示した。また、非盲検期において、投与52週までIRLS合計スコアの安定した減少を示した17)。
二重盲検期
投与群a) | 症例数 | ベースライン | 投与6週 | 変化量 |
PPX(合計) | 154 | 22.3 | 10.1 | -12.2 |
0.25mg | 48 | 21.4 | 9.8 | -11.7 |
0.5mg | 53 | 22.6 | 9.9 | -12.7 |
0.75mg | 53 | 22.8 | 10.7 | -12.1 |
非盲検期
ベースライン | 投与12週 | 投与24週 | 投与52週 | |
症例数 | 140 | 138 | 131 | 119 |
IRLS合計スコア | 22.3 | 8.2 | 7.3 | 4.9 |
変化量 | ― | -14.1 | -14.9 | -17.2 |
a)投与群PPX:プラミペキソール塩酸塩水和物
IRLS合計スコア及びベースラインからの変化量は平均値で示した。
なお、最大0.75mg/日から漸減せずに投与中止した場合でも悪性症候群は認められなかった。
本剤での副作用発現割合は60.4%(93/154例)で、主な副作用は悪心31.8%(49/154例)、傾眠17.5%(27/154例)、頭痛7.1%(11/154例)、胃不快感5.8%(9/154例)、便秘5.2%(8/154例)、嘔吐5.2%(8/154例)であった。
作用機序
- ドパミンD2受容体に対する親和性(in vitro)
本剤はドパミンD2受容体ファミリー(D2、D3、D4)に対し強い親和性を示した18)。
D1及びD5受容体に対する親和性は示さなかった19)。 - ドパミンD2受容体刺激作用
MPTP(1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine)誘発ヘミパーキンソン病モデル動物において、線条体シナプス後膜ドパミンD2受容体刺激作用により障害側とは反対側への回転行動を誘発した(アカゲザル)20)。また、ハロペリドール誘発カタレプシー症状の改善作用を示した(ラット)21)。
パーキンソン病様症状改善作用
- MPTP誘発症状改善作用
MPTP誘発パーキンソン病様症状をブロモクリプチンメシル酸塩より低用量で改善した(アカゲザル)22)。 - 無動・固縮に対する改善作用
レセルピン誘発無動・固縮症状の改善作用を示した。これらの改善作用はレボドパとの併用により増強することが認められた(マウス)22)。
レストレスレッグス症候群様症状の改善作用
- 6-OHDA(6-hydroxydopamine)により脳内のドパミン神経を変性させたラットにおいては、立ち上がり行動回数と立位時間が増加したが、本剤投与によりこれらの増加は抑制された23)。
一般的名称:プラミペキソール塩酸塩水和物(Pramipexole Hydrochloride Hydrate(JAN)、Pramipexole(INN))(JAN)
化学名:(S)-2-Amino-4,5,6,7-tetrahydro-6-propylaminobenzothiazole dihydrochloride monohydrate
分子式:C10H17N3S・2HCl・H2O
分子量:302.26
性状: 白色の結晶又は結晶性の粉末。水に極めて溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けにくい。
化学構造式:
![化学構造式](/jp/sites/default/files/2020-11/bif_t0_125_pi_4.png)
融点:約290℃(分解)
分配係数:logD=-0.2(l-オクタノール/0.067mol/Lリン酸塩緩衝液、pH7.4、20℃)
〈ビ・シフロール錠0.125mg〉
100錠[10錠(PTP)×10]
500錠[10錠(PTP)×50]
〈ビ・シフロール錠0.5mg〉
100錠[10錠(PTP)×10]
500錠[10錠(PTP)×50]
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