2型糖尿病を合併したCKD※患者に対するジャディアンスの有用性

サイトへ公開: 2024年04月25日 (木)

2型糖尿病を合併した慢性腎臓病とジャディアンスの有用性について解説します。

CKDの重症度は、蛋白尿が正常であったとしても、 eGFRが60未満であれば基準よりも高くなります

先生の患者さんに、図に示すような、2型糖尿病のある慢性腎臓病の方はいらっしゃいませんか?
CKDの重症度は、原疾患・GFR区分・蛋白尿区分を合わせたステージにより評価されます(右表)。こちらの方の場合、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)20mg/gCrで蛋白尿区分はA1と正常ですが、eGFR 51mL/min/1.73m2でeGFR区分はG3aの軽度~中等度低下の範囲となり、CKDの重症度は基準の緑より高い黄色のステージになります。
このように、蛋白尿が正常であったとしても、eGFRが60未満であれば重症度ステージは基準よりも高くなります。

2型糖尿病のある方は腎機能低下により心血管イベントおよび死亡リスクが上昇します

2型糖尿病のある方では、正常アルブミン尿でも、eGFR低下により心血管イベントリスクが上昇することが示されています。
大血管疾患や末期腎不全のない2型糖尿病のある方を対象とした海外の前向きコホート研究では、アルブミン尿のない集団において、eGFR(mL/min/1.73m2)が30以上60未満の群は、eGFR 90以上の群に対する心血管イベントのハザード比が3.05であり、イベント発現リスクが有意に高くなりました(p=0.002、Cox比例ハザードモデル)。

さらに、2型糖尿病のある方では、正常アルブミン尿でもeGFR低下により死亡リスクが上昇することが示されています。
別の海外の前向きコホート研究では、2型糖尿病のある方において、死亡のハザード比(95%CI)は、アルブミン尿なし+eGFR低下なしの場合と比べて、アルブミン尿あり+eGFR低下なしの場合で1.45(1.33~1.58)、アルブミン尿なし+eGFR低下ありの場合で1.58(1.43~1.75)、アルブミン尿あり+eGFR低下ありの場合で2.08(1.88~2.30)でした(いずれもCox比例ハザードモデル)。
このように、2型糖尿病のある方では、腎機能低下により心血管イベントや死亡リスクの上昇が示されていることから、腎機能低下を抑えるため、早期からの治療介入が望まれます。

ジャディアンスはEMPA-KIDNEY試験において、 糖尿病合併の有無を問わずCKD患者に対する有用性が示されました

ジャディアンスのCKD治療薬としての有効性および安全性を検討したEMPA-KIDNEY試験について紹介します。
EMPA-KIDNEY試験は、腎疾患進行のリスクのあるCKD患者を対象としたジャディアンスの国際共同第Ⅲ相・検証試験です。本試験にはアルブミン尿や糖尿病の有無を問わず、幅広いeGFRのCKD患者6,581例が含まれました。このうち、糖尿病のある方は45.8%でした。

主要評価項目である腎疾患進行または心血管死の初回発現までの期間において、ジャディアンス10mg群のプラセボ群に対するハザード比は0.73で、イベントリスクが27%低下し、ジャディアンス10mg群の優越性が検証されました(99.83%CI:0.59~0.89、p<0.0001、Cox回帰モデル)。

腎疾患進行または心血管死の初回発現におけるサブグループ解析の結果、ベースラインの糖尿病合併の有無にかかわらずジャディアンス10mg群とプラセボ群の間に有意差が認められました(糖尿病合併:ハザード比0.64、p<0.0001、糖尿病非合併:ハザード比0.83、p=0.0443、いずれも名目上のp値、Cox回帰モデル)。また、年齢65歳以上、65歳未満のいずれにおいても、プラセボ群に対するジャディアンス10mg群のハザード比の点推定値は1.00未満でした。

本試験では、eGFRの年間変化率(eGFRスロープ、負の値が小さいほど、1年あたりのeGFRの低下が少ないことを示す)を検討しています。その結果、ベースラインから最終フォローアップ来院までの全期間のeGFRスロープは、プラセボ群 -2.90に対してジャディアンス10mg群 -2.16であり、2ヵ月目の来院から最終フォローアップ来院までの慢性期のeGFRスロープは、プラセボ群 -2.74に対して、ジャディアンス10mg群 -1.37でした。

また、慢性期において、ベースラインのUACR別にみたサブグループ解析では、推定されたeGFRスロープの差から、ジャディアンス10mg群はUACRにかかわらず、プラセボ群に対してeGFRスロープの低下が小さかったことが示されました(正常群:p=0.0008、微量アルブミン尿群および顕性アルブミン尿群:各p<0.0001、いずれも名目上のp値、shared parameter モデル)。

