日本人COPD患者に対するQOL・息切れ・最大吸気量の改善効果

サイトへ公開: 2020年10月07日 (水)

スピオルトによるQOL・息切れの改善効果(日本人部分集団解析)

試験概要

目的: 全集団:COPD患者を対象に、チオトロピウム+オロダテロール配合剤2用量(2.5μg/5μg、5μg/5μg)を、1日1回52週間吸入投与したときの有効性・安全性を、単剤(チオトロピウム2.5μg又は5μg、及びオロダテロール5μg)と比較検討する。
日本人部分集団:COPD患者を対象に、レスピマット®ソフトミスト吸入器を用いてチオトロピウム+オロダテロール配合剤を52週間吸入投与したときの有効性及び安全性を日本人部分集団と全集団で比較検討する。
対象: 中等症から最重症(GOLD病期分類Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ)COPD患者5,162例(日本人413例を含む)
試験: [検証試験]第Ⅲ相、国際共同、多施設共同、ランダム化、二重盲検、実薬対照、並行群間比較試験(同じデザインで実施した2試験)
方法: チオトロピウム+オロダテロール配合剤2.5μg/5μg※1、チオトロピウム+オロダテロール配合剤5μg/5μg(スピオルト®5μg/5μg)、チオトロピウム2.5μg※1、チオトロピウム5μg(スピリーバ®5μg)及びオロダテロール5μg※1を、レスピマット® を用いて1日1回52週間吸入投与した。
主要評価項目: FEV1AUC0-3hのベースラインからの変化量(24週間後)、トラフFEV1のベースラインからの変化量(24週間後)、SGRQ総スコア※2のベースラインからの変化量(24週間後)
副次評価項目: 息切れの評価{Mahler Transitional Dyspnea Index(TDI)総スコア}※2のベースラインからの変化量(24週間後) (重要な副次評価項目)など
解析計画: COPD患者を対象に、レスピマット®ソフトミスト吸入器を用いてチオトロピウム+オロダテロール配合剤を1日1回、52週間吸入投与した際の有効性及び安全性を日本人部分集団と全集団で比較検討するため、事前に計画されたサブグループ解析を行った。
主要評価項目の結果: スピオルト®5μg/5μg(以下、スピオルト®)群の24週間後のFEV1AUC0-3h及びトラフFEV1のベースラインからの変化量は、各単剤〔スピリーバ®5μg(以下スピリーバ®)、オロダテロール5μg ※3)群に対して優越性が検証された(2試験においていずれもp<0.0001、MMRM、ただしTONADO®2試験のトラフFEV1変化量:p=0.0001 vs. スピリーバ®群)。24週間後のSGRQ総スコアのベースラインからの変化量は、各単剤(スピリーバ®、オロダテロール5μg ※3)群に対して優越性が検証された(それぞれp=0.025、p=0.002、MMRM)※2。〔日本人部分集団:スピオルト®群の24週間後のFEV1AUC0-3h及びトラフFEV1のベースラインからの変化量は、各単剤(スピリーバ®、オロダテロール5μg※3)群に対して増加した(それぞれnominal p<0.0001、MMRM)※2。〕

スピオルト®は日本人部分集団においてもスピリーバ®§と比較し
QOLの指標であるSGRQ総スコアの有意な改善を示しました。

SGRQ総スコアの改善(24週間後)[主要評価項目](日本人部分集団)

SGRQ総スコアの改善(24週間後)[主要評価項目](日本人部分集団)

共通ベースライン調整平均値(SE):33.71(0.79)
混合効果反復測定モデル(MMRM):投与群、来院、投与群×来院、ベースライン値、ベースライン値×来院を固定効果、患者を変量効果とする
チオトロピウム+オロダテロール配合剤2.5μg/5μg及びチオトロピウム2.5μg、オロダテロール5μgは承認外用量、国内未承認のため削除しました

§:スピリーバ®レスピマット®

Sauter W, et al. 承認時評価資料:国際共同COPD患者対象52週間有効性安全性試験(1237.5/6試験併合解析)
Ichinose M, et al. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis 2016; 11: 2017-2027. suppl
著者にベーリンガーインゲルハイム社より講演料/謝金を受領している者が含まれる。
本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

スピオルト®はスピリーバ®§と比較し、有意な息切れ
(TDI総スコア)の改善が検証されました

息切れ(TDI総スコア)の変化(24週間後) [重要な副次評価項目]

息切れ(TDI総スコア)の変化(24週間後) [重要な副次評価項目]

共通ベースライン調整平均値(SE):全集団;6.54(0.03)、日本人;7.75(0.10)
解析方法:混合効果反復測定モデル(MMRM)
調整平均値 : 投与群、予定試験日、試験日と投与群の交互作用、ベースライン及び試験日とベースラインの交互作用を固定効果、患者を変量効果として調整
§:スピリーバ®レスピマット®
チオトロピウム+オロダテロール配合剤2.5μg/5μg及びチオトロピウム2.5μg、オロダテロール5μgは承認外用量、国内未承認のため削除しました。

1) Sauter W, et al. 承認時評価資料:国際共同COPD患者対象52週間有効性安全性試験(1237.5/6試験併合解析).より作図
2) Buhl R, et al. Eur Respir J 2015; 45(4): 969-979.
3) Sauter W, et al. 承認時評価資料:国際共同COPD患者対象52週間有効性安全性試験(1237.5/6試験併合解析).
4) Ichinose M, et al. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis 2016; 11: 2017-2027.より作図
著者に講演料/謝金を受領している者が含まれる。
本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

