重要なお知らせ
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禁忌(次の患者には投与しないこと)
製品名 | ミカトリオ®配合錠 |
区分 | 劇薬、処方箋医薬品注) |
適応症 | 高血圧症 |
有効成分 | テルミサルタン/アムロジピンベシル酸塩/ヒドロクロロチアジド配合 |
注)注意-医師等の処方箋により使用すること
製品の基本情報
組成
販売名 | ミカトリオ配合錠 |
有効成分 | 1錠中 テルミサルタン 80mg アムロジピンベシル酸塩 6.93mg(アムロジピンとして5mg) ヒドロクロロチアジド 12.5mg |
添加剤 | メグルミン、ポリオキシエチレン[160]ポリオキシプロピレン[30]グリコール、D-マンニトール、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタン、タルク、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄 |
製剤の性状
販売名 | ミカトリオ配合錠 |
剤形 | 淡橙色のフィルムコート錠 |
外形 |
![]() |
直径 | 約11mm |
厚さ | 約4.9mm |
重さ | 約0.49g |
識別コード | ![]() |
高血圧症
- 過度な血圧低下のおそれ等があり、本剤を高血圧治療の第一選択薬としないこと。
- 原則として、テルミサルタン80mg、アムロジピン5mg及びヒドロクロロチアジド12.5mgを一定の期間、同一用法・用量で継続して併用し、安定した血圧コントロールが得られている場合に、本剤への切り替えを検討すること。
成人には1日1回1錠(テルミサルタン/アムロジピン/ヒドロクロロチアジドとして80mg/5mg/12.5mg)を経口投与する。本剤は高血圧治療の第一選択薬として用いない。
- 本剤は、テルミサルタン80mg、アムロジピン5mg及びヒドロクロロチアジド12.5mgの配合剤であり、テルミサルタン、アムロジピン、ヒドロクロロチアジドそれぞれの副作用が発現するおそれがあるため、適切に本剤の使用を検討すること。
- 血清クレアチニン値上昇及び血清尿酸値上昇のおそれがあるので、定期的に血清クレアチニン値及び血清尿酸値のモニタリングを実施し、観察を十分に行うこと。[特定の背景を有する患者に関する注意の項参照]
- 本剤の成分であるヒドロクロロチアジドは低カリウム血症を起こすことが知られているため、血清カリウム値のモニタリングを定期的に実施し、観察を十分に行うこと。
- 本剤の成分であるヒドロクロロチアジドは高尿酸血症を発現させるおそれがあるので、本剤投与中は定期的に血清尿酸値のモニタリングを実施し、観察を十分に行うこと。血清尿酸値の上昇が観察された場合は、その程度に応じて投薬の中止など適切な処置を行うこと。
- 降圧作用に基づく失神、めまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
- 手術前24時間は投与しないことが望ましい。アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤投与中の患者は、麻酔及び手術中にレニン-アンジオテンシン系の抑制作用による高度な血圧低下を起こす可能性がある。
- テルミサルタンを含むアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤投与中に肝炎等の重篤な肝障害があらわれたとの報告があるので、肝機能検査を実施するなど、観察を十分に行うこと。[副作用の項参照]
- 本剤の成分であるアムロジピンは血中濃度半減期が長く投与中止後も緩徐な降圧効果が認められるので、本剤投与中止後に他の降圧剤を使用するときは、用量並びに投与間隔に留意するなど慎重に投与すること。
- 本剤の利尿効果は急激にあらわれることがあるので、電解質失調、脱水に十分注意すること。
- 連用する場合、電解質失調があらわれることがあるので定期的に検査を行うこと。
- 重篤な血液障害があらわれることがあるので、定期的に検査を実施するなど観察を十分に行うこと。[副作用の項参照]
- 夜間の休息が特に必要な患者には、夜間の排尿を避けるため、午前中に投与することが望ましい。
合併症・既往歴等のある患者
- 両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがある。 - 血清カリウム値異常の患者、高カリウム血症の患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。本剤の成分であるテルミサルタンは、高カリウム血症の患者において、高カリウム血症を増悪させるおそれがある。また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、血清カリウム値に注意すること。 - 脳血管障害のある患者
過度の降圧が脳血流不全を引き起こし、病態を悪化させるおそれがある。 - 重篤な冠動脈硬化症又は脳動脈硬化症のある患者
急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。 - 本人又は両親、兄弟に痛風、糖尿病のある患者
高尿酸血症、高血糖症を来し、痛風、糖尿病の悪化や顕性化のおそれがある。 - 下痢、嘔吐のある患者
電解質失調があらわれることがある。 - 高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症のある患者
血清カルシウムを上昇させるおそれがある。 - 減塩療法中の患者
低ナトリウム血症等を起こすおそれがある。また、厳重な減塩療法中の患者では、急激な血圧の低下を引き起こすおそれがある。[副作用の項参照] - 交感神経切除後の患者
