トラゼンタData集~日本人2型糖尿病患者におけるトラゼンタの長期安全性と有効性:3年間の特定使用成績調査(単独療法)~

サイトへ公開: 2021年07月30日 (金)

日本人2型糖尿病患者さんで、初めてトラゼンタを単独療法として服用する患者さんを対象に、トラゼンタの長期安全性・有効性を調査する観察研究が行われました。

本調査は、日本人2型糖尿病患者において、トラゼンタを初めて単独投与にて投与開始した際の日常診療での長期使用時の安全性と有効性を調査する目的で、連続調査方式で実施されました。
観察期間は3年あるいは薬剤の中止までの期間で、観察時期は、治療開始後12、26、40、52、64、78、104、130、156週、あるいは薬剤中止時点としました。
主要評価項目はトラゼンタ錠投与による副作用*発現率、有効性の副次評価項目はHbA1cの変化量、その他の有効性の評価項目はHbA1cおよび空腹時血糖の投与26週時点の変化量と治療期間中の推移でした。

トラゼンタData集~⑪トラゼンタ特定使用成績調査(単独療法)~02

安全性解析対象2,235例の平均年齢は66.7歳で、65 歳以上の高齢者が約6割を占めていました。 糖尿病の罹病期間は5年以下が43.0%、服用開始前の HbA1cの平均値は7.4±1.4%、空腹時血糖の平均値は 151.2±50.8mg/dLでした。 また、本剤開始前の糖尿病治療薬の投与状況は、前治療薬の服用なしが91.1%でした。 なお、トラゼンタの服用期間中央値は154.1週でした。

副作用は240例(10.7%)に認められました。副作用の集計はMedDRAの基本語を用いて行われましたが、その基本語により分類された副作用で5例以上に認められた主な副作用は、糖尿病35例(1.6%)、コントロール不良の糖尿病13例(0.6%)を含む糖尿病の悪化 、便秘21例(0.9%)、高血圧13例(0.6%)などでした。
副作用による投与中止症例は74例(3.3%)に認められ、主な投与中止に至った副作用は、糖尿病5例、便秘・浮動性めまい・肝機能異常がそれぞれ4例でした。

2例以上に認められた重篤な副作用は、脳梗塞4例(0.2%)、心筋梗塞3例(0.1%)、膵癌3例(0.1%)、死亡3例(0.1%)、突然死2例(0.1%)、転倒2例(0.1%)でした。
死亡の転帰に至った症例は11例に認められ、2例以上に発現が認められた事象は、突然死を含む死亡5例、膵癌3例でした。その内1例は突然死と膵癌の2事象が報告されました。

注目すべき副作用については、肝機能障害は17例(0.8%)、血管浮腫、蕁麻疹、発疹、気管支収縮などを含む過敏症は14例(0.6%)、腎機能悪化は5例(0.2%)、低血糖、腸閉塞、膵癌、心不全は各3例(各0.1%)などでした。
なお、トラゼンタに関連した膵炎、類天疱瘡は報告されませんでした。

トラゼンタData集~⑪トラゼンタ特定使用成績調査(単独療法)~06

ベースラインから観察期間最終までのHbA1cの変化量は、-0.67% ±1.27%でした。投与26週時点のHbA1cの変化量は-0.73%±1.20%、投与26週時点の空腹時血糖の変化量は-21.02±44.33mg/dLでした。

HbA1c及び空腹時血糖の推移を示します。MMRM解析の結果、いずれにおいても12週目に減少が認められ、26週以降156週もしくは治療終了までHbA1cは7.0%以下を維持し、空腹時血糖は130mg/dL以下を維持しました。

また、トラゼンタはトラディアンス配合錠に変更することで1回1錠のまま治療強化をすることが可能です。
※トラディアンス配合錠(AP/BP)は原則としてジャディアンス(10mg/25mg)単剤治療またはトラゼンタ単剤治療により効果不十分な場合に使用を検討すること。

先生方の日常診療にトラゼンタ、トラディアンスがお役立ていただけますと幸いです。

【引用】

Yamamoto F, et al; Diabetes Ther. 2020 Jan;11(1):107-117より作図
(本調査はベーリンガーインゲルハイム社および日本イーライリリー株式会社の支援で行われました。)

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