CKD・心不全対策を考慮した糖尿病治療の重要性とジャディアンスのエビデンス

サイトへ公開: 2022年11月25日 (金)
ジャディアンスのエビデンス

2型糖尿病の日本人集団での初発CVRDイベントのうち CKDが39.3%、心不全が30.6%

図1

2型糖尿病の日本人集団での初発CVRDイベントのうち CKDが39.3%、心不全が30.6%  

大規模国際共同コホート研究において、2型糖尿病の日本人における循環器疾患および腎疾患(CVRD)の有病率は28%であると報告されました。
また、ベースラインにおいてCVRDを合併していない場合でも平均4.5年の追跡期間中に18%でCVRDの初発イベントが発生し、日本人集団において認められたCVRDの初発イベントのうち、39.3%が慢性腎臓病(CKD)、30.6%が心不全であったことが示されました。
この報告では、CKDおよび心不全は、2型糖尿病におけるCVRDの初発イベントとして最も頻度が高く、死亡リスクの高さにも関与していたことから、2型糖尿病治療では、特にCKDおよび心不全のリスク低減を考慮した対策が重要であるとしています。

高血圧および脂質異常症を含むリスク因子を目標範囲内に管理するだけでは、
2型糖尿病のHHFのリスクは糖尿病のない方よりも高いままである

図2

高血圧および脂質異常症を含むリスク因子を 目標範囲内に管理するだけでは、  2型糖尿病のHHFのリスクは糖尿病のない方よりも高いままである 

また、5つのリスク因子(HbA1c値高値、高血圧、LDLコレステロール値高値、アルブミン尿、喫煙)と心不全による入院(HHF)のリスクの相関を検討した報告では、糖尿病のない方を対照とした、2型糖尿病におけるHHFの過剰相対リスクが、年齢、リスク因子の数に関わらず1を超えたと報告されました。
この報告では、高血圧および脂質異常症を含むリスク因子を目標範囲内に管理するだけでは、HHFのリスクは糖尿病のない方よりも高いままであることが示唆されました。

日常診療において、糖尿病治療では、 どのようなことを重視されますか

図3

日常診療において、糖尿病治療では、 どのようなことを重視されますか

BMI 23、HbA1c 7.5%で、高血圧と脂質異常症の治療中。このような患者さんに対して、先生方はどのような点を重視して、糖尿病治療を行っていらっしゃいますか。
糖尿病治療の目標の一つとして、合併症の発症・進展を阻止することが掲げられています3
今回紹介した疫学データでは、合併症として特に心不全とCKDの対策が重要であること、高血圧と脂質異常症等のリスク因子の管理を行うだけではHHFのリスクは糖尿病のない方よりも高いままであることが示されたことから、早期から心・腎・代謝連関を見据えた糖尿病治療を選択することが望まれます。


ジャディアンスのエビデンス
① 2型糖尿病における血糖値への効果

図4

ジャディアンスのエビデンス  ①	2型糖尿病における血糖値への効果

ジャディアンスは、早期から心・腎・代謝連関を見据えた糖尿病治療における有用な選択肢の一つとしてのエビデンスが複数報告されています。
まずは、ジャディアンスの長期にわたる血糖コントロールに関するエビデンスです。
食事・運動療法で血糖コントロールが不十分(HbA1cが7.0%以上かつ10.0%以下)で薬物療法を行っていない2型糖尿病899例を対象としたEMPA-REG EXTENDᵀᴹ MONO試験では、投与76週後においてジャディアンス群およびシタグリプチン群でHbA1cがベースラインよりも低下し、その調整平均変化量は、ジャディアンス10mg群で-0.65%、25mg群で-0.76%、シタグリプチン100mg群で-0.53%であったと報告されました。
なお、本試験で報告された有害事象は、ジャディアンス10mg群76.8%(172/224例)、25mg群78.0%(174/223例)、シタグリプチン100mg群72.2%(161/223例)、プラセボ群76.4%(175/229例)に認められました。
投与中止に至った有害事象はそれぞれ4.9%(11/224例)、4.0%(9/223例)、4.9%(11/223例)、6.6%(15/229例)、重篤な有害事象はそれぞれ11.2%(25/224例)、7.2%(16/223例)、8.1%(18/223例)、10.0%(23/229例)に認められ、死亡に至った有害事象はシタグリプチン100mg群0.4%(1/223例)、プラセボ群0.4%(1/229例)に認められました。投与中止に至った有害事象、および重篤な有害事象の内訳については、論文に記載がありませんでした。
いずれかの群で5%以上となった主な有害事象はのとおりでした。