本剤の降圧作用が増強される。
腎機能障害患者
- 血液透析中の患者
投与しないこと。本剤の効果が期待できない。[禁忌の項参照] - 急性腎不全の患者
投与しないこと。腎機能をさらに悪化させるおそれがある。[禁忌の項参照] - 血清クレアチニン値が2.0mg/dLを超える腎機能障害患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。腎機能を悪化させるおそれがある。 - 腎障害のある患者
血清クレアチニン値上昇及び血清尿酸値上昇のおそれがある。[重要な基本的注意の項参照]
肝機能障害患者
- 肝障害のある患者
投与しないこと。テルミサルタンは主に胆汁中に排泄されるため、テルミサルタンのクリアランスが低下することがある。ヒドロクロロチアジドでは肝性昏睡を誘発することがある。[禁忌、薬物動態の項参照]
生殖能を有する者
- 妊娠する可能性のある女性
妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている1),2)。
本剤の投与に先立ち、代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、投与が必要な場合には次の注意事項に留意すること。[妊婦の項参照]
(1)本剤投与開始前に妊娠していないことを確認すること。本剤投与中も、妊娠していないことを定期的に確認すること。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。
(2)次の事項について、本剤投与開始時に患者に説明すること。また、投与中も必要に応じ説明すること。
・妊娠中に本剤を使用した場合、胎児・新生児に影響を及ぼすリスクがあること。
・妊娠が判明した又は疑われる場合は、速やかに担当医に相談すること。
・妊娠を計画する場合は、担当医に相談すること。
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。
妊娠中期及び末期にテルミサルタンを含むアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤又はアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の奇形、肺の発育不全等があらわれたとの報告がある。アムロジピンでは、動物実験で妊娠末期に投与すると妊娠期間及び分娩時間が延長することが報告されている。チアジド系薬剤では新生児又は乳児に高ビリルビン血症、血小板減少症等を起こすことがある。また、利尿効果に基づく血漿量減少、血液濃縮、子宮・胎盤血流量減少があらわれることがある。[禁忌の項参照]
授乳婦
授乳しないことが望ましい。
テルミサルタンの動物実験(ラット)で、乳汁中へ移行することが報告されている。また、テルミサルタンでは動物実験(ラット出生前、出生後の発生及び母動物の機能に関する試験)の15mg/kg/日以上の投与群で出生児の4日生存率の低下、50mg/kg/日投与群で出生児の低体重及び身体発達の遅延が報告されている。アムロジピンはヒト母乳中へ移行することが報告されている3)。ヒドロクロロチアジドでは、ヒト母乳中へ移行することが報告されている。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
高齢者
- 一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。
- 急激な利尿は血漿量の減少を来し、脱水、低血圧等による立ちくらみ、めまい、失神等を起こすことがある。
- 特に心疾患等で浮腫のある高齢者では急激な利尿は急速な血漿量の減少と血液濃縮を来し、脳梗塞等の血栓塞栓症を誘発するおそれがある。
- 低ナトリウム血症、低カリウム血症があらわれやすい。
テルミサルタンは、主としてUGT酵素(UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ)によるグルクロン酸抱合によって代謝される。[薬物動態の項参照]
アムロジピンの代謝には主として薬物代謝酵素CYP3A4が関与していると考えられている。
併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アリスキレンフマル酸塩 ラジレス (糖尿病患者に使用する場合。ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く) [禁忌の項参照] |
非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。 | テルミサルタン:レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
デスモプレシン酢酸塩水和物(ミニリンメルト)(男性における夜間多尿による夜間頻尿)[禁忌の項参照] | 低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 | ヒドロクロロチアジド:いずれも低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 |
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ジギタリス剤 ジゴキシン ジギトキシン |
テルミサルタンとの併用により、血中ジゴキシン濃度が上昇したとの報告がある4)。 | テルミサルタン:機序不明 |
