EMPEROR-Preserved_AFサブ解析

サイトへ公開: 2023年09月28日 (木)

EMPEROR-Preserved試験:

ジャディアンスの有効性と安全性

-心房細動/粗動の有無別解析-

EMPEROR-Preserved試験: ジャディアンスの有効性と安全性 -心房細動/粗動の有無別解析-

心不全と心房細動は、悪循環のループを形成する

心不全と心房細動は、悪循環のループを形成する

心不全は、心房への容量負荷、圧負荷等により、心房の構造的変化(間質線維化)や電気的変化(イオンチャネルの変化、細胞内カルシウム過負荷)をもたらすことから、心房細動が発症しやすくなります。
また、心房細動は、房室同期の喪失や不規則な心室収縮を呈し、多くの場合、頻脈となることから、頻脈誘発心筋症および心機能低下を介して心不全へと至ることが知られています。
そのため、心不全と心房細動は、悪循環のループを形成し、合併すると予後が悪化することが示唆されています。

心不全は、心房への容量負荷、圧負荷等により、心房の構造的変化(間質線維化)や電気的変化(イオンチャネルの変化、細胞内カルシウム過負荷)をもたらすことから、心房細動が発症しやすくなります。

実際に、心不全患者を対象とした前向き観察研究において、心房細動を合併した左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)患者では、心房細動を合併しないHFpEF患者と比較して、全死亡と心不全による入院のリスクが高いことが報告されました。

実際に、心不全患者を対象とした前向き観察研究において、心房細動を合併した左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)患者では、心房細動を合併しないHFpEF患者と比較して、全死亡と心不全による入院のリスクが高いことが報告されました。

2013年に行われた国内の心不全レジストリー研究JROADHFでは、心房細動を合併しているHFpEF患者は、40%≦左室駆出率(LVEF)<50%の群の42.7%、50%≦LVEF<65%の群の50.6%、LVEF≧65%の群の50.1%であり、HFpEF患者の4~5割が心房細動を合併していたことが報告されました。
そのため、心不全治療においては、心房細動合併例におけるリスク低減にも考慮した治療が望まれます。

ジャディアンスのエビデンス

EMPEROR-Preserved試験(心房細動/粗動の有無別解析)

EMPEROR-Preserved試験(心房細動/粗動の有無別解析)

ここから、ジャディアンスのHFpEFに対する有効性と安全性を検討したEMPEROR-Preserved試験における、心房細動/粗動の有無別解析結果をご紹介します。EMPEROR-Preserved試験では、対象をLVEFが40%を超える慢性心不全患者とし、心血管死または心不全による入院の初回発現までの期間などを解析しました。なお、心房細動/粗動の有無別解析は、事前に規定されていました。

ここから、ジャディアンスのHFpEFに対する有効性と安全性を検討したEMPEROR-Preserved試験における、心房細動/粗動の有無別解析結果をご紹介します。

本試験のベースライン時では、患者の52%が心房細動または心房粗動を合併していました。
平均年齢は心房細動/粗動合併で74.0歳、非合併で69.6歳、NYHA心機能分類クラスⅢの割合は心房細動/粗動合併で20.0%、非合併で15.9%、1年以内に心不全による入院歴のある患者の割合は心房細動/粗動合併で25.3%、非合併で20.1%でした。平均NT-proBNPは、心房細動/粗動合併で1,354pg/mL、非合併で614pg/mLでした。

本試験のベースライン時では、患者の52%が心房細動または心房粗動を合併していました。

全体集団における心血管死または心不全による入院のプラセボ群に対するジャディアンス群のハザード比は0.79(95%信頼区間:0.69~0.90、p<0.001、Cox比例ハザード回帰モデル)であり、ジャディアンス群の優越性が検証されました 。 
心房細動/粗動の有無別の解析では、心血管死または心不全による入院の初回発現は、心房細動/粗動合併のジャディアンス10mg群の15.5%(244/1,576例)、プラセボ群の18.7%(292/1,559例)、非合併のジャディアンス10mg群の12.0%(170/1,417例)、プラセボ群の15.3%(219/1,427例)で報告されました。
心房細動/粗動合併の有無にかかわらず、ジャディアンス10mgをACE阻害薬、ARB、ARNI、β遮断薬、MRA等に追加することで、心血管死または心不全による入院の初回発現のリスクが低減しました[心房細動/粗動合併HR=0.78(95%CI:0.66~0.93)、心房細動/粗動非合併HR=0.78(95%CI:0.64~0.95)]。

