COPDの吸入指導 地域で取り組む吸入療法のステップアップ

サイトへ公開: 2021年01月30日 (土)

COPDの薬物治療の第一選択薬は吸入薬ですが、さまざまな吸入デバイスがあり、それぞれに応じた吸入指導が大きな鍵を握ります。
プラーナクリニックで患者さんに治療を継続していただくためのコツや新型コロナウイルス感染症の中での吸入指導について解説いただきました。

開催年月日:2020年8月28日開催地:プラーナクリニック(埼玉県深谷市)

青木康弘先生

Doctor
青木康弘先生
 医療法人康曜会 プラーナクリニック 院長

患者さんに継続してもらえる治療を目指して。

ー 最初に、プラーナクリニックの概要と地域での役割についてお聞かせください。
当院は2009年に開設した埼玉県深谷市の医療機関で、呼吸器科と内科があります。呼吸器科では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、肺がんなどを、内科では糖尿病、循環器疾患を中心に診療しています。深谷市を中心とした地域のプライマリーケアを担う役割を果たしており、喘息やCOPDでは、地域の拠点病院や調剤薬局と連携しながら診療や吸入指導を実施しています。私が代表を務めさせていただいている「埼玉喘息・COPD研究会」では、吸入指導のステップアップを目的に、年3回ほど地域で勉強会を開催しており、毎回、多くのプライマリーケア医や薬剤師が参加しています。

ー COPDの診療の流れや患者さんの特徴を教えていただけますか。
COPDの患者さんには、動作時の息切れを感じて受診される場合と増悪で来院される場合の2パターンがあります。前者では、CTや呼吸機能の検査を実施し、診断しますが、後者では、患者さんが息苦しさによってスパイロメトリーなどの検査が受けられないため、気管支拡張薬などの薬剤への反応を見ながら診療していく流れになります。患者さんの特徴としては、息切れをあまり感じていないケースが多く、こちらから意識して生活の中で息切れがあるかどうか聞き出すようにしています。例えば、「年や運動不足のせいだと思うような息切れがありますか?」と聞くと、「そう言われれば、あるかもしれません」と患者さん自身で気づくことがあります。

ー COPDでは医師や薬剤師、看護師などの多職種が連携して診療しますが、プラーナクリニックではどのように役割を分担されていますか。
医師は、患者さんを診察し、症状を確認して必要な治療法を検討します。一方、薬剤師は、薬の専門家として薬の効能や副作用を熟知していますので、医師が処方した薬の正しい使い方を説明します。COPDの診療では、吸入器の操作方法を患者さんに解説する役目も担っています。そこに看護師が加わり、医師や薬剤師と情報共有しながら、療養上や生活上の注意点・ポイントを患者さんに説明、指導します。また、当院には理学療法士がいますので、患者さんの呼吸状態、運動量や活動量を確認しながら、包括的呼吸リハビリテーションを実践しています。さらに、食事の面では栄養士も交え、多職種で治療にあたっています。

ー プラーナクリニックでは、患者さんに吸入器のデバイスを選択してもらうというユニークな方法をとられているとお聞きしましたが、どのように行っているか教えてください。
患者さんの多くは、与えられた吸入薬を「毎日吸いなさい」と言われるだけでは、なかなか継続できません。吸入が中断されてしまうと、せっかくの治療薬も効果がありません。当院では、Shared Decision Making(SDM)の考えを導入して、患者さんに、それぞれのデバイスの吸入方法をお伝えし、
「これなら吸えそうですか」「どれなら毎日続けられますか」と質問しながら、デバイスを選んでもらっています(図)。患者さんが自分で選んだデバイスを使うことで、ほとんどの患者さんが、治療を継続することができています。