ヒドロクロロチアジドとの併用により、ジギタリスの心臓に対する作用を増強し、不整脈等を起こすことがある。血清カリウム値に十分注意すること。 | ヒドロクロロチアジド:ヒドロクロロチアジドによる血清カリウム値の低下により多量のジギタリスが心筋Na-K ATPaseに結合し、心収縮力増強と不整脈が起こる。マグネシウム低下も同様の作用を示す。 | |
カリウム保持性利尿剤 スピロノラクトントリアムテレン等 カリウム補給剤 |
血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。 | テルミサルタン:カリウム貯留作用が増強するおそれがある。 危険因子:特に腎機能障害のある患者 |
リチウム製剤 炭酸リチウム |
アンジオテンシン変換酵素阻害剤との併用により、リチウム中毒を起こすことが報告されている。 | テルミサルタン:明確な機序は不明であるが、ナトリウムイオン不足はリチウムイオンの貯留を促進するといわれているため、テルミサルタンがナトリウム排泄を促進することにより起こると考えられる。 |
ヒドロクロロチアジドにより、振戦、消化器愁訴等、リチウム中毒を増強することがある。 | ヒドロクロロチアジド:腎におけるリチウムの再吸収を促進し、リチウムの血中濃度を上昇させる。 | |
利尿降圧剤 フロセミド、トリクロルメチアジド等[副作用の項参照] |
急激な血圧低下を起こすおそれがあるので、低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。 | 利尿降圧剤で治療を受けている患者にはレニン活性が亢進している患者が多く、本剤が奏効しやすい。 |
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) | 糸球体ろ過量がより減少し、腎障害のある患者では急性腎障害を引き起こす可能性がある。 | テルミサルタン:プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。 |
降圧薬の効果を減弱させることが報告されている。 | テルミサルタン:血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成が阻害されるため、降圧薬の血圧低下作用を減弱させると考えられている。 | |
チアジド系薬剤の作用が減弱することがある。 | ヒドロクロロチアジド:非ステロイド系消炎鎮痛剤のプロスタグランジン合成酵素阻害作用により、腎内プロスタグランジンが減少し、水・ナトリウムの体内貯留が生じてヒドロクロロチアジドの作用と拮抗する。 | |
アンジオテンシン変換酵素阻害剤 | 急性腎障害を含む腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある5)。 | テルミサルタン:レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
アリスキレンフマル酸塩 | 腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。 | テルミサルタン:レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
バルビツール酸誘導体 | 起立性低血圧が増強されることがある。 | ヒドロクロロチアジド:これらの薬剤の中枢抑制作用と利尿剤の降圧作用による。 |
あへんアルカロイド系麻薬 | ヒドロクロロチアジド:あへんアルカロイドの大量投与で血圧下降があらわれることが報告されている。 | |
アルコール | ヒドロクロロチアジド:血管拡張作用を有するアルコールとの併用により降圧作用が増強される可能性がある。 | |
昇圧アミン ノルアドレナリン アドレナリン |
昇圧アミンの作用を減弱することがある。手術前の患者に使用する場合、本剤の一時休薬等の処置を講ずること。 | ヒドロクロロチアジド:チアジド系利尿剤は昇圧アミンに対する血管壁の反応性を低下させることが報告されている。 |
ツボクラリン及びその類似作用物質 ツボクラリン塩化物塩酸塩水和物 パンクロニウム臭化物 |
ツボクラリン及びその類似作用物質の麻痺作用を増強することがある。 手術前の患者に使用する場合、本剤の一時休薬等の処置を講ずること。 | ヒドロクロロチアジド:ヒドロクロロチアジドによる血清カリウム値の低下により、これらの薬剤の神経・筋遮断作用を増強すると考えられている。 |
降圧作用を有する他の薬剤 β-遮断剤 ニトログリセリン等 |
降圧作用を増強するおそれがある。降圧剤の用量調節等に注意すること。 | 作用機序の異なる降圧作用により互いに協力的に作用する。 |
CYP3A4阻害剤 エリスロマイシン ジルチアゼム リトナビル イトラコナゾール等 |
エリスロマイシン及びジルチアゼムとの併用により、アムロジピンの血中濃度が上昇したとの報告がある。 | アムロジピン:アムロジピンの代謝が競合的に阻害される可能性が考えられる。 |
CYP3A4誘導剤 リファンピシン等 |
アムロジピンの血中濃度が低下するおそれがある。 | アムロジピン:アムロジピンの代謝が促進される可能性が考えられる。 |
グレープフルーツジュース | アムロジピンの降圧作用が増強されるおそれがある。 | アムロジピン:グレープフルーツに含まれる成分がアムロジピンの代謝を阻害し、アムロジピンの血中濃度が上昇する可能性が考えられる。 |
シンバスタチン | アムロジピンベシル酸塩とシンバスタチン80mg(国内未承認の高用量)との併用により、シンバスタチンのAUCが77%上昇したとの報告がある。 | アムロジピン:機序は不明である。 |