ジャディアンスのエビデンス
② 2型糖尿病における心不全への影響

図5

ジャディアンスのエビデンス  ②	2型糖尿病における心不全への影響

EMPA-REG OUTCOME®試験では、心血管イベントのリスクを有し、リスク因子(高血圧、脂質異常症等)に対してガイドライン等で推奨される標準治療(スタチン、ACE阻害薬、ARB、アスピリン、β遮断薬、カルシウム拮抗薬の投与等)を受けている2型糖尿病を対象に、標準治療に上乗せした場合のジャディアンス群とプラセボ群の心不全に対する影響を検討しています。

図6

ジャディアンスのエビデンス  ②	2型糖尿病における心不全への影響 02

【参考情報】
ジャディアンス群のプラセボ群に対するHHFのハザード比は、全体集団で0.65(95%CI:0.50~0.85)でした(図)
本試験で報告された有害事象は、ジャディアンス群90.2%(4,230/4,687例)、プラセボ群91.7%(2,139/2,333例)に認められました。重篤な有害事象は、ジャディアンス群38.2%(1,789/4,687例)、プラセボ群42.3%(988/2,333例)、死亡に至った有害事象はそれぞれ3.8%(176/4,687例)、5.1%(119/2,333例)、投与中止に至った有害事象はそれぞれ17.3%(813/4,687例)、19.4%(453/2,333例)に認められました。重篤な有害事象、死亡に至った有害事象、投与中止に至った有害事象の内訳については、論文中に記載がありませんでした。
また、その他にも、のとおりの有害事象が報告されました。

ジャディアンスのエビデンス 
③2型糖尿病における腎機能への影響

図7

 ジャディアンスのエビデンス  ③2型糖尿病における腎機能への影響

EMPA-REG OUTCOME®試験の腎アウトカム解析では、心血管疾患を有する2型糖尿病を対象に、ベースライン時の正常アルブミン尿、微量アルブミン尿、顕性アルブミン尿に層別化してジャディアンスの腎機能に対する影響を検討しました。
なお、本試験には、eGFR 60以上(正常または高値、軽度低下)で顕性アルブミン尿を呈さない患者4,893例、eGFR低下例で顕性アルブミン尿を呈さないDKD 1,290例、eGFRに関わらず顕性アルブミン尿を呈するDKD 769例が含まれました。