全体集団における心血管死または心不全による入院のプラセボ群に対するジャディアンス群のハザード比は0.79(95%信頼区間:0.69~0.90、p<0.001、Cox比例ハザード回帰モデル)であり、ジャディアンス群の優越性が検証されました  。

また、初回および再発の心不全による入院のリスクは、ジャディアンス10mgを追加投与することで、心房細動/粗動合併の有無にかかわらず低下しました[心房細動/粗動合併HR=0.73(95%CI:0.57~0.94)、心房細動/粗動非合併HR=0.72(95%CI:0.54~0.95)]。

また、初回および再発の心不全による入院のリスクは、ジャディアンス10mgを追加投与することで、心房細動/粗動合併の有無にかかわらず低下しました[心房細動/粗動合併HR=0.73(95%CI:0.57~0.94)、心房細動/粗動非合併HR=0.72(95%CI:0.54~0.95)]。

【参考情報】
年間当たりの   血清クレアチニンベースのCKD-EPI式によるeGFR[eGFR(CKD-EPI)cr]   のベースラインからの変化の傾きは、心房細動/粗動合併のジャディアンス10mg群で-1.1mL/min/1.73m2、プラセボ群で-2.4mL/min/1.73m2、非合併のジャディアンス10mg群で-1.4mL/min/1.73m2、プラセボ群で-2.8mL/min/1.73m2でした。

全体集団での有害事象の発現割合は、ジャディアンス10mg群で85.9%(2,574/2,996例)、プラセボ群で86.5%(2,585/2,989例)であり、ジャディアンス10mg群における主な有害事象は、心不全、尿路感染、低血圧、高血圧、転倒などでした。  重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象、死亡に至った有害事象は表のとおりでした。

全体集団での有害事象の発現割合は、ジャディアンス10mg群で85.9%(2,574/2,996例)、プラセボ群で86.5%(2,585/2,989例)であり、ジャディアンス10mg群における主な有害事象は、心不全、尿路感染、低血圧、高血圧、転倒などでした。 
重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象、死亡に至った有害事象は表のとおりでした。

全体集団での有害事象の発現割合は、ジャディアンス10mg群で85.9%(2,574/2,996例)、プラセボ群で86.5%(2,585/2,989例)であり、ジャディアンス10mg群における主な有害事象は、心不全、尿路感染、低血圧、高血圧、転倒などでした。

有害事象の発現割合は、心房細動/粗動合併のジャディアンス10mg群で87.0%(1,370/2,996例)、プラセボ群で87.0%(1,356/2,989例)心房細動/粗動非合併のジャディアンス10mg群で84.7%(1,200/2,996例)、プラセボ群で85.8%(1,224/2,989例)でした。
重篤な有害事象の発現割合は、心房細動/粗動合併でそれぞれ51.2%、54.4%、非合併でそれぞれ44.3%、48.7%、投与中止に至った有害事象の発現割合は、心房細動/粗動合併でそれぞれ20.6%、18.0%、非合併でそれぞれ17.3%、18.9%でした。
低血圧、体液量減少、急性腎不全、高カリウム血症の発現割合は表のとおりでした。

ジャディアンスは慢性心不全※の標準的な治療を受けている患者さんにご処方いただいております。

ジャディアンスは慢性心不全の標準的な治療を受けている患者さんにご処方いただいております。
なお、慢性心不全※に対するジャディアンスの用法及び用量は1日1回10mgの経口投与です。

ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。

先生が診療されている患者さんの中で、このような方はいらっしゃいますか。


先生が診療されている患者さんの中で、このような方はいらっしゃいますか。
心房細動/粗動の有無を問わず、リスク低減を考慮した治療選択肢としてジャディアンスの追加投与をご検討ください。

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