タクロリムス | アムロジピンベシル酸塩との併用によりタクロリムスの血中濃度が上昇し、腎障害等のタクロリムスの副作用が発現するおそれがある。併用時にはタクロリムスの血中濃度をモニターし、必要に応じてタクロリムスの用量を調整すること。 | アムロジピン:アムロジピンとタクロリムスは、主としてCYP3A4により代謝されるため、併用によりタクロリムスの代謝が阻害される可能性が考えられる。 |
乳酸ナトリウム | チアジド系薬剤による代謝性アルカローシス、低カリウム血症を増強することがある。 | ヒドロクロロチアジド:ヒドロクロロチアジドによるカリウム排泄作用により低カリウム血症や代謝性アルカローシスが引き起こされることがある。アルカリ化剤である乳酸ナトリウムの併用はこの状態をさらに増強させる。 |
糖質副腎皮質ホルモン剤 ACTH |
低カリウム血症が発現することがある。 | ヒドロクロロチアジド:ヒドロクロロチアジド及び糖質副腎皮質ホルモン剤ともカリウム排泄作用を持つ。 |
グリチルリチン製剤 | 血清カリウム値の低下があらわれやすくなる。 | ヒドロクロロチアジド:グリチルリチン製剤は低カリウム血症を主徴とした偽アルドステロン症を引き起こすことがある。したがってヒドロクロロチアジドとの併用により低カリウム血症を増強する可能性がある。 |
糖尿病用剤 SU剤 インスリン |
糖尿病用剤の作用を著しく減弱することがある。 | ヒドロクロロチアジド:機序は明確ではないが、ヒドロクロロチアジドによるカリウム喪失により膵臓のβ細胞のインスリン放出が低下すると考えられている。 |
コレスチラミン | チアジド系薬剤の作用が減弱することがある。 | ヒドロクロロチアジド:コレスチラミンの吸着作用により、チアジド系薬剤の吸収が阻害されることがある。 |
スルフィンピラゾン | チアジド系薬剤はスルフィンピラゾンの尿酸排泄作用に拮抗することがある。 | ヒドロクロロチアジド:チアジド系利尿剤は、腎での尿酸分泌の阻害、尿酸再吸収の増大作用を有すると考えられ、スルフィンピラゾンの尿酸排泄作用に拮抗することがある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
- 血管浮腫(頻度不明)
顔面、口唇、咽頭・喉頭、舌等の腫脹を症状とする血管浮腫があらわれ、喉頭浮腫等により呼吸困難を来した症例も報告されている。 - 高カリウム血症(頻度不明)
- 低ナトリウム血症(頻度不明)
倦怠感、食欲不振、嘔気、嘔吐、意識障害等を伴う低ナトリウム血症があらわれることがある。高齢者であらわれやすい。[禁忌、特定の背景を有する患者に関する注意の項参照] - 腎機能障害(頻度不明)
急性腎障害を呈した例が報告されている。 - ショック、失神(いずれも頻度不明)、意識消失(0.5%未満)
冷感、嘔吐、意識消失等があらわれた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。[特定の背景を有する患者に関する注意、相互作用の項参照] - 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
劇症肝炎、AST、ALT、Al-P、LDH、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。[重要な基本的注意の項参照] - 低血糖(頻度不明)
脱力感、空腹感、冷汗、手の震え、集中力低下、痙攣、意識障害等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。糖尿病治療中の患者であらわれやすい。 - アナフィラキシー(頻度不明)
呼吸困難、血圧低下、喉頭浮腫等が症状としてあらわれることがある。 - 再生不良性貧血、溶血性貧血(いずれも頻度不明)[重要な基本的注意の項参照]
- 間質性肺炎、肺水腫、急性呼吸窮迫症候群(いずれも頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎、肺水腫があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。また、ヒドロクロロチアジド服用後、数分から数時間以内に急性呼吸窮迫症候群が発現したとの報告がある6)~9)。 - 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。 - 無顆粒球症、白血球減少、血小板減少(いずれも頻度不明)
- 房室ブロック(頻度不明)
徐脈、めまい等の初期症状があらわれることがある。 - 急性近視、閉塞隅角緑内障(いずれも頻度不明)
急性近視(霧視、視力低下等を含む)、閉塞隅角緑内障があらわれることがあるので、急激な視力の低下や眼痛等の異常が認められた場合には投与を中止し、速やかに眼科医の診察を受けるよう、患者に指導すること。 - 壊死性血管炎(頻度不明)
- 全身性エリテマトーデスの悪化(頻度不明)
その他の副作用
0.5%以上 | 0.5%未満 | 頻度不明 | |
感染症及び寄生虫症 | 結膜炎、咽頭炎、鼻炎、副鼻腔炎、唾液腺炎、上気道感染、気管支炎、胃腸炎、尿路感染、膀胱炎、敗血症 | ||
血液及びリンパ系障害 | 貧血 | ||
免疫系障害 | 血管炎 | ||
内分泌障害 | 高カルシウム血症を伴う副甲状腺障害 | ||
代謝及び栄養障害 | 高尿酸血症(3.6%)、脂質異常症(0.7%) | 食欲不振、糖尿病、高血糖、糖尿病のコントロール不良、高コレステロール血症、低クロール性アルカローシス、低カリウム血症、低マグネシウム血症、血清カリウム上昇、血清カリウム減少、血清カルシウムの上昇等の電解質失調 | |
精神障害 | 不眠、睡眠障害、不安感、抑うつ状態、気分動揺、知覚異常 | ||
神経系障害 | 浮動性めまい、体位性めまい | 頭痛、頭重、片頭痛、頭のぼんやり感、眠気、ふらつき、末梢神経障害、振戦、筋緊張亢進、味覚異常、異常感覚、錯感覚、しびれ、錐体外路症状 | |