ー 新型コロナウイルス感染症によって、診療や吸入指導にどのような影響がありましたか。
当院のある深谷市周辺の地域では、これまでのところ、大きな流行は見られておらず、受診する患者さんの数にも大きな変化はありません。しかし、当院へ来る患者さんの感染を防ぐために、医療スタッフのマスクの着用や手洗い、消毒の徹底のほか、患者さんと医師の間に透明なアクリル板を設置するなど、細心の注意を払って診療を続けています。吸入指導に関しては対面での指導が難しいため、最近では、タブレットやスマホなどのICTを用いた吸入指導も行われています。しかし、COPDでは高齢者が多いため、そのようなツールの操作は難しいのが現状です。感染対策を行いながら、対面での吸入指導を進めていくのが現実的なようです。

青木康弘先生

ー 新型コロナウイルス感染症は、COPD患者さんの症状や体調、生活にも影響を及ぼしていると聞きますが、今後、どのような対策が求められますか。
COVID-19の流行は、多くの慢性疾患の患者さんに影響を及ぼしましたが、COPDも例外ではありません。もともとCOPDでは息切れのために活動が減る患者さんが多いのですが、COVID-19の影響で、ステイホームが推奨される中、家に閉じこもる患者さんが増え、さらに運動量や活動性が落ちています。特に歩数の減少が目立ち、3月から4月で影響が顕著に表れたという印象です。
現在は、新型コロナウイルス感染症後の「新しい生活」も見据え、積極的に運動指導を行うなど、患者さんの健康や生活面の指導にも注力しています。

図 患者さんによるデバイスの選択(イメージ図)
逸見和範先生

Pharmacist
逸見和範先生 
医療法人康曜会 プラーナクリニック薬剤部長

吸入指導では薬剤師がやって見せることが基本。

ー最初に、院内での薬剤師の役割についてお聞かせください。
薬剤師は薬剤の専門家として、医師が処方した薬を患者さんに正しく使ってもらえるよう、患者さんに的確な説明と指導を行うことが主な役割です。患者さんの生活をより良くするために、薬の面から患者さんをサポートします。COPDの場合、吸入薬の吸入方法が薬の効果に大きく影響するので、患者さんには分かりやすい吸入指導を心がけています。また、病名を患者さんにきちんと伝え、その病気の理解を促すことも重要だと考えています。「なぜこの薬がこの病気に必要なのか「」この薬を正しく使うことで、この病気にどのような効果があるのか」を患者さんに知ってもらうことで、患者さんが薬をより適切に使いたいと思う環境を提供できると思っています。

ー COPDでは吸入薬の正しい使い方が治療の鍵となるとのことですが、吸入指導はどのように行っていますか。
青木先生からお話がありましたように、当院では、患者さんに吸入器のデバイスを選んでもらっており、それによって治療継続の意識が向上しています。しかし、薬を正しく吸入できるかどうかは、実際に患者さんにやって見せてもらわないと分かりません。まず、本当に吸入できているかどうかを薬剤師が評価することから吸入指導が始まります。吸入できない場合、今の症状が苦しくて吸入できないのか、何度も挑戦してもやはり吸入できないのか、原因をしっかり評価し、正しく吸入できるように支援する義務があります。吸入指導は通常、座った状態で実施しています。しかし、吸気力が弱い方の場合、座位だとできないが、立位だとできるというケースもあります。吸気力の問題ならば立位での吸入も選択肢に入れておくとよいでしょう。

ー次に、吸入指導において、工夫されていることやコツなどがありましたら教えていただけますか。
まず、薬剤師がやって見せることが大事です。実際の動作で見せないと、患者さんはどのような吸入方法が正しいか、またよいのか理解できない場合がほとんどです。その後、患者さんにやってもらい、できていれば「よくできましたね」と声をかけます。私は「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ」という山本五十六の言葉が好きで、それを実践しています。
吸入指導のコツは「繰り返し」です。初回の指導だけで完結することはありません。1回できても帰宅したら忘れる患者さんも多く、2回目、3回目の指導では「そんなこと聞いたかな」と言う患者さんもいます。薬が正しく吸入できるまで支援することが必要で、そのために繰り返しの支援は必須です。