図8

ジャディアンスのエビデンス  ③2型糖尿病における腎機能への影響02

【参考情報】
全体集団の解析における腎症の初回発現もしくは悪化の1,000例・年あたりの発現割合は、ジャディアンス群が47.8例、プラセボ群が76.0例、ハザード比は0.61(95%CI:0.53~0.70)でした(図A)。
また、192週までのベースライン時のアルブミン尿別のeGFRの推移は図Bのとおりでした。
なお、本試験で報告された有害事象は、ベースライン時に正常アルブミン尿の患者において、プラセボ群90.8%(1,255/1,382例)、ジャディアンス10mg群88.6%(1,245/1,405例)、ジャディアンス25mg群89.4%(1,237/1,384例)、ベースライン時に微量アルブミン尿の患者において、プラセボ群92.9%(627/675例)、ジャディアンス10mg群91.6%(591/645例)、ジャディアンス25mg群91.1%(631/693例)、ベースライン時に顕性アルブミン尿の患者において、プラセボ群94.2%(245/260例)、ジャディアンス10mg群92.7%(242/261例)、ジャディアンス25mg群94.0%(233/248例)に認められました。
投与中止に至った有害事象はそれぞれ17.1%(236/1,382例)、15.7%(221/1,405例)、15.1%(209/1,384例)、21.2%(143/675例)、18.0%(116/645例)、17.6%(122/693例)、27.7%(72/260例)、28.0%(73/261例)、25.4%(63/248例)、重篤な有害事象はそれぞれ39.2%(542/1,382例)、33.9%(476/1,405例)、35.5%(492/1,384例)、44.3%(299/675例)、40.3%(260/645例)、41.1%(285/693例)、55.4%(144/260例)、47.5%(124/261例)、51.6%(128/248例)、死亡はそれぞれ3.8%(52/1,382例)、3.7%(52/1,405例)、2.8%(39/1,384例)、7.0%(47/675例)、3.7%(24/645例)、3.5%(24/693例)、7.7%(20/260例)、7.7%(20/261例)、6.5%(16/248例)に認められました。
また、その他にも、のとおりの有害事象が報告されました。

ジャディアンスのエビデンス
④左室駆出率が低下した(≦40%) 慢性心不全※における腎機能への影響

※ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。

図9

ジャディアンスのエビデンス  ④左室駆出率が低下した(≦40%) 慢性心不全※における腎機能への影響

また、慢性心不全※の適応を持つジャディアンス10mgでは、慢性心不全患者における腎機能への影響についてのエビデンスが報告されています。
左室駆出率の低下した(40%以下)慢性心不全患者を対象に、慢性心不全の標準治療にジャディアンスを追加した際の有効性と安全性を検討したEMPEROR-Reduced試験において、腎機能指標別の腎イベントに対する影響が検討されました。

※ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。

図10

ジャディアンスのエビデンス  ④左室駆出率が低下した(≦40%) 慢性心不全※における腎機能への影響 02

【参考情報】
ジャディアンス10mg群のプラセボ群に対する腎複合アウトカムのハザード比は、全体集団で0.50(95%CI:0.32~0.77)、CKDなしで0.46(95%CI:0.22~0.99)、CKDありで0.53(95%CI:0.31~0.91)でした。
なお、本試験で報告された有害事象は、CKDなしのジャディアンス10mg群で71.9%(632/879例)、プラセボ群で73.5%(636/865例)、CKDありのジャディアンス10mg群で80.2%(787/981例)、プラセボ群で82.9%(825/995例)、重篤な有害事象はそれぞれ、35.3%(310/879例)、44.0%(381/865例)、47.1%(462/981例)、51.6%(513/995例)、投与中止に至った有害事象はそれぞれ、14.1%(124/879例)、13.4%(116/865例)、20.2%(198/981例)、21.1%(210/995例)でした。CKDの有無別の死亡に至った有害事象および、重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象の内訳は、論文に記載がありませんでした。

‡探索的複合評価項目として、慢性透析、腎移植、eGFR40%以上の減少の持続、ベースラインのeGFR≧30mL/min/1.73㎡の患者におけるeGFR<15mL/min/1.73㎡の持続、ベースラインのeGFR<30mL/min/1.73㎡の患者におけるeGFR<10mL/min/1.73㎡の持続を含む。

図11

ジャディアンスのエビデンス  ④左室駆出率が低下した(≦40%) 慢性心不全※における腎機能への影響 023

CKDや心不全のイベントリスクが高い2型糖尿病に対する、早期から心・腎・代謝連関を考慮した糖尿病治療の選択肢として、ジャディアンスをご検討ください。

【引用】

  1. Birkeland KI, et al.: Diabetes Obes Metab. 2020; 22(9):1607-18. 
  2. Rawshani A, et al.: N Engl J Med. 2018; 379(7): 633-44.
  3. 日本糖尿病学会編・著. 糖尿病治療ガイド2022-2023, p31, 文光堂, 2022.
ページトップ