コメディカルスタッフによるCOPD外来診療支援の実際

サイトへ公開: 2021年12月16日 (木)

フロンティアインタビュー 最前線から伝える質の高いCOPD治療実現のためのTips Case05 KKR高松病院 第2回

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このコンテンツでは、多くのCOPD患者さんを診ておられる専門医の先生に、限られた診療時間の中でより質の高いCOPD治療を実現するためのTipsを伺います。今回は、前回に引き続き、KKR高松病院の取り組みをご紹介します。今回のテーマは「コメディカルスタッフによるCOPD外来診療支援の実際」です。ぜひご覧ください。

【まとめ】

  • 薬剤師がポリファーマシーのチェックや吸入指導をすることで医師の負担が軽減した
  • 外来診療支援では、薬剤師が医師の診察に同席し、患者の病態や生活スタイルなどを把握する。それらを踏まえたきめ細かい吸入指導は、アドヒアランスの向上につながる
  • 理学療法士は、吸入薬の吸入が困難なCOPD患者に対し、外来で呼吸指導等を行っている
  • レスピマット®は、細かいミストが、ゆっくり、長く噴霧される、COPD患者の吸入負担が少ないデバイスである

KKR高松病院では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)診療においてタスクシフトを全国に先駆けて行ってきました。
その一角を担っているのが、薬剤師や理学療法士による外来診療支援です。
今回は、COPD治療におけるコメディカルスタッフによる外来診療支援の実際について伺いました。

インタビュー:2021年7月29日(木)オンラインにて実施

お話を伺った先生方

KKR高松病院 病院長 森 由弘先生
KKR高松病院 呼吸器内科 睡眠・呼吸センター長兼アレルギー科部長 荒川 裕佳子先生
KKR高松病院 薬剤科 亀山 直哉先生
KKR高松病院 リハビリテーション科 長井 梓苑先生

まず、コメディカルスタッフによる外来診療支援を開始した背景をお伺いしました。

外来診療支援を開始した背景

タスクシフトの先駆けとして始まった外来診療支援

森先生
当院では、2007年から薬剤師が外来診療に同席する診療支援を開始しました。この体制を取ることにした背景は大きくふたつあります。ひとつは、医師不足を解消するためです。当時の制度上の問題で、外来診療をする医師が不足してしまったため、一部の業務を薬剤師にタスクシフトしました。もうひとつは、薬剤師の活躍の場を広げるためです。当時、薬剤師は薬局の中にしかいなかったのですが、もっと広く能力を発揮してもらいたいと考えました。これらの背景により外来診療支援を開始したところ、薬剤師がポリファーマシーのチェックや吸入指導をしてくれることで医師の負担が軽減しただけでなく、医師に時間的な余裕が生まれ、患者さんにしっかり向き合うことができるようになりました。その結果、医療の質が上がったのではないかと考えています。

続いて、コメディカルスタッフによる外来診療支援はCOPD治療にどのようなメリットをもたらしているのか伺いました。

外来診療支援のメリット

各職種の専門性を生かしてCOPD診療の質を高める

荒川先生
私が薬剤選択・指導をしたあとの詳細な吸入指導は、薬剤師にフォローしてもらいます。薬剤師は、吸入の説明だけではなくて、薬のセットの仕方や、残量の見方、お手入れの方法、廃棄の仕方など、医師では説明しきれない細かい点についても、患者さんにわかりやすく説明してくれます。また、診察に同席しているので、患者さんの病態や理解力や生活スタイルなども把握しており、その患者さんに合わせた吸入指導をしてくれます。この薬剤師による個々の患者さんに合わせた吸入指導は、患者さんのアドヒアランスの向上につながっているのではないかと考えています。
理学療法士は、必要時に連絡をして診察室まで来てもらいます。そして、呼吸がうまくできない患者さんに、呼吸指導を行ってもらいます。この呼吸指導のあとに吸入薬を吸入してもらうと、患者さんはとてもうまく吸入できるようになります。また、理学療法士による呼吸指導は、私自身の勉強にもなっていると感じています。