安全性については、重篤な有害事象および事前に規定した非重篤な有害事象に限定して収集され、全ての有害事象の発現割合はジャディアンス10mg群で43.9%(1,444/3,292例)、プラセボ群で46.1%(1,516/3,289例)でした。
主な有害事象は、ジャディアンス10mg群で痛風231例(7.0%)、コロナウイルス感染98例(3.0%)、急性腎障害93例(2.8%)等、プラセボ群で痛風266例(8.1%)、急性腎障害117例(3.6%)、コロナウイルス感染107例(3.3%)等でした。また重篤な有害事象は、ジャディアンス10mg群でコロナウイルス感染98例、急性腎障害93例、血中カリウム増加76例等、プラセボ群で急性腎障害117例、コロナウイルス感染107例、血中カリウム増加87例等でした。投与中止、死亡に至った有害事象は表のとおりでした。

ジャディアンスは1日1回10mgで慢性腎臓病※1、慢性心不全※2、 2型糖尿病※3に対して投与することが可能です

「慢性腎臓病※1」に対するジャディアンスの投与用量は10mg 1用量のみです。朝食前または朝食後のどちらにおいても服用可能です。
また、2型糖尿病を合併する患者では、血糖コントロールが不十分な場合には血糖コントロール改善を目的としてジャディアンスを25mgに増量することができます。ただし、慢性心不全及び慢性腎臓病に対してジャディアンス10mg1日1回を超える用量の有効性は確認されていないため、ジャディアンス10mgを上回る有効性を期待してジャディアンス25mgを投与しないように注意が必要です。

※1 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。
※2 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
※3 2型糖尿病の患者では、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら25mg1日1回に増量することができる。

ジャディアンスとDPP-4阻害薬との配合剤であるトラディアンスは 1日1回1錠のシンプルな処方で糖尿病の治療強化を行うことができます

ジャディアンスをはじめとするジャディアンスファミリーでは、簡便な処方のままシンプルに糖尿病の治療強化を行うことができます。
ジャディアンスとDPP-4阻害薬トラゼンタとの配合錠であるトラディアンス配合錠は、ジャディアンスと同じ1日1回1錠で投与可能な薬剤です。

高齢糖尿病は糖尿病全体の7割以上を占め、 CKDなどの合併症を有することなどが知られています

CKDや糖尿病の治療は長期にわたるため、患者の年齢、高齢化について考慮する必要があります。 
厚生労働省の調査によると、日本で糖尿病のある方のうち、65歳以上の方が77.2%を占めていました。また、高齢糖尿病では、CKDの合併率が65~74歳で32.1%、75歳以上では49.0%になることが報告されており、こうした病態の特徴を踏まえた治療介入が求められます。

ジャディアンスは、糖尿病の治療薬として EMPA-ELDERLY試験において日本人高齢2型糖尿病に対する有用性が示されました

ジャディアンスは、EMPA-ELDERLY試験において、日本人高齢2型糖尿病患者を対象に、長期投与による血糖降下作用および安全性、また体組成・筋力・身体活動・QOL・認知機能に及ぼす影響などが検討されました。

その結果、主要評価項目であるジャディアンス10mg群の52週時におけるHbA1cのベースラインからの調整平均変化量は、プラセボ群と比較して-0.57%(95%CI:-0.78~-0.36、p<0.0001、名目上のp値、MMRM)でした。

【参考情報】
52週間投与後の体組成および筋力のベースラインからの変化量は図のとおりでした。

本試験における有害事象の発現割合は、ジャディアンス10mg群で73.8%(48/65例)、プラセボ群で71.9%(46/64例)でした。
主な有害事象は、ジャディアンス10mg群で便秘7例(10.8%)、発熱4例(6.2%)、鼻咽頭炎3例(4.6%)、プラセボ群で鼻咽頭炎、下痢各4例(6.3%)、便秘、発熱各3例(4.7%)でした。また重篤な有害事象は、ジャディアンス10mg群で脳塞栓症、白内障、落屑緑内障、緑内障各1例、プラセボ群で大腿骨頸部骨折2例、顔面神経麻痺、視神経炎、白内障、脳挫傷、肋骨骨折、外傷性血胸各1例でした。投与中止、死亡に至った有害事象は表のとおりでした。

ジャディアンス10mgを、糖尿病を合併したCKD患者さんにお役立てください

新たに、慢性腎臓病の効能又は効果が承認されたジャディアンス10mgを、糖尿病を合併したCKD患者さんにお役立てください。

※ ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。

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