眼障害 | 眼痛、羞明、目のチカチカ感、視覚異常、視力異常(霧視等)、黄視症 | ||
耳及び迷路 障害 |
耳鳴 | ||
心臓障害 | 心房細動、頻脈 | 心悸亢進、動悸、上室性頻脈、期外収縮、洞房ブロック、洞停止、徐脈、不整脈 | |
血管障害 | 低血圧(0.7%)、起立性低血圧(0.7%) | ほてり、顔面潮紅 | |
呼吸器、胸郭及び縦隔障害 | 喘息、咳、呼吸困難、鼻出血、鼻閉、喀痰増加 | ||
胃腸障害 | 口内炎、(連用により)歯肉肥厚、逆流性食道炎、腹痛、消化不良、心窩部痛、腹部不快感、嘔気、嘔吐、胃炎、鼓腸、排便回数増加、軟便、下痢、便秘、膵炎、腹水 | ||
肝胆道系障害 | AST、ALT、Al-P、LDH、γ-GTP上昇等の肝機能異常 | ||
皮膚及び皮下組織障害 | 紫斑 | 湿疹、発疹、そう痒、蕁麻疹、紅斑、多形紅斑、光線過敏症、多汗、脱毛、皮膚変色、皮膚エリテマトーデス | |
筋骨格系及び結合組織障害 | 背部痛、関節痛、筋肉痛、下肢痛、腱炎、筋痙攣、下肢痙攣 | ||
腎及び尿路障害 | 尿管結石、排尿障害、頻尿、尿潜血陽性 | ||
生殖系及び乳房障害 | インポテンス、女性化乳房 | ||
一般・全身障害及び投与部位の状態 | 口渇、疲労、倦怠感、無力症、脱力感、発熱、胸痛、疼痛、しびれ、浮腫、インフルエンザ様症状 | ||
臨床検査 | 血中尿酸増加(7.2%)、血中クレアチニン増加(0.7%)、血中尿素増加(0.7%) | 好酸球上昇、白血球増加、赤血球減少、ヘモグロビン減少、BUN上昇、尿中蛋白陽性、血清コレステロール上昇、血清脂質増加、尿中ブドウ糖陽性、CK上昇、CRP陽性、体重増加、体重減少 |
ヒドロクロロチアジドにおいては、甲状腺障害のない患者の血清PBIを低下させることがある。
症状
テルミサルタンの過量服用(640mg)により、低血圧及び頻脈があらわれたとの報告がある。
アムロジピンでは、過度の末梢血管拡張により、ショックを含む著しい血圧低下と反射性頻脈を起こすことがある。
テルミサルタン/ヒドロクロロチアジド総量として320mg/50mg~400mg/62.5mgにより、低血圧及びめまいがあらわれたとの報告がある。
処置
テルミサルタンは血液濾過されない。また、テルミサルタンは血液透析によって除去されない。
アムロジピンは、特異的な解毒薬はない。アムロジピンは蛋白結合率が高いため、透析による除去は有効ではない。また、アムロジピンベシル酸塩服用直後に活性炭を投与した場合、アムロジピンのAUCは99%減少し、服用2時間後では49%減少したことから、アムロジピンベシル酸塩過量投与時の吸収抑制処置として活性炭投与が有効であると報告されている。
薬剤交付時の注意
- PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
- 本剤を食後に服用している患者には、毎日食後に服用するよう注意を与えること。本剤の成分であるテルミサルタンの薬物動態は食事の影響を受け、空腹時投与した場合は、食後投与よりも血中濃度が高くなることが報告されており、副作用が発現するおそれがある。[薬物動態の項参照]
血中濃度
反復投与
健康成人男子36例に本剤を1日1回10日間空腹時反復投与したときのテルミサルタン、アムロジピン、及びヒドロクロロチアジドの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった12)。
![血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータ](/jp/sites/default/files/2020-12/mct_t_pi_1.png)
反復投与 | テルミサルタン | アムロジピン | ヒドロクロロチアジド | |
例数 | 36 | 36 | 36 | |
10 日目 |
Cmax,ss(ng/mL) | 970(69.3) | 11.8(21.8) | 107(28.5) |
tmax,ss(hr)a) | 0.500 (0.500-2.00) |
8.00 (6.00-12.0) |
1.50 (0.750-4.00) |
|
AUCτ,ss(ng・hr/mL) | 2510(72.1) | 230(23.4) | 584(23.8) | |
t1/2,ss(hr) | 27.1b)(50.8) | 42.5(17.5) | 10.3(17.2) |
幾何平均値(幾何変動係数[%])
a)中央値(最小値-最大値)
b)n=35
健康成人男子72例を対象とした本剤投与及びテルミサルタン/アムロジピン80mg/5mg配合剤とヒドロクロロチアジド12.5mgとの併用投与の生物学的同等性試験、並びに本剤投与及びテルミサルタン/ヒドロクロロチアジド80mg/12.5mg配合剤とアムロジピン5mgとの併用投与の生物学的同等性試験において、本剤投与時の薬物動態パラメータは、併用投与時と類似しており、生物学的同等性の基準を満たす製剤であることが確認されている13),14)。
配合剤有効成分間の相互作用
健康成人36例に本剤を1日1回10日間反復投与したときとテルミサルタン/アムロジピン80mg/5mg配合剤、もしくはテルミサルタン/ヒドロクロロチアジド80mg/12.5mg配合剤を反復投与したときとの間で薬物動態を比較した結果、本剤と各配合剤の薬物動態パラメータは類似しており、テルミサルタン、アムロジピン及びヒドロクロロチアジドとの間に薬物動態に関する相互作用は認められなかった12)。
