服薬アドヒアランスを考慮したトラディアンス配合錠というアプローチ

サイトへ公開: 2021年10月22日 (金)

糖尿病のある方への投与薬剤数の実情

2型糖尿病のある方は高血圧や脂質異常症など、ほかの生活習慣病を併発していることも多く、服薬実施率を意識した治療も重要です。
実際に我が国の調査では、糖尿病のある方の86.9%が2種類以上の薬剤を服用していたことが示されました。
こうした状況で患者さんの服薬負担を軽減するために有用な選択肢のひとつが、配合錠です。

図1

配合錠の有用性とトラディアンス配合錠

メタ解析において、配合錠は各単剤同士の併用と比較して、服薬アドヒアランスを改善することにより、さらなるHbA1c低下作用が期待できることが報告されています。

図2

トラディアンス配合錠は、DPP-4阻害薬トラゼンタ(リナグリプチン)とSGLT2阻害薬ジャディアンス(エンパグリフロジン)の配合錠です。トラディアンス配合錠にはAP錠(リナグリプチン5mg/エンパグリフロジン10mg)およびBP錠(リナグリプチン5mg/エンパグリフロジン25mg)があります。

図3

トラディアンス配合錠はクラス内で唯一2つの用量規格を持つ配合剤であり、患者さんの血糖コントロール状態に合わせて1日1回1錠の用法を変えることなく増量が可能です。

DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の配合剤として(2024年4月現在)

図4

トラゼンタ錠からトラディアンス配合錠への切替試験

トラゼンタ5mg単剤で血糖マネジメント不十分な日本人2型糖尿病患者275例を対象に、トラディアンス配合錠AP(エンパグリフロジン10mg/リナグリプチン5mg)を24週間1日1回経口投与したときの有効性および安全性をトラゼンタ5mg投与と比較検討しました。

図5

主要評価項目である投与24週後のHbA1cのベースラインからの調整平均変化量は、トラゼンタ5mg+プラセボ群0.21%に対し、トラディアンス配合錠AP群では-0.93%と有意な低下が認められ、その差は1.14%でした。このように、トラゼンタ錠から、トラディアンス配合錠APへの切り替えにより、優れたHbA1c低下作用が検証されました。

図6

さらに、本試験ではトラディアンス配合錠AP投与24週後に血糖マネジメントが不十分な患者さんに対して、28週目にトラディアンス配合錠BP(エンパグリフロジン25mg/リナグリプチン5mg)へ増量し、52週間投与によるHbA1c低下作用を検討しました。
その結果、投与開始時から投与52週目までのHbA1cはご覧のように推移し、トラディアンス配合錠BPへ増量した群の投与52週後のHbA1cのベースラインからの変化量は-1.10%でした。このように、トラディアンス配合錠BPへの増量により、HbA1c低下作用が示されました。

図7

また、合併症予防のための目標値であるHbA1c7.0%未満を達成した患者の割合は、投与24週後でトラゼンタ5mg+プラセボ群5.4%に対し、トラディアンス配合錠AP群27.5%、投与52週後ではトラゼンタ5mg+プラセボ群7.5%に対し、トラディアンス配合錠AP・BP全投与群43.4%で、それぞれトラディアンス配合錠群で有意に高いことが示されました。

図8

52週間投与における副作用発現割合は、トラディアンス配合錠AP・BP全投与群で20.3%(37/182例)、トラゼンタ5mg+プラセボ追加投与全投与群で7.5%(7/93例)でした。主な副作用は、トラディアンス配合錠AP・BP全投与群では血中ケトン体増加4.4%(8/182例)でした。
投与中止にいたった副作用として、トラディアンス配合錠AP群では発疹及び頻尿いずれも0.5%(1/182例)、トラゼンタ5mg+プラセボ追加投与群では低血糖1.1%(1/93例)が認められました。重篤な副作用として、トラディアンス配合錠BP群で2例(副腎新生物、及び肺の悪性新生物)、及びトラディアンス配合錠AP群で1例(脳出血)が認められ、このうちトラディアンス配合錠AP群で発現した脳出血の重症度は高度で、死亡にいたりました。

図9

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