安全性

日本人部分集団において副作用はスピオルト®群79例中9例(11.4%)、スピリーバ®群76例中4例(5.3%)に認められた。主な有害事象(10%以上)は鼻咽頭炎、COPD、気管支炎でスピオルト®群ではそれぞれ24例(30.4%)、19例(24.1%)、12例(15.2%)、スピリーバ®群ではそれぞれ15例(19.7%)、13例(17.1%)、9例(11.8%)であった。
重篤な有害事象はそれぞれ15例、14例に認められ、薬剤との関連が認められたものはスピオルト®群の1例(大動脈瘤破裂)のみであり、死亡例であった。
投与中止に至った有害事象はそれぞれ10例、6例に認められ、薬剤との関連が認められたものはスピオルト®群の皮膚炎、大動脈瘤破裂、咳嗽がそれぞれ1例であった。

※1:チオトロピウム+オロダテロール配合剤2.5μg/5μg及びチオトロピウム2.5μg、オロダテロール5μgは国内未承認です。
※2:TONADO®1試験及びTONADO®2試験の併合データとして 
※3:オロダテロール5μgは国内未承認です。
   チオトロピウム+オロダテロール配合剤2.5μg/5μg、チオトロピウム2.5μgは承認外用量のため、臨床成績から削除しました。

Sauter W, et al. 承認時評価資料:国際共同COPD患者対象52週間有効性安全性試験(1237.5/6試験併合解析).
Buhl R, et al. Eur Respir J 2015; 45(4): 969-979.
Ichinose M, et al. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis 2016; 11: 2017-2027.より作図
著者に講演料/謝金を受領している者が含まれる。
Sauter W, et al. 承認時評価資料:国際共同COPD患者対象52週間有効性安全性試験(1237.5/6試験)
Ichinose M, et al. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis 2016; 11: 2017-2027.
著者にベーリンガーインゲルハイム社より講演料/謝金を受領している者が含まれる。
本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

スピオルトのIC(Inspiratory Capacity)改善効果 VESUTO試験 [検証試験]

試験概要

目的: 日本人COPD患者を対象に、 最大吸気量(IC)を指標とした肺過膨張への効果をチオトロピウム+オロダテロール配合剤(スピオルト®μg/5μg)とチオトロピウム単剤(スピリーバ®5μg) で比較する。さらに運動耐容能や身体活動性に対する効果を検討する。
主な対象: 40歳以上の日本人COPD患者184例〔病期分類Ⅱ~Ⅳ、6分間歩行試験で400m未満、かつ修正Borgスコアが4(多少強い)以上の患者〕
試験: [検証試験]多施設共同、ランダム化、二重盲検、実薬対照、2期クロスオーバー試験(NCT02629965)
各治療期間:6週間
方法: スピオルト®5μg/5μg又はスピリーバ®5μgをレスピマット®を用いて1日1回6週間吸入投与した。
主要評価項目:
  • 6週間後の投与60分後の安静時最大吸気量(IC)
副次評価項目:
  • 6週間後の投与90分後の6分間の歩行距離
  • 投与6週間後の前2週間に測定した身体活動量〔1日の平均歩数、平均活動時間(METs)など〕
  • 6週間後の投与30分後の呼吸機能(FVC、FEV1など)

スピオルト®レスピマット®はスピリーバ®§と比較し
有意な最大吸気量の増加が検証されました

投与60分後の最大吸気量(IC)(6週間後)[主要評価項目]

投与60分後の最大吸気量(IC)(6週間後)[主要評価項目]

解析方法:混合効果反復測定モデル(MMRM)
調整平均値:治療及び投与期間を固定効果、 治療期のベースライン値を共変量、患者を変量効果として調整

§:スピリーバ®レスピマット®

Ichinose M, et al. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis 2018: 13; 1407-1419.
著者にベーリンガーインゲル社により謝金/報酬を受領した者が含まれる。
本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

安全性

本試験において有害事象は、スピオルト®群180例のうち68例(37.8%)、スピリーバ®群182例のうち63例(34.6%)に認められた。そのうち、副作用(医師の判定による)は、それぞれ6例(3.3%)及び8例(4.4%)であった。
主な有害事象(両群合わせて2%以上)は、ウイルス性上気道感染がそれぞれ18例(10.0%)及び11例(6.0%)、COPDが9例(5.0%)及び9例(4.9%)、気管支炎が3例(1.7%)及び3例(1.6%)、転倒が5例(2.8%)及び1例(0.5%)、肺炎が1例(0.6%)及び3例(1.6%)、高尿酸血症、口渇がそれぞれ3例(1.7%)及び1例(0.5%)であった。
重篤な副作用は認められなかった。投与中止に至った有害事象は、スピオルト®群1例(0.6%)、スピリーバ®群3例(1.6%)であった。
なお、投与中止例の詳細については、論文等に記載がなかった。本剤の安全性情報に関しては電子添文をご参照ください。

Ichinose M, et al. Adv Ther 2017; 34(7): 1622-1635.著者に顧問料/謝金/財政的支援を受領した者が含まれる。
Ichinose M, et al. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis 2018: 13; 1407-1419.
著者にベーリンガーインゲル社により謝金/報酬を受領した者が含まれる。
本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

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