健康成人男女13例にテルミサルタン160mg注)とヒドロクロロチアジド25mg注)をそれぞれ単独に1日1回7日間反復投与したときと併用反復投与したときとの薬物動態を比較した結果、単独投与後と併用投与後の薬物動態パラメータはテルミサルタン、ヒドロクロロチアジドともに類似しており、併用投与による体内動態への影響は認められなかった15)(外国人データ)。
健康成人男子12例にアムロジピン10mg注)を単独に1日1回9日間反復投与したときとテルミサルタン120mg注)と併用反復投与したときとの薬物動態を比較した結果、単独投与後と併用投与後のアムロジピンの薬物動態パラメータは類似しており、テルミサルタン併用投与によるアムロジピンの体内動態への影響は認められなかった16)(外国人データ)。
健康成人男女36例にテルミサルタン80mgを単独に1日1回9日間反復投与したときとアムロジピン10mg注)と併用反復投与したときとの薬物動態を比較した結果、テルミサルタンの薬物動態パラメータは単独投与時と併用投与時とで類似しており、アムロジピン併用投与によるテルミサルタンの体内動態への影響は認められなかった17)(外国人データ)。
注)本剤の承認用量はテルミサルタン/アムロジピン/ヒドロクロロチアジドとして80mg/5mg/12.5mgである。
吸収
健康成人に14C-ヒドロクロロチアジド5mgを経口投与したとき、投与量の60~80%は消化管から吸収され、特に小腸上部での吸収が顕著であった18)(外国人データ)。
食事の影響
健康成人男性36例に本剤を食後に投与したとき、テルミサルタンのCmax及びAUC0-tzは空腹時と比較してそれぞれ69.8%及び36.3%、並びにヒドロクロロチアジドのCmaxが20.3%低下することが示された。ヒドロクロロチアジドのAUC0-tz並びにアムロジピンのCmax及びAUC0-tzには食事の影響は認められなかった14)。[適用上の注意の項参照]
分布
テルミサルタンのラット及びヒトの血漿蛋白結合率は、in vitro及びin vivoともに99%以上であった19)~21)。アムロジピンとヒト血漿蛋白との結合率は97.1%(in vitro、平衡透析法)であった。
代謝
テルミサルタンは主としてUGT酵素(UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ)によるグルクロン酸抱合によって代謝される。[相互作用の項参照]
アムロジピンの主たる尿中代謝体はジヒドロピリジン環の酸化したピリジン環体及びその酸化的脱アミノ体である。
ヒドロクロロチアジドは生体内でほとんど代謝を受けない。
排泄
テルミサルタンは尿中にはほとんど排泄されず、大部分が胆汁を介して糞中に排泄される22),23)。
健康成人男子に14C-テルミサルタン40mgを空腹時に単回経口投与したとき、投与後144時間までの放射能の尿中及び糞中総排泄率はそれぞれ約0.5%及び102%であり、吸収されたテルミサルタンの大部分が胆汁を介して糞中に排泄された22)(外国人データ)。アムロジピンベシル酸塩として、以下の報告がある。
健康成人6例にアムロジピンとして2.5mg注)又は5mgを単回経口投与した場合、尿中に未変化体として排泄される割合は小さく、いずれの投与量においても尿中未変化体排泄率は投与後24時間までに投与量の約3%、144時間までに約8%であった。また2.5mg注)を1日1回14日間連続投与した場合の尿中排泄率は投与開始6日目でほぼ定常状態に達し、6日目以降の1日当たりの未変化体の尿中排泄率は6.3~7.4%であった。
健康成人2例に14C-標識アムロジピン15mg注)を単回経口投与した場合、投与12日目までに投与放射能の59.3%は尿中、23.4%は糞中に排泄され、投与後72時間までの尿中放射能の9%は未変化体であり、その他に9種の代謝物が認められた(外国人データ)。
なお、これら代謝物にはアムロジピンをしのぐ薬理作用は認められていない。ヒドロクロロチアジドとして、以下の報告がある。ヒドロクロロチアジドは未変化体として尿中に排泄される18)。
特定の背景を有する患者
肝機能障害患者
テルミサルタンとして、以下の報告がある。
肝障害男性患者12例(Child-Pugh分類A(軽症):8例、B(中等症):4例)にテルミサルタン20mg及び120mg注)を経口投与したとき、健康成人に比較しCmaxは4.5倍及び3倍高く、AUCは2.5倍及び2.7倍高かった24)(外国人データ)。[特定の背景を有する患者に関する注意の項参照]
注)肝障害のある患者に投与する場合のテルミサルタンの最大投与量は1日40mgであることから、テルミサルタン80mgを含有する本剤は肝障害のある患者には投与禁忌である。[禁忌の項参照]
アムロジピンベシル酸塩として、以下の報告がある。
成人肝硬変患者(Child分類A、B)5例にアムロジピンとして2.5mg注)を単回投与した場合、健康成人に比べ、投与72時間後の血中濃度が有意に上昇し、t1/2、AUCはやや高値を示したが有意差は認められなかった。
注)本剤の承認用量はテルミサルタン/アムロジピン/ヒドロクロロチアジドとして80mg/5mg/12.5mgである。
高齢者
アムロジピンベシル酸塩として、以下の報告がある。
老年高血圧患者6例(男2例、女4例、平均年齢79.7歳)にアムロジピンとして5mgを単回、及び8日間反復投与した場合、単回投与時に若年健康者(男6例、平均年齢22.3歳)に比し、Cmax及びAUCは有意に高値を示したが、t1/2に有意差は認められなかった。反復投与時には老年者の血清中アムロジピン濃度は若年者よりも高く推移したが、そのパターンは若年者に類似しており、老年者でその蓄積が増大する傾向は認められなかった。
有効性及び安全性に関する試験
国内第Ⅲ相試験25)
