ミカルディス®錠20/ミカルディス®錠40/ミカルディス®錠80mg
本剤は高血圧症に対し使用される、胆汁排泄型持続性AT1受容体ブロッカーです。
重要なお知らせ
このページは医療関係者の方向けに使いやすさを配慮した処方に関連する資料です。公式の電子添文が必要な場合には、ページ下部のボタンよりPDF形式でダウンロードしてください。
禁忌(次の患者には投与しないこと)
製品名 | ミカルディス®錠20/ミカルディス®錠40/ミカルディス®錠80mg |
区分 | 処方箋医薬品注) |
適応症 | 高血圧症 |
有効成分 | テルミサルタン |
注)注意-医師等の処方箋により使用すること
製品の基本情報
組成
販売名 | ミカルディス錠 20mg | ミカルディス錠 40mg | ミカルディス錠 80mg |
有効成分 | 1錠中 テルミサルタン 20mg |
1錠中 テルミサルタン 40mg |
1錠中 テルミサルタン 80mg |
添加剤 | 軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、メグルミン、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、エリスリトール | 軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、メグルミン、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、D-マンニトール、ヒプロメロース、マクロゴール6000、タルク、酸化チタン |
製剤の性状
販売名 | ミカルディス錠 20mg | ミカルディス錠 40mg | ミカルディス錠 80mg |
剤形 | 白色~微黄色の錠剤 | 白色~微黄色の割線入り錠剤 | 白色の割線入りフィルムコート錠 |
外形 |
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直径 | 約6mm | 約8mm | 約10mm |
厚さ | 約2.5mm | 約2.8mm | 約4.4mm |
重さ | 約0.085g | 約0.170g | 約0.345g |
識別コード | ![]() |
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高血圧症
通常、成人にはテルミサルタンとして40mgを1日1回経口投与する。ただし、1日20mgから投与を開始し漸次増量する。
なお、年齢・症状により適宜増減するが、1日最大投与量は80mgまでとする。
肝障害のある患者に投与する場合、最大投与量は1日1回40mgとする。[特定の背景を有する患者に関する注意の項参照]
- 降圧作用に基づく失神、めまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
- 手術前24時間は投与しないことが望ましい。アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤投与中の患者は、麻酔及び手術中にレニン-アンジオテンシン系の抑制作用による高度な血圧低下を起こす可能性がある。
- 本剤を含むアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤投与中に肝炎等の重篤な肝障害があらわれたとの報告があるので、肝機能検査を実施するなど、観察を十分に行うこと。[副作用の項参照]
合併症・既往歴等のある患者
- 両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがある。 - 高カリウム血症の患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。高カリウム血症を増悪させるおそれがある。また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、血清カリウム値に注意すること。 - 脳血管障害のある患者
過度の降圧が脳血流不全を引き起こし、病態を悪化させるおそれがある。 - 厳重な減塩療法中の患者
低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。急激な血圧低下を起こすおそれがある。[副作用の項参照]
腎機能障害患者
- 重篤な腎障害(血清クレアチニン値3.0mg/dL以上の場合)のある患者
腎機能を悪化させるおそれがある。 - 血液透析中の患者
低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。急激な血圧低下を起こすおそれがある。[副作用、過量投与の項参照]
肝機能障害患者
- 胆汁の分泌が極めて悪い患者又は重篤な肝障害のある患者
投与しないこと。[禁忌、特定の背景を有する患者に関する注意の項参照] - 肝機能障害患者
本剤は主に胆汁中に排泄されるため、テルミサルタンのクリアランスが低下することがある。また、外国において肝障害患者で本剤の血中濃度が約3~4.5倍上昇することが報告されている。[用法及び用量に関連する注意、特定の背景を有する患者に関する注意、薬物動態の項参照]
生殖能を有する者
- 妊娠する可能性のある女性
妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている1),2)。
本剤の投与に先立ち、代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、投与が必要な場合には次の注意事項に留意すること。[妊婦の項参照]