ー吸入指導で苦労されている点はどこですか。また、その解決ポイントがあればご紹介ください。
吸入薬がなくなっても吸入しようとしている患者さんは多く、薬がなくなるタイミングや残数を患者さんに理解してもらうのに苦労しています。また、医療機関では吸入できても自宅ではできない患者さんもいて、その原因を探るためにも細かくお話をうかがうことが必要です。医療機関と自宅では状況が異なるので、評価する際、自宅で生活する患者さんの姿を想像しながら話を聞きます。ポイントは、患者さんの生活を想像することです。

ー実際に生活の中で何がバリアになっているのでしょうか。
忙しい生活の中で、吸入薬が使えなくなるというパターンがほとんどです。そのため、患者さんには「忙しい中でも、どこで時間を作れますか」という聞き方をします。1日のスケジュールを聞きながら「毎日どのタイミングなら続けられそうですか」と質問すると、「この時間にやってみます」と答えてくれる場合もあります。
特に高齢者では、行動パターンが決まっていることが多いので、それを変えるのは容易ではありません。意図的に聞き出していく中で、吸入のベストタイミングを探っています。逆に、時間はあるものの、吸入したかどうかを忘れる方もいます。その場合は必ず行う行動と一緒に吸入することを提案します。例えば、朝食で「いただきます」を言う前に吸入しましょうと約束すると、「吸っていないから、まだ食べてはだめだな」「食べたのだから、吸ったのだな」と認識してもらえます。このように患者さんの生活に組み込むことで治療の継続性を高めています。

逸見和範先生

最後に、COVID-19が流行する中、COPDの吸入指導をどのように行っているのかお聞かせください。
対面での吸入指導では、患者さんと医療従事者の間に透明なアクリル板を置くなどして、感染リスクの低減に努めています。対面では両者の距離が近くなりやすいため、吸入器の操作方法を説明する動画を患者さんに視聴してもらい、実演の説明を減らすなど工夫しています(図)。オンラインでの診療や服薬指導は実施していませんが、オンラインに関する研究会に参加しながら、その可能性を検討しています。対面とオンラインの違いは、場面の見え方です。カメラアングルによって、対面なら見えるものがオンラインでは見えないことがあります。そのため、カメラに近づいて患者さんが見えるように指導したり、逆に患者さんには「こういう状態で見せてください」など具体的に伝えることも大事で、対面とは異なるスキルが要求されます。

図 患 者 さ ん の 行 動 パ タ ーン を 踏 ま え た 吸 入 指 導 ( イメ ー ジ 図 )
青木康弘先生 逸見和範先生

青木康弘先生
x
逸見和範先生

COPD患者さんを20年以上支えられる体制を。

ー吸入指導のスキルアップのために、院内ではどのような取り組みを行っているか教えてください。
青木先生:吸入指導は、呼吸療法認定士の資格を持つ看護師を中心にローテーションを組みながら取り組んでいますが、意見交換や現場での疑問に答える場が必要です。当院では、毎月15分ほど「ワンデバイス勉強会」を開いて吸入指導のレベルアップに努めています。勉強会では1つの吸入デバイスに特化して議論しながら正しい使い方やピットフォールなどを学んでいきます。
逸見先生:勉強会では、「患者さんからこう言われました」「こういうふうに相談されて、どう答えていいか分かりません
でした」など現場の声についてディスカッションできるので、大変勉強になる場となっています。