テルミサルタン/アムロジピン80mg/5mg(T80/A5mg)配合剤投与で降圧効果不十分な本態性高血圧症患者309例を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、T80/A5mg配合剤及びヒドロクロロチアジド12.5mgの併用投与又はT80/A5mg配合剤及びプラセボ併用投与を1日1回、8週間経口投与した結果、T80/A5mg配合剤及びヒドロクロロチアジド12.5mgの併用投与はT80/A5mg配合剤投与及びプラセボの併用投与に比べてトラフ時座位拡張期血圧下降度及び収縮期血圧下降度で有意な降圧効果を示した。結果は次表のとおりであった。
二重盲検期投与8週後のトラフ時座位血圧下降度
試験 | 投与群 | 拡張期血圧(mmHg) | 収縮期血圧(mmHg) | ||||
投与前値平均値 (SE) |
下降度 | 投与前値平均値 (SE) |
下降度 | ||||
調整平均値a) (SE) |
群間差b):調整平均値a) (SE) [両側95%CI] |
調整平均値a) (SE) |
群間差b):調整平均値a) (SE) [両側95%CI] |
||||
T80/A5で降圧効果不十分な患者を対象とした試験 | T80/A5+H12.5 (147例) |
96.6 (0.5) |
8.4 (0.5) |
3.9 (0.7)b) [2.4,5.3] |
142.4 (1.1) |
12.3 (0.8) |
5.3 (1.1)b) [3.1,7.6] |
T80/A5 (160例) |
95.7 (0.4) |
4.5 (0.5) |
142.3 (1.0) |
6.9 (0.8) |
T80/A5:テルミサルタン/アムロジピン80mg/5mg配合剤
H12.5:ヒドロクロロチアジド12.5mg単剤
SE:標準誤差、CI:信頼区間
a) 共分散分析:ベースライン拡張期血圧を共変量、薬剤及び施設を固定効果として含む
b)p<0.0001
副作用発現割合は、T80/A5+H12.5配合剤で23.5%(35/149例)、T80/A5配合剤で3.8%(6/160例)であった。T80/A5+H12.5配合剤投与群の主な副作用は、血中尿酸増加13.4%(20/149例)、高尿酸血症5.4%(8/149例)であった。
国内第Ⅲ相試験26)
テルミサルタン/ヒドロクロロチアジド80mg/12.5mg(T80/H12.5mg)配合剤投与で降圧効果不十分な本態性高血圧症患者132例を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、T80/H12.5mg配合剤及びアムロジピン5mgの併用投与又はT80/H12.5mg配合剤及びプラセボの併用投与を1日1回、8週間経口投与した結果、T80/H12.5mg配合剤及びアムロジピン5mgの併用投与はT80/H12.5mg配合剤及びプラセボの併用投与に比べてトラフ時座位拡張期血圧下降度及び収縮期血圧下降度で有意な降圧効果を示した。結果は次表のとおりであった。
二重盲検期投与8週後のトラフ時座位血圧下降度
試験 | 投与群 | 拡張期血圧(mmHg) | 収縮期血圧(mmHg) | ||||
投与前値平均値 (SE) |
下降度 | 投与前値平均値 (SE) |
下降度 | ||||
調整平均値a) (SE) |
群間差b):調整平均値a) (SE) [両側95%CI] |
調整平均値a) (SE) |
群間差b):調整平均値a) (SE) [両側95%CI] |
||||
T80/H12.5で降圧効果不十分な患者を対象とした試験 | T80/H12.5+A5 (67例) |
97.5 (0.8) |
8.8 (0.8) |
7.5 (1.1)b) [5.3,9.7] |
145.4 (1.7) |
10.6 (1.4) |
8.6 (2.1)b) [4.5,12.7] |
T80/H12.5 (64例) |
96.7 (0.7) |
1.3 (0.8) |
141.5 (1.3) |
2.1 (1.5) |
T80/H12.5:テルミサルタン/ヒドロクロロチアジド80mg/12.5mg配合剤
A5:アムロジピン5mg単剤
SE:標準誤差、CI:信頼区間
a) 共分散分析:ベースライン拡張期血圧を共変量、薬剤及び施設を固定効果として含む
b)p<0.0001
副作用発現割合は、T80/H12.5+A5配合剤で1.5%(1/68例)、T80/H12.5配合剤で1.6%(1/64例)であった。T80/H12.5+A5配合剤投与群の副作用は、意識消失1.5%(1/68例)であった。
国内第Ⅲ相試験(長期投与試験26))
本態性高血圧患者に対する国内第Ⅲ相試験において、8週間の二重盲検期を終了した全症例(126例)を対象として、T80/H12.5mg配合剤及びアムロジピン5mgを2剤併用する52週間の継続期を設定した。この長期投与において、安定した降圧効果が得られた。また、本剤の安全性を検討した結果、忍容性に問題はなかった。
T80/H12.5+A5配合剤の副作用発現割合は5.9%(4/68例)であった。T80/H12.5+A5配合剤投与群の副作用は、高尿酸血症、浮動性めまい、低血圧及び起立性低血圧で、いずれも1.5%(1/68例)であった。
作用機序
テルミサルタンとして、以下の報告がある。
主に血管平滑筋のアンジオテンシンⅡ(A-Ⅱ)タイプ1(AT1)受容体において、生理的昇圧物質であるA-Ⅱと特異的に拮抗し、その血管収縮作用を抑制することにより降圧作用を発現する。AT1受容体親和性は高く(Ki=3.7nM)、AT1受容体から容易に解離しない。10~1000nMの濃度範囲で、A-Ⅱによる摘出ウサギ大動脈標本の血管収縮反応曲線を、濃度依存的に右方に移動させると共に最大収縮を40~50%抑制する。また標本洗浄120分後においても有意な血管収縮抑制を示し、作用は持続的である。また、ブラジキニン分解酵素であるACE(キニナーゼⅡ)に対しては直接影響を及ぼさない27)~30)。アムロジピンベシル酸塩として、以下の報告がある。細胞膜の膜電位依存性カルシウムチャンネルに特異的に結合し、細胞内へのCa2+の流入を減少させることにより、冠血管や末梢血管の平滑筋を弛緩させる。カルシウム拮抗作用の発現は緩徐であり、持続的である。また、心抑制作用は弱く、血管選択性が認められている31)~33)。