(1)本剤投与開始前に妊娠していないことを確認すること。本剤投与中も、妊娠していないことを定期的に確認すること。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。
(2)次の事項について、本剤投与開始時に患者に説明すること。また、投与中も必要に応じ説明すること。
・妊娠中に本剤を使用した場合、胎児・新生児に影響を及ぼすリスクがあること。
・妊娠が判明した又は疑われる場合は、速やかに担当医に相談すること。
・妊娠を計画する場合は、担当医に相談すること。
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。
妊娠中期及び末期に本剤を含むアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤又はアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の奇形、肺の発育不全等があらわれたとの報告がある。[禁忌、特定の背景を有する患者に関する注意の項参照]
授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。また、動物実験(ラット出生前、出生後の発生及び母動物の機能に関する試験)の15mg/kg/日以上の投与群で出生児の4日生存率の低下、50mg/kg/日投与群で出生児の低体重及び身体発達の遅延が報告されている。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
高齢者
一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。
本剤は、主としてUGT酵素(UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ)によるグルクロン酸抱合によって代謝される。[薬物動態の項参照]
併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アリスキレンフマル酸塩 ラジレス (糖尿病患者に使用する場合。ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く。)[禁忌の項参照] |
非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。 | レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ジゴキシン | 血中ジゴキシン濃度が上昇したとの報告がある3)。 | 機序不明 |
カリウム保持性利尿剤 スピロノラクトントリアムテレン等 カリウム補給剤 |
血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。 | カリウム貯留作用が増強するおそれがある。 危険因子:特に腎機能障害のある患者 |
リチウム製剤 炭酸リチウム |
アンジオテンシン変換酵素阻害剤との併用により、リチウム中毒を起こすことが報告されている。 | 明確な機序は不明であるが、ナトリウムイオン不足はリチウムイオンの貯留を促進するといわれているため、本剤がナトリウム排泄を促進することにより起こると考えられる。 |
利尿降圧剤 フロセミド、トリクロルメチアジド等 [副作用の項参照] |
急激な血圧低下を起こすおそれがあるので、低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。 | 利尿降圧剤で治療を受けている患者にはレニン活性が亢進している患者が多く、本剤が奏効しやすい。 |
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) | 糸球体ろ過量がより減少し、腎障害のある患者では急性腎障害を引き起こす可能性がある。 | プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。 |
降圧薬の効果を減弱させることが報告されている。 | 血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成が阻害されるため、降圧薬の血圧低下作用を減弱させると考えられている。 | |
アンジオテンシン変換酵素阻害剤 | 急性腎障害を含む腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある4)。 | レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
アリスキレンフマル酸塩 | 腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。 | レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
- 血管浮腫(0.1%未満)
顔面、口唇、咽頭・喉頭、舌等の腫脹を症状とする血管浮腫があらわれ、喉頭浮腫等により呼吸困難を来した症例も報告されている。 - 高カリウム血症(頻度不明)
- 腎機能障害(頻度不明)
急性腎障害を呈した例が報告されている。 - ショック(頻度不明)、失神、意識消失(0.1%)
