COPD治療実現のためのTips COPDの治療方針とチーム医療の意義

サイトへ公開: 2021年01月27日 (水)
フロンティアレポート 最前線から伝える質の高いCOPD治療実現のためのTips

公立陶生病院 第1回 COPDの治療方針とチーム医療の意義

公立陶生病院は、1936年、愛知県瀬戸市に創立され、尾張東部地域の基幹病院として医療を担っています。
陶器の町として知られる同地域は、歴史的にじん肺結核などの呼吸器疾患患者さんが多くおられました。
同院では、限られた診療時間の中でより質の高いCOPD治療を実現するため、どのような工夫がなされているのでしょうか。
最前線でCOPD治療に携わっておられる先生方に伺いました。

2020年7月21日公立陶生病院院内にて実施

お話を伺った先生方

近藤 康博先生


副院長/患者支援センター長/
呼吸器・アレルギー疾患内科

木村 智樹先生


呼吸器・アレルギー疾患内科主任部長/
リハビリテーション科
(呼吸器リハビリテーション担当)部長

近藤 康博先生 木村 智樹先生

まず、COPD治療で重視されていることをお伺いしました。

COPD治療で重視していること

全人的に患者さんをとらえることを目指し多角的に評価

木村 智樹先生

木村 智樹先生
COPDは閉塞性障害であり、呼吸困難から運動耐容能や身体活動性が低下します。そのため、病状を把握するためには問診だけでは十分ではないと考えています。当科では、呼吸機能や質問票を用いた自覚症状の評価とともに、リハビリテーション部と協力して、運動耐容能についても多角的に評価して治療を検討していくことを重視しています。具体的には6分間歩行試験や漸増運動負荷試験、下肢筋力の評価などを行っています。

木村 智樹先生01
近藤 康博先生

近藤 康博先生
こうした評価は初診時のみでなく経過を追って定期的に行っています。加えて、慢性疾患であるためQOLや不安・抑うつに関しても評価し、全人的に患者さんをとらえることを目指しています。

続いて、薬物療法についてどのように考えておられるか、伺いました。

COPD薬剤選択の方針

中等症以上で閉塞性障害や自覚症状の強い症例では under treatmentを避けるため LAMA/LABA配合剤での治療開始を検討する

木村 智樹先生

木村 智樹先生
先ほど話したようにCOPDは閉塞性障害であり、運動時の呼吸困難は主な症状のひとつです。そのため、薬物療法においては運動時の呼吸困難の改善を主眼においています。
以前は全例LAMA単剤で治療を開始していましたが、LAMA/LABA配合剤が登場し、知見が蓄積されるにつれ、中等症以上、特に閉塞性障害の強い症例などでは、より早期の改善を期待してLAMA/LABA配合剤による治療開始を検討しています。特に、手術を控えておりCOPD治療のため紹介された患者さんでは早期の症状改善が求められるため、LAMA/LABA配合剤で治療を開始するようにしています。

近藤 康博先生

近藤 康博先生
under evaluation(過小評価)の可能性を考慮し、避けることが大切です。そのためには、早期にLAMA/LABA配合剤で治療を開始してステップダウンするという戦略も必要だと考えています。健診などで肺機能障害を指摘され、自覚症状のほとんどない、あるいは軽い患者さんでは単剤で、一方、自覚症状があって中等症以上の場合、LAMA/LABA配合剤で治療を開始するという考え方です。その判断には肺機能障害の程度とともに自覚症状、特に呼吸困難の症状やQOLも重視し、客観的に判断するように努めています。

木村 智樹先生

木村 智樹先生
LAMA/LABA配合剤で治療を開始することは、アドヒアランスの観点からも、有用と考えています。治療効果を実感すると治療継続してくれる印象があります。その意味でも、早期にLAMA/LABA配合剤を使用することで、アドヒアランスがよくなることにつながると期待しています。

吸気流量や操作性を意識したデバイスの選択も重要

木村 智樹先生

木村 智樹先生
COPDでは加齢とともに吸気流量が低下します1)。そのため、吸気流量が低下しても吸入しやすいデバイスが望ましいと考えています。

1)Jarvis S, et al. Age Ageing 2007; 36(2): 213-218.