ー吸入指導も2回目、3回目となると、どのような内容にすればよいのか悩むケースもあるようです。再指導時のアドバイスをいただけますか。
逸見先生:初回の指導では吸入できていたのに、2回目ではできていない患者さんはかなりいます。再指導の際は、最初に患者さんがデバイスを吸入できているかどうか確認するところから始めるのがよいと思います。そこでできていなければ、使い方の説明や、デバイス変更を検討します。適切に吸入できていて、症状も改善している場合は、「良くなったのはしっかり吸入できているからですよ」と伝え、患者さんのモチベーションアップに繋げます。また、初回時に次の吸入指導で何をするかあらかじめ伝えておくのもポイントです。例えば「この吸入薬はうまく吸えないと効果がありません。効果を保証するために、次回の吸入指導では吸入の仕方を確認させてください」と伝えておくと、患者さんも次の指導の際に「今日、確認するんだ」という意識で来られます。
青木先生:吸入指導では、デバイスの知識や説明のスキルだけでなく、患者さんと雑談ができるスキル、患者さんとうまく付き合えるテクニックなども要求されます。指導も2回目、3回目となると「何を話せばいいのだろう」と困る薬剤師さんもいると思いますが、会話力を活かして患者さんから困っていることなどを引き出すことが求められます。
ープラーナクリニックでは在宅医療にも力を入れていると聞きますが、どのような取り組みをされていますか。
青木先生:呼吸機能が低下した重症のCOPD患者さんの中には、在宅治療を受けている方もいます。当院では、在宅酸素療法(HOT)を使用しながら自宅療養している患者
さんをケアしています。
患者さんの自宅を訪問し、吸入指導も行いますが、訪問
看護師だけでなく、薬剤師も参加することがあります。今後は、在宅医療における薬剤師の役割がより重要になっていくと考えています。
逸見先生:在宅医療における吸入指導では、当院のスタッフ以外に、訪問看護師やケアワーカー、介護士など多くの医療・介護関係者と連携しています。現在は新型コロナウイルス感染症の影響で、在宅医療が滞っている場面も見られますが、今後は多職種での連携をさらに活用して、地域で患者さんを支える仕組みを発展させていきたいと思います。
ー今後のプラーナクリニックの取り組みや未来図を教えてください。
青木先生:当院では現在、新しい病棟の増築が進んでおり、2021年の春には完成の予定です。COPDの患者さんが、包括的呼吸リハビリテーションや吸入指導などのトータルケアを受けられる総合的な病棟を目指しています。
背景には、地域での呼吸リハビリテーションに対する高いニーズがあります。当院では呼吸リハビリテーションと心臓リハビリテーションを両方完備し、心疾患とCOPDを併発している患者さんなどにも対応していく予定です。
また、非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)やHOTの導入、栄養指導などのアプローチを充実させながら、多職種で取り組める体制を作っていきます。目標としては、今後、高齢化が進む中ですが、例えばCOPDと診断された患者さんであれば、20年以上の長期にわたって支えられる体制を構築したいと思っています。

逸見和範先生

ー患者さんを20年以上ケアできる体制の構築というチャレンジの中で、院内の医療従事者には何が求められますか。
青木先生:
医療従事者がよりプロアクティブに動く姿勢が必要だと思います。そのためには、これまで以上に院内での多職種連携の強化が求められます。また、AdvanceCare Planning(ACP)の考え方がCOPDの診療体制においても重要です。ACPは、将来の治療や療養について、患者さんやご家族と医療従事者があらかじめ話をするプロセスで、医療従事者の間で、患者さんの価値観や目標、治療に対する考え方が共有されることが基本となります。そのため、最初の受診時から患者さんに選択肢、将来像を示しておく必要があります。

青木先生

ー患者さんの価値観を共有するという点では、先ほどお話のあった患者さんによるデバイスの選択にも通じるところがありますね。
青木先生:そのとおりです。SDMやACPには、患者さんに選択してもらうという共通点があります。医師からの一方的な決定ではなく、患者参加型で適切な選択をしてもらうことで、患者さんにとって価値ある選択が可能になります。
「自分で選んでいない。だからやめる」ではなく、「自分が選んだ。だから続けてみよう」が重要です。このプロセスが当院での吸入指導にうまくフィットし、患者さんの良好なアドヒアランスに繋がっています。
逸見先生:「自分で選んだ治療、自分で選んだデバイスなのだから続けてみよう」というポジティブな考え方が前向きな吸入指導に繋がります。前向きになってもらうために患者さんには「きちんと吸えば効果が出ます。これはそのための吸入指導で、大きなメリットがあり、お得なんですよ」というメッセージを伝えるようにしています。時間を確保して来院される患者さんには得して帰ってもらいたい、そんな願いを込めて、日々、指導しています。

