第7回 患者さんとご家族の安心のために
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![第7回 患者さんとご家族の安心のために02](/jp/sites/default/files/inline-images/%237%E3%82%B5%E3%83%A0%E3%83%8D%E3%82%A4%E3%83%AB%20-%201.png)
国内の心房細動患者数は、高齢化に伴って増加することが予想されています。ある推計によると、患者数は2050年には約103万人、国内総人口の約1.1%に上るとされています1)。
抗凝固療法を行う患者さんにとって、緊急時の迅速な中和が可能であることや、豊富な臨床データがあることは、重視度の高い項目です。
そこで今回は、プラザキサ®の臨床データのひとつとして、2022年新たに加わったエビデンスについてご紹介します。
![第7回 患者さんとご家族の安心のために03](/jp/sites/default/files/inline-images/slide01_23.jpg)
図1
プラザキサ®の臨床データ
2009年のRE-LY試験の発表以降、プラザキサ®に関する臨床データとして、RE-CIRCUIT試験、RE-VERSE AD試験、RE-DUAL PCI試験などが報告されてきました。
また、2011年のプラザキサ®の発売および2016年のプリズバインド®の発売以降は、それぞれ製造販売調査(PMS)が実施されています。プラザキサ®のPMSの結果(J-Dabigatran Surveillance 1以下、J-Dabi1)は2018年に発表されていますが、さらに2022年3月、2nd PMS(J-Dabigatran Surveillance 2以下、J-Dabi2)が発表されました。
J-Dabi1が2011~2013年のデータを解析したものであるのに対し、J-Dabi2では、プリズバインド®の承認後である2017~2019年のデータが解析されています。J-Dabi2では、プリズバインド®の臨床導入がプラザキサ®の処方患者像に与えた影響について調査されました。
![プラザキサ<sup>®</sup>の臨床データ](/jp/sites/default/files/inline-images/slide02_23.jpg)
図2
J-Dabi2の概要と対象
J-Dabi2では、医師の判断により、プラザキサ®(ダビガトラン)(110mg×2回/日または150mg×2回/日)を初めて投与された非弁膜症性心房細動(NVAF)患者を治療開始後14日以内に連続登録し、最大1年間追跡調査しました。
![J-Dabi2の概要と対象](/jp/sites/default/files/inline-images/slide03_22.jpg)
図3
登録患者5,660例のうち、5,436例が解析対象患者に含まれました。このうち、プリズバインド®(イダルシズマブ)投与患者は12例でした。
![J-Dabi2の概要と対象02](/jp/sites/default/files/inline-images/slide04_21.jpg)
図4
患者背景
本調査において、発作性心房細動の割合は53.2%でした。また、症候性心房細動の割合は53.9%でした。
![患者背景](/jp/sites/default/files/inline-images/slide05_20.jpg)
図5
そして、カテーテルアブレーションを施行した割合は27.9%でした。
![患者背景02](/jp/sites/default/files/inline-images/slide06_18.jpg)
図6
イベント発現率
本調査およびJ-Dabi1の安全性イベントおよび有効性イベントの発現率を、用量別(110mg×2回/日または150mg×2回/日)にお示しします。
本調査のプラザキサ®150mg×2回/日投与における安全性イベントの発現率は、大出血1.0%/年、非大出血3.5%/年、頭蓋内出血0.2%/年、消化管出血1.3%/年、心筋梗塞0.0%/年でした。
![イベント発現率](/jp/sites/default/files/inline-images/slide07_17.jpg)
図7
また、有効性イベントの発現率は、虚血性脳卒中1.0%/年、出血性脳卒中0.0%/年、全死亡0.5%/年でした。
![イベント発現率02](/jp/sites/default/files/inline-images/slide08_16.jpg)
図8
そして、プラザキサ®110mg×2回/日投与における安全性イベントの発現率は、大出血1.1%/年、非大出血4.0%/年、頭蓋内出血0.3%/年、消化管出血1.6%/年、心筋梗塞0.3%/年でした。
![イベント発現率03](/jp/sites/default/files/inline-images/slide09_15.jpg)
図9
また、有効性イベントの発現率は、虚血性脳卒中1.1%/年、出血性脳卒中0.1%/年、全死亡1.5%/年でした。
![イベント発現率04](/jp/sites/default/files/inline-images/slide10_11.jpg)
図10
なお、全体で発現率が高かった(2%/年超)イベントは、出血以外の胃腸障害(7.9%/年)、非大出血(3.8%/年)でした。また、副作用の発現率は10.7%(581/5,436例)であり、1%以上に発現した副作用は、ディスペプシア1.2%(67例)および腹部不快感1.0%(55例)でした。
![イベント発現率05](/jp/sites/default/files/inline-images/slide11_8.jpg)
図11
![イベント発現率06](/jp/sites/default/files/inline-images/slide12_5.jpg)
図12
先輩医師「日本社会の高齢化に伴って、心房細動はCommon diseaseとなっていくと考えられているけれど、その分、心房細動患者さんを家族に持つ人も増えるだろうね。」
未来「はい。患者さんご本人はもちろん、ご家族にも安心した状態で治療を継続していただけるよう配慮して、治療方針を検討していきたいです。」
【引用】
- Inoue H, et al. Int J Cardiol. 2009 137(2) 102-7.