冷感、嘔吐、意識消失等があらわれた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。[特定の背景を有する患者に関する注意、相互作用の項参照] - 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、γ-GTP上昇等の肝機能障害があらわれることがある。[重要な基本的注意の項参照] - 低血糖(頻度不明)
脱力感、空腹感、冷汗、手の震え、集中力低下、痙攣、意識障害等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。糖尿病治療中の患者であらわれやすい。 - アナフィラキシー(頻度不明)
呼吸困難、血圧低下、喉頭浮腫等が症状としてあらわれることがある。 - 間質性肺炎(頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。 - 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
0.5~5%未満 | 0.5%未満 | 頻度不明 | |
過敏症 | 瘙痒、発疹 | 紅斑、じん麻疹 | |
精神神経系 | めまい、頭痛、眠気、頭のぼんやり感 | 不安感 | 不眠、抑うつ状態 |
血液 | 白血球減少 | 好酸球上昇、血小板減少、ヘモグロビン減少、貧血 | |
循環器 | ほてり、心悸亢進 | ふらつき、上室性期外収縮、心房細動、上室性頻脈 | 低血圧、起立性低血圧、徐脈 |
消化器 | 腹痛、下痢、嘔気 | 食欲不振、消化不良、胃炎、口渇、口内炎 | 鼓腸、嘔吐 |
肝臓 | AST、ALT、Al-P、LDH上昇等の肝機能異常 | ||
呼吸器 | 咳 | 喀痰増加、咽頭炎 | |
腎臓 | 血清クレアチニン上昇、血中尿酸値上昇 | ||
骨格筋 | 関節痛、下肢痙攣、下肢痛、筋肉痛、背部痛、腱炎 | ||
電解質 | 血清カリウム上昇 | 低ナトリウム血症 | |
その他 | 耳鳴、倦怠感、CRP陽性、CK上昇 | 浮腫、脱力感、発熱、頻尿、結膜炎、目のチカチカ感、羞明 | 視覚異常、多汗、胸痛、上気道感染、インフルエンザ様症状、尿路感染、膀胱炎、敗血症、しびれ、味覚異常 |
症状
本剤の過量服用(640mg)により、低血圧及び頻脈があらわれたとの報告がある。
処置
本剤は血液濾過されない。また、本剤は血液透析によって除去されない。[特定の背景を有する患者に関する注意の項参照]
薬剤交付時の注意
- PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
- 本剤を食後に服用している患者には、毎日食後に服用するよう注意を与えること。本剤の薬物動態は食事の影響を受け、空腹時投与した場合は、食後投与よりも血中濃度が高くなることが報告されており、副作用が発現するおそれがある。[薬物動態の項参照]
血中濃度
単回投与
本態性高血圧症患者にテルミサルタン20mg、40mg、80mg(カプセル剤)を食後に単回経口投与(20mg群:31例(男性22、女性9)、40mg群:29例(男性22、女性7)、80mg群:30例(男性18、女性12)したときの血漿中未変化体濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった5)。
![血漿中未変化体濃度推移及び薬物動態パラメータ](/jp/sites/default/files/2020-12/mic_t20_pi_1.png)
投与量 | Cmax (ng/mL) |
tmax (h) |
AUC(0-24h) (ng・h/mL) |
t1/2 (h) |
20mg (n=31) |
33.84±17.37 | 6.9±6.2 | 424.65±232.25 | 24.0±11.0 |
40mg (n=29) |
78.52±32.72 | 4.6±1.7 | 807.41±334.76 | 20.3±12.1 |
80mg (n=30) |
365.81±253.08 | 3.6±1.2 | 2304.54±1522.85 | 20.9±10.6 |
(平均値±S.D.)
また、日本人及び外国人の健康成人及び患者において、40mg以上(カプセル剤もしくは溶液)の投与量で用量比以上の曝露の上昇がみられ、Cmaxでその傾向は顕著であることが確認されている5)~8)。その機序として、小腸壁での抱合能の飽和及び肝臓への分布の飽和の関与が考えられる。
反復投与
本態性高血圧症患者にテルミサルタン40mg、80mg(カプセル剤)を1日1回14日間食後に反復経口投与(40mg群:10例(男性6、女性4)、80mg群:10例(男性7、女性3))したとき、定常状態である14日目における血漿中未変化体濃度は、投与後2~4時間で最大値を示し、以後徐々に低下した。また、AUC(0-24h)の比から算出した蓄積率は、40mg及び80mg投与でそれぞれ1.91±0.53及び1.61±0.62(平均値±S.D.)であった9)。
投与量 | 投与日 | Cmax (ng/mL) |
tmax (h) |
AUC(0-24h) (ng・h/mL) |
40mg (n=10) |
1日目 14日目 |
85.78±45.25 166.51±88.49 |
4.0±1.6 3.4±1.0 |
1030.16±598.93 1930.61±1155.91 |
80mg (n=10) |
1日目 14日目 |
259.50±137.14 436.62±219.36 |
2.9±1.2 2.3±0.9 |
2288.28±956.39 3203.57±1710.92 |
(平均値±S.D.)
