SGLT2阻害剤ジャディアンス10mg 1用量でCKD※治療の新たな選択肢に

サイトへ公開: 2024年02月09日 (金)

2024年2月に慢性腎臓病に適応追加となったジャディアンス10mgの変遷やエビデンスを紹介します。          
※ ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。

ジャディアンスの適応追加の変遷

図1]

SGLT2阻害薬であるジャディアンス10mgは、2014年に「2型糖尿病」、2021年には「慢性心不全※1」の効能又は効果が承認されました。          
そして2024年2月、2型糖尿病の有無を問わない慢性腎臓病(CKD)患者の腎疾患進行または心血管死のリスク低下が評価され、「慢性腎臓病※2」に対する効能又は効果が新たに追加承認されました。

※1 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。          
※2 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。

ジャディアンスのEMPA-KIDNEY試験

図2

ジャディアンス10mgの「慢性腎臓病」への適応追加は、CKD患者を対象としたEMPA-KIDNEY試験の結果に基づきます。 
EMPA-KIDNEY試験にはアルブミン尿や糖尿病合併の有無を問わず、幅広いeGFR値のCKD患者6,581例が含まれました。

※ ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。

図3

主要評価項目である腎疾患進行または心血管死のプラセボ群に対するハザード比は0.73で、イベントリスクが27%低下し、ジャディアンス10mg群の優越性が検証されました(99.83%CI:0.59~0.89、p<0.0001、Cox回帰モデル)。

図4

腎疾患進行または心血管死の初回発現におけるサブグループ解析では、ベースラインのeGFR、糖尿病合併の有無および尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)が、特に重要なサブグループとして事前規定されました。          
その結果、ベースラインのeGFR別の解析では、全ての部分集団でハザード比の95%CIの上限は1.00を下回りました。         

また、ベースラインの糖尿病合併の有無別では、糖尿病合併の有無にかかわらずジャディアンス10mg群とプラセボ群の間に有意差が認められました(糖尿病合併:ハザード比0.64、p<0.0001、糖尿病非合併:ハザード比0.83、p=0.0443、いずれも名目上のp値、Cox回帰モデル)。          
ベースラインのUACR別では、顕性アルブミン尿(300 mg/gCr 超)の患者において、ジャディアンス10mg群とプラセボ群の間に有意な差が認められました(ハザード比0.68、p<0.0001、名目上のp値、Cox回帰モデル)。

図5

また、本試験では、eGFRの年間変化率(eGFRスロープ、負の値が小さいほど、1年あたりのeGFRの低下が少ないことを示す)を検討しています。その結果、各群のeGFRは右図のとおり推移し、ベースラインから最終フォローアップ来院までの全期間のeGFRスロープは、プラセボ群 -2.90に対してジャディアンス10mg群 -2.16であり(左上図)、2ヵ月目の来院から最終フォローアップ来院までの慢性期のeGFRスロープは、プラセボ群 -2.74に対して、ジャディアンス10mg群 -1.37でした(左下図)。

図6

また、慢性期において、ベースラインのUACR別のサブグループ解析を実施した結果、推定されたeGFRスロープの差から、ジャディアンス10mg群はUACRにかかわらず、プラセボ群に対してeGFRスロープの低下が小さかったことが示されました(正常群:p=0.0008、微量アルブミン尿群および顕性アルブミン尿群:各p<0.0001、いずれも名目上のp値、shared parameter モデル)。

図7

安全性については、重篤な有害事象および事前に規定した非重篤な有害事象に限定して収集され、全ての有害事象は、ジャディアンス10mg群で43.9%(1,444/3,292例)、プラセボ群で46.1%(1,516/3,289例)に認められました。 
主な有害事象は、ジャディアンス10mg群で痛風231例(7.0%)、コロナウイルス感染98例(3.0%)、急性腎障害93例(2.8%)等、プラセボ群で痛風266例(8.1%)、急性腎障害117例(3.6%)、コロナウイルス感染107例(3.3%)等でした。また重篤な有害事象は、ジャディアンス10mg群でコロナウイルス感染98例、急性腎障害93例、血中カリウム増加76例等、プラセボ群で急性腎障害117例、コロナウイルス感染107例、血中カリウム増加87例等でした。投与中止、死亡に至った有害事象は表のとおりでした。

ジャディアンスの用法及び用量

図8

「慢性腎臓病」治療に対するジャディアンスの投与容量は10mg 1用量のみです。朝食前または朝食後のどちらにおいても服用可能です。

※ ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。

ジャディアンス10mgの薬価

図9

なお、ジャディアンス10mg の薬価は188.90円です。

図10

「2型糖尿病」、「慢性心不全※1」に続き、「慢性腎臓病※2」に対する効能又は効果が追加承認されたジャディアンス10mgを、CKD※2患者さんにお役立てください。

※1 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。          
※2 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。

図11
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