心房細動患者さんの声を聴く Vol.2

サイトへ公開: 2023年09月28日 (木)

受診のきっかけは「胃の違和感」心房細動で人生が終わるわけじゃない。
いかにうまく付き合っていくかを意識しています。

心房細動は実臨床で遭遇することが多い不整脈です。心房細動の有病率は、年齢が進むにつれて上昇するため、日本では高齢化に伴い、これからもさらに増加すると予測されます。
本コンテンツでは、心房細動治療を受けた患者さんの声を薬剤師の先生方へお届けするために、心房細動患者さんのご経験から治療の経緯や心房細動に対する向き合い方などを伺いました。

2023年4月 WEBにてインタビュー

薬を飲み忘れないための工夫も必要

受診のきっかけは「胃の違和感」

2008年のちょうどリーマン・ショックが発生した頃でした。私はアメリカ南部を中心にレストランを経営していて、そのときはタイのバンコクにいたのですが、胃の上のほうに違和感が生じて病院に行ったところ、すぐに入院となりました。そこで不整脈と診断され、精密検査が必要と言われましたが、アメリカへの帰国が迫っていたため一旦退院し、帰国後に専門医を受診しました。その結果、不整脈の一つである心房細動と診断されました。動悸や息切れなどの自覚症状はなく、心臓が悪いと思っていなかったため、心房細動と診断されても、正直なところピンときませんでした。しかし、心房細動について自分で調べていくうちに、血栓ができやすく、脳梗塞のリスクがあることがわかり、だんだんと不安を感じるようになりました。
心房細動による脳梗塞を予防するために最初に飲んでいた抗凝固薬は、定期的な血液検査が必要な薬だったため、海外を行ったり来たりしている生活の中で、薬を飲み続けるのは難しいと感じていました。そのような中、新しい抗凝固薬である直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)が発売され、すぐにDOACに変更してもらいました。現在は医師の指示どおり、DOACを毎日必ず飲んでいます。

心房細動とうまく付き合っていくことが大切

薬を飲み忘れないための工夫も必要

実はこれまでに心房細動の治療として、電気的除細動やカテーテルアブレーション(アブレーション)をそれぞれ複数回行いましたが、残念ながら心房細動の再発を防ぐことはできませんでした。薬物治療に関しては、抗凝固薬のほかに抗不整脈薬を処方されたのですが、忙しさもあって、指示された用量を飲まなかったり、飲み忘れたりしていました。それが再発につながってしまったのかもしれないと思うことがあります。このような経験から、今では薬をきちんと飲むことを常に心がけています。
飲み忘れを防ぐために、自宅の中で最も目につきやすい場所であるバーカウンターの上に薬を置くようにして工夫しています。また、「長生きしたい」という思いが、薬を飲み続けることへの大きなモチベーションになっています。

目標は東京から京都まで歩き通すこと!

心房細動とうまく付き合っていくことが大切

アブレーションを受けたとき、医師からは1回目で再発したとしても、2回目で成功する患者さんが多いと聞いていました。そのため、2回目のアブレーション後に心房細動が再発してしまったときは、「大変な病気になってしまったな。これからどうしたらいいんだろう・・・」と落ち込みましたが、「心房細動でも活躍している人はいる。この病気とうまく付き合っていくしかない。」と気持ちを切り替えるようにしました。
それでも、ジムで少し運動しただけで心拍数が上がってしまったときなどは、「自分の体は、本当に大丈夫だろうか」と不安な気持ちになります。そのようなときは、医師からの「たしかに脳梗塞などのリスクはあるけれど、薬をきちんと飲み続けていれば、心配しすぎなくて大丈夫ですよ」という言葉を思い出し、いつも元気づけられています。こうした医療従事者からの励ましの言葉はとても心強く、安心感につながります。
日常生活では、健康のためにも、人間関係などのストレスをためないように心がけるとともに、仕事を自身で制限して寝不足にならないように注意しています。また、心臓への負担を考えて、体重を減らすよう努めています。食事に関しては、仕事柄さまざまなものにトライしたいのですが、アルコールを控えたり、油っこいものはあまり食べないように気をつけています。加えて、定期的な受診や健康診断にも必ず行くようにしています。

目標は東京から京都まで歩き通すこと!

目標は東京から京都まで歩き通すこと!

心房細動とうまく付き合いながら、さまざまなことにチャレンジしたいと思っています。今の目標は、東京から京都まで歩き通すことです。昔の人の苦労を思い浮かべながら、東海道五十三次を歩いてみたいと思っています。また、健康年齢を上げていくことも重要だと思うので、ゴルフなどの適度な運動を続けていきたいです。
心房細動になったからといって、人生が終わるわけではありません。いかにこの病気と付き合っていくかを意識して、日々を楽しく過ごせるようにしていきたいと思います。

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