下野先生に聞きました SGLT2阻害薬の患者アドバイス実践Q&A 運動療法編
第2回 運動療法編
Q:
SGLT2阻害薬投与により、フレイルやサルコペニアのリスクが高まるのでしょうか?
A:
SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendationにおいて、75歳以上の高齢者あるいは65歳から74歳でサルコペニアなどの老年症候群のある場合には慎重に投与することとされています1)。
これは高齢者糖尿病の合併症としてADL低下、フレイル、サルコペニアなどの老年症候群を来しやすい事が示されているためです2)。
解説
![解説](/jp/sites/default/files/inline-images/JAD_003_2_0.png)
運動療法は SGLT2阻害薬の投与にかかわらず、食事療法や薬物療法と同様に糖尿病治療の基本ですが、高齢者ではいっそう運動療法の重要性が増すと考えられています。
運動療法には、血糖改善に加えて、サルコペニア、寝たきりの予防などの効果も期待されるためです3)。
患者さんに説明する際には、運動療法は糖尿病のためでもあるが、そもそもの健康のために、またリフレッシュのために運動習慣をつけてほしいとお話ししています。
患者さんに応じて、運動の強度を取り組みやすいものから始めることを提案しています。
1) 日本糖尿病学会 SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会. SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation. 2019年8月6日改訂
2) 糖尿病診療ガイドライン2019 p.319-P328
3) 日本糖尿病学会 編・著. 糖尿病専門医研修ガイドブック改訂第7版, p.385, 2017