CKDの有病率

サイトへ公開: 2020年10月09日 (金)

3万6,764例の米国退役軍人を対象に行われた調査が示す、 糖尿病と診断される以前のCKDの有病率とは?

米国退役軍人を対象とした調査で、糖尿病診断前にCKDを発症している患者が全体の30.6%で認められた1)
腎障害の進行を抑えるためにも、eGFR、アルブミン尿の測定によるCKDの病態把握が重要である。


CKDの有病率とは

約30%の割合で糖尿病と診断される以前にCKDを発症している患者が認められ、そのうちの16.5%はステージ 3a~5に該当するeGFR値を呈していた。
eGFRは異常値を示さないものの、A2レベルに相当する中等度のアルブミン尿を呈する患者も、CKDを認めた集団のうち42.8%で確認された。
なお、年齢・HbA1c・血圧・BMIが高値であるほど、また、白人に比べてアジア系アメリカ人でCKDのリスクは有意に高く、特に年齢とアジア系アメリカ人で顕著であった(OR;1.88、1.53、多変量ロジスティック回帰)。

【対象・方法】
「米国退役軍人省研究調査」の参加者のうち、2003~2012年に糖尿病の診断を受け、経口血糖降下薬を処方されていた患者で、糖尿病 と診断される日から少なくとも90日より前までにアルブミン値・クレアチニン値が測定されており、両項目のデータが使用可能であった 計3万6,764例を対象とした。対象者のデータを用いて、糖尿病と診断される以前におけるCKDの有病率について調査を行った。

:CKDの定義にはKDIGOが提唱する下記に示すガイドラインの基準値を採用し、ステージ1~5の分類はeGFR値を用い、また、eGFRとUACRの値を組み合わせてCKDの重症度を分類した

【異常なし;UACR≦30,eGFR≧60】
【eGFR:Stage 1;≧90,Stage 2;60~89,Stage 3a;45~59,Stage 3b;30~44,Stage 4;15~29,Stage 5;<15】
【UACR:A1;UACR<30,A2;30~300,A3;>300】CKD:慢性腎臓病,eGFR:推算糸球体濾過量(mL/分/1.73m2),UACR;尿中アルブミン/ クレアチニン比(mg/g)

1)Gatwood J, et al. PLoS One. 2018; 13: e0192712.

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