近藤 康博先生

近藤 康博先生高齢者に加えて、重症度が進行した場合も、操作できるかどうかも含めてデバイスの選択は重要と考えています。薬剤師と連携して手技を確認し、適切に吸入できていなければ吸入できる工夫をしたり、薬剤の変更を検討したりしています。

同院では、看護師、薬剤師、理学療法士、言語療法士、臨床工学技士、栄養士、ソーシャルワーカーなど多職種からなるチーム医療を提供しています。COPDにおけるチーム医療の重要性について伺いました。

チーム医療

終末期も見据えて多職種で多面的に関わる

木村 智樹先生

木村 智樹先生
COPDを含めた慢性呼吸器疾患はさまざまな問題をはらんでいます。そのため、薬剤を処方するだけでは十分ではなく、服薬指導、呼吸リハビリテーション、あるいは生活・栄養指導などさまざまなサポートが必要です。そのため、チーム医療が重要と考えています。

近藤 康博先生

近藤 康博先生
COPD治療においては、経年とともに加齢による機能低下など高齢者の課題も加わり、終末期も見据えた長期的な展望での対応も求められます。こうした状況ではひとつの因子に介入すればいいということではなく、複眼的、多面的に関わっていく必要があります。医師1人でできることではないので、多職種で協力して取り組む必要があると思います。

近藤 康博先生05
木村 智樹先生

木村 智樹先生
終末期に患者さんやご家族の考えをくみ取るうえでも、医師だけでなく多職種が関わることが重要です。

スピオルト®の日本人COPD患者さんにおける 呼吸機能および息切れ改善効果

スピオルト®の日本人COPD患者さんにおける呼吸機能および息切れ改善効果01

スピオルト®は、日本人を含むCOPD患者さんを対象としたTONADO試験で、呼吸機能や息切れの指標であるTDIスコアをLAMA単剤に比べ有意に改善することが示されています。
本試験では、日本人を含むCOPD患者さんを対象に、スピオルト®をレスピマット®を用いて52週間吸入投与しました。主要評価項目は24週間後におけるFEV1AUC0-3およびトラフFEV1のベースラインからの変化量などでした。

スピオルト®の日本人COPD患者さんにおける呼吸機能および息切れ改善効果02

日本人部分集団解析において、主要評価項目である24週間後のFEV1AUC0-3hおよびトラフFEV1の変化量は、スピオルト®群でスピリーバ®群と比較し有意な改善が検証されました。

スピオルト®の日本人COPD患者さんにおける呼吸機能および息切れ改善効果03

また、TDI総スコアの24週間後の変化量は、スピオルト®群でMCIDを超える1.56点の改善が認められ、COPDの主症状である息切れに対する効果も検証されています。

スピオルト®の日本人COPD患者さんにおける呼吸機能および息切れ改善効果04

日本人部分集団において副作用はスピオルト®群79例中9例(11.4%)、スピリーバ®群76例中4例(5.3%)に認められました。
主な有害事象は鼻咽頭炎、COPD、気管支炎で、スピオルト®群ではそれぞれ24例、19例、12例、スピリーバ®群ではそれぞれ15例、13例、9例の日本人患者で報告されました。
重篤な有害事象は15例、14例に認められ、薬剤との関連が認められたものはスピオルト®群の1例(大動脈瘤破裂)で、死亡例でした。
投与中止に至った有害事象は10例、6例に認められ、薬剤との関連が認められたものはスピオルト®群の皮膚炎、大動脈瘤破裂、咳嗽各1例でした。

次質の高いCOPD治療の実現を目指し、日本人COPD患者さんにおいても息切れ改善効果が示されているスピオルト®をぜひご活用ください。

ページトップ