糖尿病の治療強化に次なる一歩を
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2型糖尿病治療では、HbA1cの目標値が達成されていないにも関わらず、治療が適切に強化されていない「Clinical inertia(臨床的な惰性)」を回避することが、合併症予防や健康寿命増進の観点でも重要であると考えられます。また、HbA1cの目標値の達成という観点では、仕事が多忙になったり食生活が不摂生になったりしがちな年末年始は、血糖を思うようにマネジメントできない患者さんも増えるのではないでしょうか。そこで今回は、良好な血糖マネジメントで目標値を維持するための治療強化のポイントを紹介いたします。
図1
![B+用サムネイル_②トラディアンス配合錠による血糖コントロールの維持02](/jp/sites/default/files/inline-images/%E4%BF%AE%E6%AD%A3_%E5%9B%B3%EF%BC%92%E3%80%90TRD%E3%80%9111%E6%9C%88%E8%A8%98%E4%BA%8B%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%84%E2%91%A1_%E5%9B%B3%E7%89%882.jpg)
Clinical inertiaと治療強化の重要性
糖尿病治療におけるClinical inertiaとは、 「HbA1c値の治療目標が達成されていないにも関わらず、治療が適切に強化されていない状態」 と定義されています。
Clinical inertiaが生じる背景には、医師・患者・医療システム等に関連する様々な要因があります。
図2
![Clinical inertiaと治療強化の重要性01](/jp/sites/default/files/inline-images/%E4%BF%AE%E6%AD%A3_%E5%9B%B3%EF%BC%93%E3%80%90TRD%E3%80%9111%E6%9C%88%E8%A8%98%E4%BA%8B%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%84%E2%91%A1_%E5%9B%B3%E7%89%883.jpg)
Clinical inertiaの現状として、治療が強化されるまでの期間と、治療強化された患者割合を調査した英国の大規模コホート研究結果を紹介いたします。
本研究では、HbA1cが8%以上の患者さんに2剤目から3剤目の経口血糖降下薬が追加されるまで、3剤目の経口血糖降下薬からインスリン導入までに、それぞれ6年を超える期間(中央値)を要していました。
3剤目以降の追加にあたってClinical inertiaの存在が示唆されます。
図3
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こちらは、2型糖尿病と診断後3ヵ月間のメトホルミン単剤治療でHbA1cが7%を超えていた患者さんを対象として、早期治療強化の有無が長期血糖マネジメントに及ぼす影響を検討した結果です。
早期に治療強化を行った患者群と比較して、治療強化が6ヵ月以降と遅かった(非治療強化も含む)患者群では、5年間の血糖マネジメントが早期治療強化群に追いつくことはありませんでした。
早期から適切な治療強化をすることが、将来の良好な血糖マネジメントにつながることが示唆されます。
図4
![Clinical inertiaと治療強化の重要性03](/jp/sites/default/files/inline-images/%E4%BF%AE%E6%AD%A3_%E5%9B%B3%EF%BC%95%E3%80%90TRD%E3%80%9111%E6%9C%88%E8%A8%98%E4%BA%8B%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%84%E2%91%A1_%E5%9B%B3%E7%89%885.jpg)
血糖マネジメント目標はHbA1c7.0%未満を基本としつつ、低血糖を起こさず達成可能なら6.0%未満、低血糖などにより治療強化が難しい症例では8.0%未満を考慮するよう定めています。
「合併症予防のための目標」と記載されていることからも、目標値を目指して良好な血糖マネジメントを行うべき重要性がうかがえます。
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しかし、コロナ禍などの影響もあり、良好な血糖マネジメントを維持していくことに対して懸念があるケースもあるのではないでしょうか。
ここからは、トラディアンス配合錠による治療強化として、トラディアンス配合錠の有効性と安全性に関して解説いたします。
図5
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トラディアンス配合錠への切り替え例
トラディアンス配合錠はクラス内で唯一*2つの用量規格を持つ配合剤であり、患者さんの血糖マネジメント状態に合わせて1日1回1錠の用法を変えることなく増量が可能です。
AP錠はトラゼンタまたはジャディアンス10mg単剤の治療で血糖マネジメント不十分な患者さんの治療強化に、BP錠はトラゼンタ+ジャディアンス10mgの併用からの治療強化、あるいはAP錠またはジャディアンス25mgからの治療強化に有用です。
また、各単剤の併用で安定している患者さんを配合錠1錠にまとめることも可能です。
* DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の配合剤として(2021年10月現在)
図6
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リナグリプチンからの切替試験(国内第Ⅲ相試験)
トラディアンス配合錠による血糖低下作用のエビデンスを紹介します。本試験では、トラゼンタ5mg単剤で血糖マネジメント不十分な日本人2型糖尿病患者さんを対象に、トラディアンス配合錠AP(エンパグリフロジン10mg/リナグリプチン5mg)を24週間1日1回経口投与したときの有効性および安全性をトラゼンタ5mg投与と比較検討しました。
図7
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主要評価項目である投与24週後におけるHbA1cのベースラインからの調整平均変化量は、トラゼンタ5mg+プラセボ群の+0.21%と比較して、トラディアンス配合錠AP群では-0.93%と有意な低下が認められ、その差は1.14%でした。
トラゼンタ錠から、ジャディアンス錠を上乗せしたトラディアンス配合錠APへの切り替えにより、優れたHbA1c低下作用効果が検証されました。
図8
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さらに、本試験ではトラディアンス配合錠AP投与24週後に血糖マネジメントが不十分* な患者さんに対して、28週目にトラディアンス配合錠BP(エンパグリフロジン25mg/リナグリプチン5mg)へ増量し、52週間投与によるHbA1c低下効果を検討しました。
その結果、投与開始時から投与52週目までのHbA1cはご覧のように推移し、トラディアンス配合錠BPへ増量した群の投与52週後のHbA1cのベースラインからの変化量は-1.10%でした。
* HbA1c7%以上
図9
![](/jp/sites/default/files/inline-images/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B9SSM_%E7%B7%8F%E5%90%88%E7%B7%A89.jpg)
本試験の52週間投与における副作用発現割合は、トラディアンス配合錠AP・BP全投与群で20.3%(37/182例)、トラゼンタ5mg+プラセボ追加投与全投与群で7.5%(7/93例)でした。
主な副作用は、トラディアンス配合錠AP・BP全投与群では血中ケトン体増加4.4%(8/182例)でした。
投与中止に至った副作用として、トラディアンス配合錠AP群では発疹および頻尿いずれも0.5%(1/182例)、トラゼンタ5mg+プラセボ追加投与群では低血糖1.1%(1/93例)が認められました。
重篤な副作用として、トラディアンス配合錠BP群で2例(副腎新生物、および肺の悪性新生物)、およびトラディアンス配合錠AP群で1例(脳出血)が認められ、このうちトラディアンス配合錠AP群で発現した脳出血の重症度は高度で、死亡に至りました。
まとめ
2型糖尿病治療では、継続的に治療目標を達成することが、合併症予防の観点でも重要であると考えられます。
安定した血糖マネジメントを維持するため、早期からの治療強化にトラディアンス配合錠への切り替えを是非ご検討下さい。