年齢別サブグループ解析_EMPEROR試験

サイトへ公開: 2023年02月28日 (火)

EMPEROR-Reduced/EMPEROR-Preserved試験:
ジャディアンスの有効性と安全性 -年齢別解析-

  • 日本の心不全患者には高齢者が多く、さらに高齢でない方と比べると心血管死や再入院のリスクが高いことがわかっています。
  • EMPEROR-Preserved/EMPEROR-Reduced試験の2つのエビデンスから、幅広い左室駆出率の慢性心不全に対するジャディアンスの有効性が検証されました。
  • さらにEMPEROR-Preserved/EMPEROR-Reduced試験の年齢別解析では、幅広い年齢層に対し、プラセボとの比較におけるジャディアンスの治療効果が検討されました。
  • ジャディアンス群における有害事象の発現割合は、EMPEROR-Preserved試験の65歳未満で82.7%、65~74歳で84.8%、75~79歳で87.5%、80歳以上で89.3%、EMPEROR-Reduced試験の65歳未満で73.0%、65~74歳で76.6%、75歳以上で79.9%でした。
  • ジャディアンスは慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)に対して2型糖尿病の通常用量と同じ1日1回10mgの1用量のみであり、シンプルにお使いいただくことのできる薬剤です。
  • 幅広い左室駆出率、そして幅広い年齢の慢性心不全患者さんに、ぜひジャディアンスをご活用ください。

日本の高齢心不全患者に対する積極的な治療の必要性

国内の心不全患者を前向きに調査した大規模な疫学研究において、心不全患者の年齢分布は高齢に偏っており、80歳以上の患者が全体の約3割であることが報告されました。(図1)。

日本の高齢心不全患者に対する積極的な治療の必要性 

図1

また同研究では、心血管死や全死亡、再入院といった予後は80歳以上の高齢者で不良であることが示されています。このことから、高齢者を含めた幅広い年齢に対してエビデンスのある治療の必要性が高まっていると考えられます(図2)。

図2

日本の高齢心不全患者に対する積極的な治療の必要性 02

幅広い左室駆出率の慢性心不全に対するジャディアンスの有効性が検証されました
ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)

EMPEROR-Preserved/EMPEROR-Reduced試験は、それぞれ左室駆出率が保たれた慢性心不全患者、低下した慢性心不全患者を対象に、ジャディアンス10 mgを1日1回経口投与したときの心不全による入院(HHF)、および心血管死のリスクに対する長期的な有効性および安全性をプラセボと比較検討した、国際共同第Ⅲ相・検証試験です(図3、4)。

幅広い左室駆出率の慢性心不全※に対するジャディアンスの有効性が検証されました (※ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)

図3

幅広い左室駆出率の慢性心不全※に対するジャディアンスの有効性が検証されました (※ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)02

図4

主要評価項目である心血管死またはHHFの初回発現までの期間については、EMPEROR-Preserved試験では21%、EMPEROR-Reduced試験では25%の有意な相対リスク低下が検証されました(図5)。

幅広い左室駆出率の慢性心不全※に対するジャディアンスの有効性が検証されました (※ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)03

図5

年齢別解析では、幅広い年齢層に対する治療効果が検討されました

EMPEROR-Preserved/ EMPEROR-Reduced試験の事前規定されたサブグループ解析として実施された年齢別の評価の結果をご紹介します。
まずEMPEROR-Preserved試験では、主要評価項目について65歳未満におけるジャディアンス10mg群のプラセボ群に対するハザード比(95%信頼区間)は0.83(0.61~1.14)、65~74歳では0.86(0.69~1.07)、75~79歳では0.72(0.55~0.95)、80歳以上では0.73(0.57~0.95)でした(図6)。
また副次評価項目である初回のHHF までの期間のハザード比(95%信頼区間)は、65歳未満では0.79(0.54~1.15)、65~74歳では0.81(0.61~1.06)、75~79歳では0.60(0.41~0.86)、80歳以上では0.65(0.48~0.95)でした(図7)。

