スペビゴ®投与患者さんへのインフォームド・コンセントのポイント

サイトへ公開: 2023年03月30日 (木)

森実 真 先生

監修:
森実 真 先生
岡山大学学術研究院医歯薬学域 皮膚科学分野 教授

はじめに:スペビゴ®による治療を安全に効果的に行うために

膿疱性乾癬(GPP)は、急激な発熱とともに全身の皮膚が潮紅し、無菌性膿疱が多発する希少疾患です。再発を繰り返す特徴がある難治の疾患であるため、GPPと診断を受けた患者さんの中には、今後の治療や生活に不安を抱えている方もいると考えられます。
まず、患者さんには、GPPとはどのような疾患であるのかを説明することが必要です。私は、急性症状の治療にあたってほとんどの方は入院が必要となること、難治の疾患ではあるが「膿疱性乾癬(汎発型)診療ガイドライン」に基づいてそれぞれの方に適した治療を選択することが可能であることをお伝えしています。
また、スペビゴ®の治療にあたって行うインフォームド・コンセントは、患者さんに安心して前向きに治療に取り組んでいただくことを目的に行います。したがって、インフォームド・コンセントの際には、患者さんの不安な気持ちに寄り添いながら、患者さんやそのご家族にスペビゴ®の効果とリスクを十分に理解していただけるよう説明することが必要です。

投与前に行うインフォームド・コンセント

GPPの急性症状を改善するためにスペビゴ®を投与行うことを説明したうえで、安全で効果的な治療のためには、治療に先立つ問診や検査が必要であることをご理解いただくことが大切です。


1)問診を行う理由を説明する
合併症、既往歴、乾癬に対する治療歴を確認します。
また、電子添文中、妊婦・授乳婦に対する投与は注意を要するとされており、妊娠や授乳の希望があるかを確認する必要があります(表11)。妊娠や授乳はセンシティブな話題であるため、確認にあたって患者さんやご家族に過度なショックを与えることがないよう、十分な配慮が求められます。なぜ確認する必要があるのか、その理由を丁寧に説明することを心がけましょう。私は、「治療方針にかかわることなので、教えてもらえますか」などとお話しするようにしています。

表1 特定の背景を有する患者に関する注意

表1 特定の背景を有する患者に関する注意

2)検査を行う意味を説明する
スペビゴ®は感染症や結核を重症化させるおそれがあるため、感染症と結核について十分な検査が必要であることを説明します。
GPPの急性症状がある患者さんは、少しでも早く症状を改善したいという希望があると思います。したがって、活動性結核が認められた場合にはGPPの治療よりも活動性結核の治療が優先される1)ことについて、丁寧な説明が必要です。また、活動性がなくても結核感染が認められた場合は結核治療薬を投与します1)。自覚症状のない結核に対する治療薬を服用することになるため、この場合にも丁寧な説明を行いましょう。

投与時に行うインフォームド・コンセント:スペビゴ®の投与方法を伝える

スペビゴ®の投与方法については、①スペビゴ®は医療機関において点滴靜注で投与する治療薬であること、②1回の治療でスペビゴ®900mgを90分かけて投与すること、③スペビゴ®での治療を行った後にまだ急性症状が続く場合は、初回投与1週間後にもう一度治療を受けることができること、の3点を説明します(図1)。

投与時に行うインフォームド・コンセント:スペビゴ®の投与方法を伝える

投与後に行うインフォームド・コンセント

スペビゴ®による副作用が疑われる症状があらわれたときに患者さんが適切な対応ができるようになること、GPPを再燃させないよう患者さんが日常生活をコントロールしていくことが大切であることをお伝えします。


1)受診が必要な症状を伝える
患者さん向け冊子「スペビゴ®で治療をされる患者さんへ」には、症状があらわれた場合にすぐに医療機関に連絡すべき症状が提示されています(図2)。患者さんが体調の変化を感じた際に躊躇せず受診できるよう、「体調に関していつもと異なること、気になることがあればお気軽にお問い合わせください」など、患者さんやご家族への声掛けを大事にしてください。


2)GPPを再燃させないための日常生活の留意を伝える
患者さんやご家族には、症状をコントロールするために前向きにGPP治療に取り組んでいただきたいと思います。患者さん向け冊子のほか、日本ベーリンガーインゲルハイムが用意しているWebサイト「GPPひろば®」2)「スペビゴ®を使用される患者さんへ」3)、、患者さん向けアプリ「GPPひろば®」4)などを活用し、日常生活を適切にコントロールすることの重要性を伝えてください。

投与後に行うインフォームド・コンセント

まとめ

患者さんが前向きに治療にかかわっていくことで、スペビゴ®による治療は、より安全で効果的なものとなります。先生がたには丁寧で適切なインフォームド・コンセントを通じて、患者さんの前向きなGPP治療への取り組みをサポートしていただきたいと思います。

References

  1. スペビゴ®点滴静注450mg電子添文
  2. GPPひろば®. https://www.gpphiroba.jp/
  3. スペビゴ®を使用される患者さんへ. https://kansen-hiroba.jp/patients/
  4. 患者さんサポートアプリのご紹介. https://www.gpphiroba.jp/announcement.html
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