続いて、薬剤師と理学療法士の先生方に、実際にどのような外来診療支援を行っているのか伺いました。

外来診療支援の実際

薬剤師は医師の診察に同席して患者さんの病態を把握する

亀山先生
薬剤師は、医師の診察に、電子カルテ2台を並べた状態で同席しています。そして、医師の指示で処方をオーダーしたあと、待合室に移った患者さんへ出向き、吸入薬の吸入指導を行います。昨今は新型コロナウイルスの関係上、個別ブースで、アクリル板越しに吸入指導を行っています。吸入指導が終わったあとは、指導の結果を医師にフィードバックします。吸入指導の結果、デバイスの変更を提案することもあります。

長井先生
理学療法士は、医師から電話で「うまく吸えない患者さんがいるので指導して欲しい」という依頼が来たら、外来診察室に出向き、呼吸指導を行います。呼吸指導は、まず患者さんの状態を評価することから始めます。COPD患者さんのなかには、吸入薬を吸入する際に呼吸困難を来してしまう方がいるので、そういった患者さんには、動作指導や生活の見直しも含めて指導します。

亀山先生
荒川先生もおっしゃっていたように、理学療法士から呼吸指導をしてもらった患者さんは、吸入薬がうまく吸えるようになるので、薬剤師としても、理学療法士の介入は助かります。

長井先生
患者さんのなかには、うまく吸えないと思い込んでいるだけで、呼吸介助をすると、自分でうまく吸えるようになることがあります。このように患者さんが「あ、うまく自分で吸えたな」と実感してもらうことが重要だと考えています。この成功体験を重ねることで、呼吸法が改善していくからです。

最後に、レスピマット®の特徴と指導のポイントを伺いました。

レスピマット®の指導ポイント

レスピマット®は吸気流量が低下しているようなCOPD患者さんの選択肢のひとつ

亀山先生
レスピマット®はエアロゾルがミスト状であるため、噴霧速度がゆっくりで、咽頭刺激も少ないため、吸気流量が低下しているようなCOPD患者さんでも使える製剤のひとつだと考えています。
使い方の注意点としては、回転グリップを回す動作が挙げられます。高齢の患者さんやリウマチを合併しているCOPD患者さんのなかには、レスピマット®本体下の回転グリップを180°回す動作が難しいとおっしゃる方がいます。そういった患者さんには、回転操作を補助する器具の「回転君」を紹介しています。また、吸入薬を吸入する際は、息を吸うことではなくて、吐くことを意識してもらいます。一旦肺の中の空気を吐き出すことによって、自然と吸入できるようになるからです。

レスピマット®は吸気流量が低下しているようなCOPD患者さんの選択肢のひとつ

レスピマット®吸入時の回転操作を補助する「回転君」

レスピマット®の特徴

レスピマット®は、細かいミストが、ゆっくり、長く噴霧され、COPD患者さんの吸入の負担が少ないデバイスです。

レスピマット®の特徴

レスピマット®は、ゆっくりとしたミストがおよそ1.5秒かけて持続的に噴霧されるので、吸入同調が良好な方でもうまくできない方でもお使いいただくことができ、吸気流量にも左右されず吸入することが可能です。

レスピマット®の特徴02

また、吸入療法の未経験者を対象に、レスピマット®とDPIの操作性の印象度を比較した検討では、総合的に好ましいと答えた対象者の割合は、「レスピマット®」、「どちらかといえばレスピマット®」と回答された方を合わせて89.9%でした。

レスピマット®の特徴03

 

レスピマット®の特徴04

質の高いCOPD治療の実現を目指し、患者さんの吸入負担を考慮する際は、細かいミストが、ゆっくり、長く噴霧されるレスピマット®をぜひご活用ください。

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