年齢別解析では、幅広い年齢層に対する治療効果が検討されました

図6

年齢別解析では、幅広い年齢層に対する治療効果が検討されました02

図7

一方のEMPEROR-Reduced試験では、主要評価項目のハザード比(95%信頼区間)は65歳未満では0.71(0.57~0.89)、65~74歳では0.72(0.57~0.93)、75歳以上では0.86(0.67~1.10)であり、初回の心不全による入院については65歳未満で0.63(0.49~0.82)、65~74歳では0.67(0.50~0.91)、75歳以上では0.82(0.61~1.11)でした(図8)。

図8

年齢別解析では、幅広い年齢層に対する治療効果が検討されました03

[参考情報]
eGFRの変化の傾きについて、各年齢カテゴリ間の傾向検定のp値はEMPEROR-Preserved試験で0.32、EMPEROR-Reduced試験で0.78でした。)
探索的評価項目である健康関連QOLの指標であるKCCQ-CSSについては、傾向検定のp値はEMPEROR-Preserved試験で0.77、EMPEROR-Reduced試験で1.00でした(図9、10)。

年齢別解析では、幅広い年齢層に対する治療効果が検討されました04

図9

年齢別解析では、幅広い年齢層に対する治療効果が検討されました05

図10

EMPEROR-Preserved試験において、すべての有害事象はプラセボ群の65歳未満で513/605例(84.8%)、65~74歳で926/1092例(84.8%)、75~79歳で548/613例(89.4%)、80歳以上で598/679(88.1%)、ジャディアンス群の65歳未満で491/594例(82.7%)、65~74歳で951/1121例(84.8%)、75~79歳で579/662例(87.5%)、80歳以上で553/619(89.3%)に認められました。
その他投与中止に至った有害事象、重篤な有害事象、安全性検討事項の発現割合は、スライドにお示ししたとおりです(図11)。

年齢別解析では、幅広い年齢層に対する治療効果が検討されました06

図11

EMPEROR-Reduced試験では、すべての有害事象はプラセボ群の65歳未満で558/739例(75.5%)、65~74歳で501/628例(79.8%)、75歳以上で404/496(81.5%)、ジャディアンス群の65歳未満で493/675例(73.0%)、65~74歳で525/685例(76.6%)、75歳以上で402/503(79.9%)に認められました。
その他投与中止に至った有害事象、重篤な有害事象、安全性検討事項の発現割合は、スライドにお示ししたとおりです(図12)。

年齢別解析では、幅広い年齢層に対する治療効果が検討されました07

図12

高齢者を含む慢性心不全患者さんに、シンプルに使えるジャディアンスをご活用ください

SGLT2阻害薬ジャディアンスは、2型糖尿病治療においては1日1回10mg、25mgで承認を得ておりますが、慢性心不全に対する用法・用量は、2型糖尿病に対する通常用量と同じ1日1回10mgの1用量であり、朝食前または朝食後のどちらでも服用可能です。
また慢性心不全の場合は、eGFRが20 mL/分/1.73m2以上であれば投与可能です。20 mL/分/1.73m2未満の場合は本剤投与中にeGFRが低下して腎機能障害が悪化するおそれがあるため、投与の必要性を慎重に判断してください(図13)。

高齢者を含む慢性心不全患者さんに、シンプルに使えるジャディアンスをご活用ください

図13

今回ご紹介したEMPEROR-Preserved/EMPEROR-Reduced試験の年齢別解析では、幅広い年齢層、かつ幅広い左室駆出率の慢性心不全患者さんにおけるジャディアンスの治療効果が検討されました。
さまざまな慢性心不全患者さんに、ぜひジャディアンスのご処方をご検討ください(図14)。

高齢者を含む慢性心不全患者さんに、シンプルに使えるジャディアンスをご活用ください02

図14

ページトップ