CKD※治療薬としてのジャディアンスのエビデンスEMPA-KIDNEY試験

サイトへ公開: 2024年03月05日 (火)

2024年2月に慢性腎臓病の効果又は効果の追加承認を得たジャディアンス10mgのEMPA-KIDNEY試験を紹介します。

※ ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。

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ジャディアンス10mgは、2型糖尿病、慢性心不全※1に加え、新たに「慢性腎臓病※2」の効能又は効果の追加が承認されました

SGLT2阻害薬であるジャディアンス10mgは、2型糖尿病、慢性心不全※1に続き、2024年2月、「慢性腎臓病※2」 に対する効能又は効果が新たに追加承認されました。 
ジャディアンス10mgの「慢性腎臓病※2」 への適応追加は、EMPA-KIDNEY試験の結果に基づきます。

※1 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。 
※2 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。

EMPA-KIDNEY試験では、アルブミン尿、糖尿病合併の有無にかかわらず、幅広いeGFR値のCKD患者が組み入れられました

EMPA-KIDNEY試験は、腎疾患進行のリスクのある慢性腎臓病(CKD)患者を対象としたジャディアンスの国際共同第Ⅲ相・検証試験です。ジャディアンス10mgを1日1回経口投与した時の腎疾患進行または心血管死の初回発現までの期間に対する有効性および安全性についてプラセボと比較検討されました。

本試験にはアルブミン尿、糖尿病の有無にかかわらず、幅広いeGFR値の慢性腎臓病患者が組み入れられました。 
患者の内訳として、糖尿病の合併なしが54.2%、心血管疾患の既往なしが73.2%、eGFR 45mL/min/1.73m2未満が79.0%、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)300mg/gCr以下が48.5%、またRAS阻害薬の使用割合は85.2%でした。腎疾患の原因は、糖尿病が30.9%と最も多く、次いで糸球体疾患、高血圧性/腎血管性疾患でした。

CKD患者における腎疾患進行または心血管死の初回発現までの期間に対するジャディアンス10mg群の優越性が検証されました

本試験は有効性のベネフィットを理由に早期終了となり、観察期間の中央値はジャディアンス10mg群で24.33ヵ月、プラセボ群で24.30ヵ月でした。 
その結果、主要評価項目である腎疾患進行または心血管死のプラセボ群に対するハザード比は0.73で、イベントリスクが27%低下し、ジャディアンス10mg群の優越性が検証されました(99.83%CI:0.59~0.89、p<0.0001、Cox回帰モデル)。

腎疾患進行または心血管死の初回発現におけるサブグループ解析では、ベースラインのeGFR、糖尿病合併の有無およびUACRは、特に重要なサブグループとして事前規定されました。 
その結果、ベースラインのeGFR別の解析では、全ての部分集団でハザード比の95%CIの上限は1.00を下回りました。 
また、ベースラインの糖尿病合併の有無別では、糖尿病合併の有無にかかわらずジャディアンス10mg群とプラセボ群の間に有意差が認められました(糖尿病合併:ハザード比0.64、p<0.0001、糖尿病非合併:ハザード比0.83、p=0.0443、いずれも名目上のp値、Cox回帰モデル)。 
ベースラインのUACR別では、顕性アルブミン尿(300mg/gCr超)の患者において、ジャディアンス10mg群とプラセボ群の間に有意差が認められました(ハザード比0.68、p<0.0001、名目上のp値、Cox回帰モデル)。

本試験には3つの重要な副次評価項目があり、Hochberg法で検定しました。 
その結果、全死亡までの期間の、プラセボ群に対するジャディアンス10mg群のハザード比は0.87(97.10%CI: 0.68~1.11)で有意差は示されませんでした(p=0.2146、Cox回帰モデル、検証的な解析結果)。 
心不全による入院または心血管死の初回発現までの期間の、プラセボ群に対するジャディアンス10mg群のハザード比は0.85(98.55%CI: 0.64~1.14)で、有意差は示されませんでした(p=0.1852、Cox回帰モデル、検証的な解析結果)。 
全ての原因による入院(初回および再発)の発現までの期間の、プラセボ群に対するジャディアンス10mg群のハザード比は0.86(99.03%CI:0.76~0.98)であり、 14%のイベント減少が検証されました(p=0.0025、Joint Frailtyモデル)。なお、全ての原因による入院イベントの総数は、ジャディアンス10mg群で1,608件、プラセボ群で1,887件でした。

また、心血管死または末期腎不全の初回発現までの期間における、プラセボ群に対するジャディアンス10mg群のハザード比は0.73(95%CI: 0.60~0.90)で、有意差が示されました(名目上のp=0.0026、Cox回帰モデル)。

また、本試験では、eGFRの年間変化率(eGFRスロープ、負の値が小さいほど、1年あたりのeGFRの低下が少ないことを示す)を検討しています。その結果、各群のeGFRは上図のとおり推移し、ベースラインから最終フォローアップ来院までの全期間のeGFRスロープは、プラセボ群 -2.90に対してジャディアンス10mg群 -2.16であり(左上図)、2ヵ月目の来院から最終フォローアップ来院までの慢性期のeGFRスロープは、プラセボ群 -2.74に対して、ジャディアンス10mg群 -1.37でした(左下図)。

さらに慢性期におけるeGFRスロープにおいて、事前規定されたベースラインのUACR別のサブグループ解析の実施した結果、推定されたeGFRスロープの差から、ジャディアンス10mg群はUACRにかかわらず、プラセボ群に対してeGFRスロープの低下が小さかったことが示されました(正常群:p=0.0008、微量アルブミン尿群および顕性アルブミン尿群:各p<0.0001、いずれも名目上のp値、shared parameterモデル)。

有害事象の発現割合は、ジャディアンス10mg群で43.9%、プラセボ群で46.1%でした

安全性については、重篤な有害事象および事前に規定した非重篤な有害事象に限定して収集され、全ての有害事象の発現割合は、ジャディアンス10mg群で43.9%(1,444/3,292例)、プラセボ群で46.1%(1,516/3,289例)でした。 
主な有害事象は、ジャディアンス10mg群で痛風231例(7.0%)、コロナウイルス感染98例(3.0%)、急性腎障害93例(2.8%)等、プラセボ群で痛風266例(8.1%)、急性腎障害117例(3.6%)、コロナウイルス感染107例(3.3%)等でした。また重篤な有害事象は、ジャディアンス10mg群でコロナウイルス感染98例、急性腎障害93例、血中カリウム増加76例等、プラセボ群で急性腎障害117例、コロナウイルス感染107例、血中カリウム増加87例等でした。投与中止、死亡に至った有害事象は表のとおりでした。

ジャディアンスの「慢性腎臓病」に対する用法及び用量は10mg 1用量のみです

「慢性腎臓病」に対するジャディアンスの投与用量は10mg 1用量のみです。朝食前または朝食後のどちらにおいても服用可能です。

※ ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。

ジャディアンス10mgを、CKD患者さんにお役立てください

2024年2月、ジャディアンス10mg は「慢性腎臓病」に対する効能又は効果が新たに追加承認されました。ジャディアンス10mgを、CKD患者さんにお役立てください。

※ ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。

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