14日目のCmax及びAUC(0-24h)を男女別に分けた場合、各平均値の男性に対する女性の比は40mg投与時で1.18及び0.97、80mg投与時で1.77及び1.69であり、男性よりも女性で高い傾向が認められた。
生物学的同等性
錠剤とカプセル剤の生物学的同等性は、テルミサルタン20mgを含有する各製剤を用いて、健康成人男子を対象にした生物学的同等性試験により確認されている10)。また、含量の異なる錠剤間の生物学的同等性は、20mg錠と40mg錠は溶出試験により、40mg錠と80mg錠は健康成人男子を対象にした生物学的同等性試験により、確認されている11),12)。
ポピュレーションファーマコキネティクス解析
日本人及び外国人の併合データであるポピュレーションファーマコキネティクス解析の結果から、クリアランスは女性より男性で39%高く、女性の曝露が男性よりも高いことが示唆された13)。
個体差
日本人及び外国人の臨床試験における薬物動態を検討した結果、Cmax及びAUCに個体差が認められ、80mg以上の投与量においてその傾向が顕著であった。
吸収
健康成人男子20例に、テルミサルタン40mg(カプセル剤)を単回経口投与したとき、空腹時投与に比べ食後投与でtmaxが遅延(空腹時:1.8±0.9時間、食後:5.3±1.4時間)し、Cmaxが57%、AUCが32%低下した14)。[適用上の注意の項参照]
分布
ラット及びヒトの血漿蛋白結合率は、in vitro 及びin vivo ともに99%以上であった15)~17)。
代謝
健康成人男子5例に14C-テルミサルタン40mgを静脈内投与したとき、血漿中総放射能の84%以上が未変化体であり、残りはグルクロン酸抱合体であった18)(外国人データ)。[相互作用の項参照]
排泄
健康成人男子にテルミサルタン20、40、80mgを空腹時に単回経口投与(各群6例)したとき、未変化体はほとんど尿中に排出されず、投与後24時間までの平均累積尿中排泄率は、いずれの投与量においても0.02%以下であった11)。
健康成人男子5例に14C-テルミサルタン40mgを空腹時に単回経口投与したとき、投与後144時間までの放射能の尿中及び糞中総排泄率はそれぞれ約0.5%及び102%であり、吸収されたテルミサルタンの大部分が胆汁を介して糞中に排泄された18)。
特定の背景を有する患者
腎機能障害患者
腎機能障害を伴う高血圧症患者12例に、テルミサルタン40mg(カプセル剤)を1日1回7日間反復経口投与したとき、腎機能中等度低下群(6例(男性4、女性2)、血清クレアチニン値1.5~2.9mg/dL)と高度低下群(6例(男性4、女性2)、血清クレアチニン値3.0~4.0mg/dL)との間に薬物動態学的パラメータの差は認められなかった。また、正常腎機能の高血圧症患者と比較してCmax及びAUCに差は認められなかった19)。
肝機能障害患者
肝障害男性患者12例(Child-Pugh分類A(軽症):8例、B(中等症):4例)にテルミサルタン20mg及び120mg注)を経口投与したとき、健康成人に比較しCmaxは4.5倍及び3倍高く、AUCは2.5倍及び2.7倍高かった20)(外国人データ)。[特定の背景を有する患者に関する注意の項参照]
注)肝障害のある患者に投与する場合の最大投与量は1日40mgである。
有効性及び安全性に関する試験
国内臨床試験
ミカルディスカプセルについて、高血圧症患者を対象として実施した多施設二重盲検比較試験の結果、本剤の有用性が認められた21)。
また、ミカルディスカプセルについて、二重盲検比較試験を含む国内で実施した臨床試験において、効果判定の対象となった449例中、承認された用法・用量の範囲内における臨床試験成績(419例)は以下のとおりであった。
疾患名 | 有効率(下降の例数) | |
