ジャディアンスからの切替検証試験 臨床成績(1275.13試験)試験デザイン

サイトへ公開: 2020年10月15日 (木)

試験デザイン

ジャディアンス(エンパグリフロジン)からの切替試験 [1]

1275.13試験:エンパグリフロジンからの切替試験。ジャディアンス(エンパグリフロジン)で血糖コントロールが不十分な日本人患者での有効性 (国内第Ⅲ相比較・検証試験)

日本人の2型糖尿病患者で、経口血糖降下薬による治療を受けていない患者、もしくは経口血糖降下薬1剤により治療中の患者(ウォッシュアウト実施)を、1:1の比でPart AもしくはPart Bに割り付けました。

Part Aではジャディアンス(エンパグリフロジン)10mg、Part Bではジャディアンス 25mgを16週間投与し(オープンラベル安定期)、いずれにおいてもHbA1cが7.5%以上で血糖コントロールが不十分な患者を本試験の対象としました。

対象は、2週間のプラセボ導入期を経て、Part A及びPartBにおいて、それぞれ以下の通り1:1の比で無作為に割り付けられ、各対照薬群との比較検討が行われました。

Part Aでは、トラディアンス配合錠AP(エンパグリフロジン10mg/リナグリプチン5mg)を1日1回24週間経口投与し、有効性と安全性をジャディアンス10mg+プラセボと比較検討しました。

Part Bでは、トラディアンス配合錠BP(エンパグリフロジン25mg/リナグリプチン5mg)を1日1回24週間経口投与し、有効性と安全性をジャディアンス25mg+プラセボと比較検討しました。また、28週間の延長投与期間を設定し、トラディアンス配合錠BPを1日1回最大52週間投与したときの有効性及び安全性を評価しました。

(エンパグリフロジン)からの切替試験

Reference

[1] 田中優子ほか:社内資料 国内第III相検証・比較試験(承認時評価資料)

試験概要

目的: ジャディアンス(10mg又は25mg)単剤による治療では血糖コントロール不十分な日本人2型糖尿病患者を対象に、トラディアンス配合錠を24週間1日1回経口投与したときの有効性及び安全性をジャディアンス投与と比較する。さらに、トラディアンス配合錠BPについては28週間延長投与(合計52週間投与)したときの有効性及び安全性を比較検討する。
対象: ジャディアンス(10mg又は25mg)1日1回16週間の投与後も血糖コントロール不十分な日本人2型糖尿病患者447例
方法: ランダム化、二重盲検、ダブルダミー、プラセボ対照、並行群間比較試験
評価項目:

[主要評価項目]

  • 投与24週後のHbA1cのベースラインからの変化量

[その他の有効性評価項目]

  • 投与52週後のHbA1cのベースラインからの変化量
  • 投与24週後及び投与52週後の空腹時血糖値のベースラインからの変化量
  • 投与24週後及び投与52週後の体重のベースラインからの変化量 等

[安全性評価項目]

  • 有害事象、低血糖事象、特に注目すべき有害事象、心血管イベント、臨床検査値、バイタルサイン
解析計画:

主要評価項目の主解析は制限付き最尤法に基づいた混合効果モデル反復測定(MMRM)法で、24週間の二重 盲検投与後のHbA1cのベースラインからの変化量を群間比較した。統計モデルには、固定効果として薬剤、 ベースラインの腎機能、糖尿病治療薬の前投与、来院及び来院と薬剤の交互作用を、線形共変量としてベースライン HbA1cを組み入れた。その他の評価項目の解析に関してもMMRM法を用いて群間比較を行った。すべての解析は本試験のPart AとPart Bで別々に実施した。

安全性評価項目に対しては記述統計量を算出した。

投与24週後の解析は、Part Bの試験実施中の最後の患者の二重盲検治療期間が28週間以上となった時点で行った。

有効性

HbA1cのベースラインからの変化量
投与24週後のHbA1cのベースラインからの変化量(調整平均変化量)[主要評価項目]

トラディアンス配合錠AP及びBP群の各プラセボ併用群に対する差は、それぞれ-0.82%、-0.59%であり、HbA1cの有意な低下が検証されました(いずれもp<0.0001、MMRM)。

【Part A トラディアンス配合錠AP群とジャディアンス10mg+プラセボ群の比較】
トラディアンス配合錠AP群:-0.94%
ジャディアンス 10mg+プラセボ群:-0.12%

24週間投与におけるHbA1c変化量の推移

HbA1c変化量の推移

HbA1cのベースラインからの変化量(投与24週後)

HbA1cのベースラインからの変化量

調整平均変化量の差(95%CI):–0.82%(–0.97, –0.67)
:p<0.0001 (vs. ジャディアンス10mg+プラセボ群)

【Part B トラディアンス配合錠BP群とジャディアンス25mg+プラセボ群の比較】
トラディアンス配合錠BP群:-0.91%
ジャディアンス 25 mg + プラセボ群:-0.33%

24週間投与におけるHbA1c変化量の推移

HbA1c変化量の推移

HbA1cのベースラインからの変化量(投与24週後)

HbA1cのベースラインからの変化量

調整平均変化量の差(95%CI):–0.59%(–0.73, –0.45)
:p<0.0001 (vs. ジャディアンス25mg+プラセボ群)

FAS:最大の解析対象集団、OC:欠測値を他の値で補うことなく実測値のみを用いて解析、MMRM:混合効果モデル反復測定(固定効果として薬剤、ベースラインeGFR、糖尿病治療薬の前投与、来院及び来院と薬剤の交互作用を、線形共変量としてベースラインHbA1cを含めた。)
その他の有効性評価項目

投与52週後のHbA1cのベースラインからの変化量(調整平均変化量)