ヒドロクロロチアジドとして、以下の報告がある。
腎遠位尿細管におけるNa+とCl-の再吸収を抑制し、水の排泄を促進させる。炭酸脱水酵素阻害作用も有する。降圧作用は、初期には循環血流量の低下により、長期的には末梢血管の拡張によると考えられている34)。
降圧作用
- 覚醒下の雄性高血圧自然発症ラット(SHR)を用いて、1mg/kgテルミサルタン及び5mg/kgアムロジピンを1日1回経口投与し、5日間経時的に血圧を測定したところ、1mg/kgテルミサルタン及び5mg/kgアムロジピンは、それぞれ単独投与により平均血圧が約25mmHg低下し、ほぼ同様の血圧低下作用を示した。次に、1mg/kgテルミサルタン、5mg/kgアムロジピン併用で1日1回5日間経口投与を行い、経時的に血圧を測定した。テルミサルタンとアムロジピンの併用投与による血圧に対する作用は、単独投与による血圧低下作用(約25mmHgの低下)に比べ、有意な血圧低下作用(約50mmHgの低下)がみられた35)。
- 覚醒下の雄性SHRを用いて、3mg/kgのテルミサルタン、10mg/kgのヒドロクロロチアジドあるいはその両者を5日間連続経口投与した場合の降圧作用を検討した。その結果、3mg/kgのテルミサルタン単独経口投与は投与5日目に36mmHgの最大降圧作用を示した。ヒドロクロロチアジドの単独投与では明らかな降圧作用は認められなかったが、テルミサルタンとの併用によりテルミサルタンの作用を明らかに増強し、最大降圧作用は53mmHgであった36)。
利尿作用
覚醒下の雄性SHRを用いて、3mg/kgのテルミサルタン、10mg/kgのヒドロクロロチアジドあるいはその両者を5日間連続経口投与したときの利尿作用を検討した。その結果、3mg/kgのテルミサルタンの単独投与によっては尿量及び尿中電解質濃度(Na+、K+及びCl-)に有意な変化はみられなかった。一方、10mg/kgのヒドロクロロチアジドの単独投与によって、尿量、Na+、K+及びCl-の電解質濃度の明らかな増加がみられた。テルミサルタンを併用投与しても、ヒドロクロロチアジドの利尿作用はみられ、テルミサルタンはヒドロクロロチアジドの利尿作用にほとんど影響しなかった37)。
一般的名称:テルミサルタン(JAN) Telmisartan(JAN,INN)
化学名:4’-{[4-Methyl-6-(1-methyl-1H-benzimidazol-2-yl)-2-propyl-1H-benzimidazol-1-yl]methyl}biphenyl-2-carboxylic acid
分子式:C33H30N4O2
分子量:514.62
性状:白色~微黄色の結晶性の粉末である。ギ酸に溶けやすく、メタノールに溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。結晶多形が認められる。
化学構造式:
![化学構造式](/jp/sites/default/files/2020-12/mct_t_pi_2.png)
融点:269℃
分配係数:log P=3.2(n-オクタノール/pH7.4リン酸緩衝液)
一般的名称:アムロジピンベシル酸塩(Amlodipine Besilate)
化学名:3-Ethyl 5-methyl(4RS)-2-[(2-aminoethoxy)methyl]-4-(2-chlorophenyl)-6-methyl-1,4-dihydropyridine-3,5-dicarboxylate monobenzenesulfonate
分子式:C20H25ClN2O5・C6H6O3S
分子量:567.05
性状:白色~帯黄白色の結晶性の粉末である。メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、水に溶けにくい。メタノール溶液(1→100)は旋光性を示さない。
化学構造式:
![化学構造式](/jp/sites/default/files/2020-12/mct_t_pi_3.png)
融点:約198℃(分解)
一般的名称:ヒドロクロロチアジド(Hydrochlorothiazide)
化学名:6-Chloro-3,4-dihydro-2H-1,2,4-benzothiadiazine-7-sulfonamide1,1-dioxide
分子式:C7H8ClN3O4S2
分子量:297.74
性状:白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、味はわずかに苦い。アセトンに溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けにくく、水又はエタノール(95)に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。水酸化ナトリウム試液に溶ける。
化学構造式:
![化学構造式](/jp/sites/default/files/2020-12/mct_t_pi_4.png)
融点:約267℃(分解)
- アルミピロー開封後は湿気を避けて保存すること。
- 分包後は吸湿して軟化・含量低下することがあるので、高温・多湿を避けて遮光して保存すること。
ミカトリオ配合錠
100錠[10錠(PTP)×10、乾燥剤入り
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