ー日常の診療の中でやりがいやモチベーションを感じる瞬間はどんなときですか。
青木先生:
患者さんの喜ぶ声を聴くのが嬉しいですね。
「回復して動けるようになった」「階段の上り下りが楽になった」「重い荷物を持てるようになった」などです。口数の少ない
患者さんでも「どうですか」と聞くと、「薬がよく効いています」「以前と比べるとかなり良い状態です」などと答えてくれることがあります。患者さんは何かを感じていますので、それをこちらから聞き出していく姿勢が重要です。その際に患者
さんが満足していることが分かると、やりがいを感じます。
逸見先生:私も患者さんの喜ぶ顔が一番です。私との面談に時間を提供いただいた患者さんへ私はどんなことで還元できるか、薬剤師として何ができるか、と自問自答する中で、患者さんが満足している顔や患者さんが発する「良くなって嬉しい」の一言が、自分のモチベーションに繋がっています。薬の情報だけでなく、患者さんの生活に対してアドバイスやサポートをして喜ばれることが非常に多く、薬以外のことも重要だと感じます。
「孫と一緒に遊びたいけど、苦しくて遊べない」と言っていた患者さんが回復後「遊べるようになった」と嬉しそうに笑ってくれたときは本当に嬉しかったです。

ー 最後に、COPDの診療における今後の展望や夢、チャレンジをそれぞれお聞かせください。
青木先生:先ほどお話ししたCOPDの患者さんを20年先までケアするクリニックの構想は、5年後ぐらいまでには実現したいと思っています。このようなモデルケースが地域に存在することで、呼吸器科の視点から見た地域包括ケアシステムが実現できると考えています。この発想を全国にも発信しながら、より質の高いプライマリーケアを目指すとともに、患者さんの健康寿命の延長に貢献できるようチャレンジを続けていきたいと思います。
逸見先生:私も地域包括ケアの中で、調剤薬局の薬剤師や在宅医療における多職種と連携をとりながら、地域におけるCOPD診療のボトムアップに貢献していきたいと考えています。今後も、多職種連携の中で薬剤師の力を十分に発揮できるよう、スキルアップを続けていくとともに、子供が元気に育つ社会の実現に貢献していきたいと思います。

青木康弘先生 x 逸見和範先生

FAQ【よくある質問】

下記のFAQ以外にも、ベーリンガープラスでは、スピオルト®に関するQ&Aやレスピマット®の使い方に関するQ&Aを掲載しています。是非、ご覧いただき、患者さんへの吸入指導にお役立てください。

Q1.

特にレスピマット®を吸入する際に気を付けることはありますか?

A.

レスピマット®は、吸入液をゆっくり噴霧する吸入器です。
他の製剤(DPI)と同じように勢いよく吸い込むとむせてしまうことがありますので、ご自身の呼吸に合わせてゆっくりと吸入してください。

[デバイスの使用方法:ゆっくり吸う]

[デバイスの使用方法:ゆっくり吸う]

Q2.

1日1回の吸入ですが、吸入に適した時間帯はありますか?

A.

用法・用量上の時間帯の規定はなく、患者さんの生活に合った時間帯での吸入が可能です。
歯磨きと一緒にするなど、毎日の習慣に取り入れるように工夫されているケースもございます。生活の一部として組み込むことで、吸入のし忘れを防ぐことが期待できます。

Q3.

レスピマット®の金属部分が汚れて見えることがあります。品質に影響はありますか?

A.

霧状の薬剤が付着し乾燥すると、茶色く見えることがありますが、品質には影響ございません。
レスピマット®は、週に1回、マウスピースとその内側の金属部分を、湿らせた布、またはティッシュペーパーで拭いて、お手入れしてください。

資材紹介

下記の資材は、「資材WEBオーダー」
( http://www.bij-kusuri.jp/request/# )より取り寄せが可能です。是非、ご活用ください。

01

COPDの吸入指導①多職種連携によるチーム医療を目指して
[資材コード:014996]

02

COPDの吸入指導②多職種連携による豊富な経験の共有
[資材コード:015068]