トラディアンス配合錠BP群のジャディアンス25mg+プラセボ群に対する差は、-0.59%であり、HbA1cの有意な低下が認められました(p<0.0001、MMRM)"

【Part B トラディアンス配合錠BP群とジャディアンス25mg+プラセボ群の比較】
トラディアンス配合錠BP群:-0.86%
ジャディアンス25mg+ プラセボ群:-0.27%

52週間投与におけるHbA1c変化量の推移

変化量の推移

HbA1cのベースラインからの変化量(投与52週後)

HbA1cのベースラインからの変化量

調整平均変化量の差(95%CI):–0.59%(–0.75, –0.42)
:p<0.0001 (vs. ジャディアンス25mg+プラセボ群)

FAS:最大の解析対象集団、OC:欠測値を他の値で補うことなく実測値のみを用いて解析、MMRM:混合効果モデル反復測定(固定効果として薬剤、ベースラインeGFR、糖尿病治療薬の前投与、来院及び来院と薬剤の交互作用を、線形共変量としてベースラインHbA1cを含めた。)

投与24週後における空腹時血糖値のベースラインからの変化量

トラディアンス配合錠AP及びBP群の各プラセボ併用群に対する差は、それぞれ-12.29mg/dL(p<0.0001)、-5.41mg/dL(p=0.0260)であり、いずれのPartにおいてもHbA1cの有意な低下が認められました(MMRM)。

【Part A トラディアンス配合錠AP群とジャディアンス10mg+プラセボ群の比較】
トラディアンス配合錠AP群:-14.38 mg/dL
ジャディアンス 10 mg+プラセボ群:-2.09 mg/dL

投与24週後の空腹時血糖値のベースラインからの変化量

投与24週後の空腹時血糖値

調整平均変化量の差(95%CI):–12.29mg/dL(–17.44, –7.15)
:p<0.0001 (vs. ジャディアンス10mg+プラセボ群)

【Part B トラディアンス配合錠BP群とジャディアンス25mg+プラセボ群の比較】
トラディアンス配合錠BP群:-9.45 mg/dL
ジャディアンス 25 mg + プラセボ群:-4.05 mg/dL

投与24週後の空腹時血糖値のベースラインからの変化量

投与24週後の空腹時血糖値

調整平均変化量の差(95%CI):–5.419mg/dL(–10.16, –0.65)
:p=0.0260 (vs. ジャディアンス25mg+プラセボ群)

FAS:最大の解析対象集団、OC:欠測値を他の値で補うことなく実測値のみを用いて解析、MMRM:混合効果モデル反復測定(固定効果として薬剤、ベースラインeGFR、糖尿病治療薬の前投与、来院及び来院と薬剤の交互作用を、線形共変量としてベースラインHbA1cを含めた。)

投与52週後における空腹時血糖値のベースラインからの変化量

トラディアンス配合錠BP群のジャディアンス25 mg+プラセボ併用群に対する差は、-6.53 mg/dLであり、有意な低下が認められました(p<0.0001、MMRM)。

【Part B トラディアンス配合錠BP群とジャディアンス25mg+プラセボ群の比較】
トラディアンス配合錠BP群:-7.13 mg/dL
ジャディアンス 25 mg + プラセボ群:-0.60 mg/dL

投与52週後の空腹時血糖値のベースラインからの変化量

投与52週後の空腹時血糖値

調整平均変化量の差(95%CI):–6.53mg/dL(–12.09, –0.97)
:p<0.0001 (vs. ジャディアンス25mg+プラセボ群)

FAS:最大の解析対象集団、OC:欠測値を他の値で補うことなく実測値のみを用いて解析、MMRM:混合効果モデル反復測定(固定効果として薬剤、ベースラインeGFR、糖尿病治療薬の前投与、来院及び来院と薬剤の交互作用を、線形共変量としてベースラインHbA1cを含めた。)

安全性

Part Aの24週間投与における副作用発現割合は、トラディアンス配合錠AP群では12.1%(13/107例)、ジャディアンス10mg+プラセボ群では14.8%(16/108例)でした。主な副作用としてトラディアンス配合錠AP群で2例以上報告された副作用は、リパーゼ増加2.8%(3/107例)及び血中ケトン体増加1.9%(2/107例)でした。投与中止に至った副作用として、トラディアンス配合錠AP群では膵酵素増加0.9%(1/107例)、ジャディアンス10mg+プラセボ群では間質性肺疾患0.9%(1/108例)が認められました。重篤な副作用は認められませんでした。

Part Bの24週間投与における副作用発現割合は、トラディアンス配合錠BP群では21.6%(25/116例)、ジャディアンス25mg+プラセボ群では17.2%(20/116例)でした。主な副作用としてトラディアンス配合錠BP群で2例以上報告された副作用は、血中ケトン体増加9.5%(11/116例)、無症候性細菌尿2.6%(3/116例)、ケトーシス、体重減少及び尿中ケトン体陽性いずれも1.7% (2/116例)でした。重篤な副作用として、トラディアンス配合錠BP群で薬物性肝障害0.9%(1/116例)が認められ、投与中止となりました。

Part Bの52週間投与における副作用発現割合は、トラディアンス配合錠BP群では28.4%(33/116例)、ジャディアンス25mg+プラセボ群では19.8%(23/116例)でした。主な副作用としてトラディアンス配合錠BP群で2例以上報告された副作用は、血中ケトン体増加13.8%(16/116例)、無症候性細菌尿及び尿中ケトン体陽性いずれも3.4% (4/116例)、遊離脂肪酸増加2.6%(3/116例)、ケトーシス及び体重減少いずれも1.7% (2/116例)でした。投与中止に至った副作用は認められませんでした。

本試験において死亡例は報告されませんでした。

【ジャディアンスの用法・用量】
通常、成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら25mg 1日1回に増量することができる。

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