「判定不能」を含む | 「判定不能」を除く | |
本態性高血圧症 | 76.8% (284/370) |
82.1% (284/346) |
腎障害を伴う高血圧症 | 65.0% (13/20) |
65.0% (13/20) |
重症高血圧症 | 79.3% (23/29) |
85.2% (23/27) |
合計 | 76.4% (320/419) |
81.4% (320/393) |
作用機序
本剤は主に血管平滑筋のアンジオテンシンⅡ(A-Ⅱ)タイプ1(AT1)受容体において、生理的昇圧物質であるA-Ⅱと特異的に拮抗し、その血管収縮作用を抑制することにより降圧作用を発現する。本剤のAT1受容体親和性は高く(Ki=3.7nM)、AT1受容体から容易に解離しない22),23)。本剤は10~1000nMの濃度範囲で、A-Ⅱによる摘出ウサギ大動脈標本の血管収縮反応曲線を、濃度依存的に右方に移動させると共に最大収縮を40~50%抑制する22),23)。また標本洗浄120分後においても有意な血管収縮抑制を示し、作用は持続的である22)。また、ブラジキニン分解酵素であるACE(キニナーゼⅡ)に対しては直接影響を及ぼさない22),23)。
降圧作用
本剤は腎血管性高血圧ラットへの1mg/kgの4日間連続経口投与により、最大で55mmHgの降圧作用を示し、高血圧自然発症ラットへの0.3、1、3mg/kgの4日間連続経口投与により、それぞれ最大で23、22、38mmHgの降圧作用を示す24)。またトランスジェニックラットへの0.5、1、2mg/kgの21日間漸増経口投与により、それぞれ最大で33、57、72mmHgの降圧作用を示す25)。各モデルにおいて、投与終了後のリバウンド現象は認められない。腎血管性高血圧ラットへの1mg/kgの単回経口投与は、21時間以上にわたり有意な降圧作用を示す22)。レニン・アンジオテンシン系を亢進させたナトリウム欠乏カニクイザルに対しても0.3mg/kgの経口投与から有意な降圧作用を示し、1mg/kgの経口投与により降圧作用は7時間持続する26),27)。なお、正常血圧動物に対する降圧作用は弱い28),29)。利尿剤及びカルシウム拮抗剤との併用により本剤の降圧作用は増強される30),31)。
一般的名称:テルミサルタン(JAN)Telmisartan(JAN,INN)
化学名:4’-{[4-Methyl-6-(1-methyl-1H-benzimidazol-2-yl)-2-propyl-1H-benzimidazol-1-yl]methyl}biphenyl-2-carboxylic acid
分子式:C33H30N4O2
分子量:514.62
性状:白色~微黄色の結晶性の粉末である。
ギ酸に溶けやすく、メタノールに溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
結晶多形が認められる。
化学構造式:
![化学構造式](/jp/sites/default/files/2020-12/mic_t20_pi_2.png)
融点:269℃
分配係数:log P=3.2(n-オクタノール/pH7.4リン酸緩衝液)
分包後は吸湿して軟化、黄変することがあるので、高温・多湿を避けて保存すること。
〈ミカルディス錠20mg〉
140錠[14錠(PTP)×10]
500錠[10錠(PTP)×50]
700錠[14錠(PTP)×50]
500錠[瓶、バラ]
〈ミカルディス錠40mg〉
140錠[14錠(PTP)×10]
500錠[10錠(PTP)×50]
700錠[14錠(PTP)×50]
500錠[瓶、バラ]
〈ミカルディス錠80mg〉
100錠[10錠(PTP)×10]
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