03

COPDの吸入指導③地域レベルでのネットワーク化が鍵
[資材コード:015127]

多職種連携による吸入指導を考えるシリーズの第一回目です。藤田医科大学ばんたね病院で吸入指導に関わる先生方、医師、薬剤師、理学療法士のそれぞれが果たす役割や吸入指導の工夫やコツなどを解説いただいています。 多職種連携による吸入指導を考える シ リ ー ズ の 第 二 回 目 で は 、ひ た ち な か 総合病院で吸入指導に関わる先生方に、 医師、薬剤師、看護師のそれぞれが 果たす役割や吸入指導の工夫やコツ などを解説いただいています。 多職種連携による吸入指導を考える シリーズの第三回目では、COPD吸入薬 Web Seminar「COPD吸入療法・指導の ポイント~診療報酬改定を踏まえて~COPD吸入療法の実際(診断・吸入薬選択・ 吸入指導)」の模様をご紹介しています。

COLUMN 【コラム】

【解説】オンライン服薬指導の時限的措置を継続決定拡大や特例の恒久化には課題

厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」が2020年8月6日に開かれ、初診からのオンライン診療やオンライン服薬指導を認める時限的・特例的措置である「0410対応」の継続が決まりました。ただし、検討会に報告されたオンライン服薬指導の状況を見ると、実施率の低さが目立ちます。
0410対応に基づくオンライン服薬指導の5~6月の実施状況の報告はそれぞれ、5月には5,896の薬局から4万9,959件、6月には3,364の薬局から1万8,890件あり、2か月間で全国の6,498薬局で6万8,849件実施されたことになります。しかし、処方箋枚数と比べたオンライン服薬指導の割合は、5月が0.61%、6月が0.37%となり、全体的に見ても1%に満たない結果となっています。
オンライン服薬指導は2019年改正薬機法の下で実施可能となり、2020年9月1日の施行によってもともと全国的に解禁される予定でしたが、0410対応において要件が緩和されました。例えば、患者さんと薬剤師のお互いの映像を映しながら通話する機能は必須とされず、音声のみによる電話での服薬指導も可能とされました。また、服薬指導計画の策定も必須とされていません。
しかし、処方箋については、医師が紙媒体で発行するものをメールやファックスで薬局に送付する方法が認められたにすぎず、事後的に紙の処方箋原本の確認作業が必要です。これは紙の処方箋が公的文書として法的効力が極めて高く、取り扱いが厳格に定められているためです。厚労省の「健康・医療・介護情報利活用検討会」では、この解決には、医療機関と薬局の薬剤処方に関する情報共有の効率化、患者さん自らが服薬歴などを電子的に管理・閲覧できる電子処方箋の仕組みが必要とされています。電子処方箋については2022年夏の運用開始を目指して検討が進んでおり、オンライン服薬指導の広がりにつながると見込まれています(図)。
このような中、2020年7月17日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太方針2020)において、オンライン診療と電子処方箋、オンライン服薬指導、薬剤配送によって、診察から薬剤の受け取りまでオンラインで完結する仕組みを構築するとの方針が明示されました。また、厚労省は0410対応の下でのオンライン服薬指導の実施結果を踏まえ、オンライン服薬指導の運用について定期的に見直す考えです。
総務省が行った「オンライン診療の普及促進に向けたモデル構築にかかる調査研究」によると、高齢者の場合、オンライン実施では看護師やオンライン診療支援者の補助を必要とする場合が多かったことが指摘されています。医薬品の処方を受けるのは高齢者に多いことから、オンライン服薬指導も緩やかに広がっていくと考えられていましたが、新型コロナウイルス感染症によって状況が大きく変わりました。厚労省の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行について(オンライン服薬指導関係)(」令和2年3月31日・薬生発0331第36号)でも、薬剤師と患者の信頼関係の構築など薬剤師に求められることが明記されており、オンライン服薬指導を担う薬剤師への期待が高まっています。

【解説】オンライン服薬指導の時限的措置を継続決定拡大や特例の恒久化には課題
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